岡嶋和幸の「あとで買う」

108点目:学生時代に見ていた東京の風景を懐かしむ

善本喜一郎の写真集「東京タイムスリップ1984⇔2021」

この連載では、カメラや写真関連のアイテムを中心に、Amazonの私のショッピングカートの中身をお届けします。とはいえ、いずれも購入前の商品なので、実際に使ってみた感想や評価などは特にありません。どのような物に興味を持ち、どのような視点で選んでいるのかなど、岡嶋和幸の日々の物欲をお楽しみください。

善本喜一郎の写真集「東京タイムスリップ1984⇔2021」

1984年の私は高校3年生。翌年に上京し、写真学校に通い始めました。この写真集では、私が記憶している当時の東京の風景を見ることができるでしょう。現在の写真と対比し、その変化を楽しめるようです。販売価格は2,002円です。

カスタマーレビューの反応が興味深いです。この写真集を評価しながらも、「カラー写真が普及している時代なのにモノクロで古さを出すのは逆効果」「わざわざモノクロ加工した意味が分からない」などといった感想がいくつも見られます。作者が実際にどうだったのかは分かりませんが、同時期に私が撮影した写真は9割がモノクロフィルムで、残りの1割がカラーポジフィルム。カラーネガフィルムは「写ルンです」くらいです。プロカメラマンになるとカラーとモノクロの割合が半々くらいになりますが、写真学校に通ってたころは、課題を含めモノクロフィルムで撮ることがほとんどでした。でもそのような事情は普通は知りませんよね。

私が同様のコンセプトで作品をまとめようとすると、過去のものはモノクロ写真になってしまうでしょう。でも今なら、Adobe Photoshopの新機能「ニューラルフィルター」でカラー化するかもしれません。そのような見せ方も面白そうです。

1967年、福岡県生まれ。東京写真専門学校卒業。スタジオアシスタント、写真家助手を経てフリーランスとなる。作品発表のほか、セミナー講師やフォトコンテスト審査員など活動の範囲は多岐にわたる。写真集「風と土」(インプレス)など、著書多数。主な写真展に「ディングルの光と風」(富士フイルムフォトサロン)、「潮彩」(ペンタックスフォーラム)、「学校へ行こう! ミャンマー・インレー湖の子どもたち」(キヤノンギャラリー)、「九十九里」(エプソンイメージングギャラリー エプサイト)、「風と土」(ソニーイメージングギャラリー)、「海のほとり」(エプサイトギャラリー)などがある。