中井精也のエンジョイ鉄道ライフ「ジョイテツ!」
写真展「今日もHappy Train!」より厳選作品をご紹介!
エプサイトギャラリーで4月10日(水)まで開催中
2024年3月22日 12:30
僕が毎日鉄道写真を撮影して更新するブログ「1日1鉄!」が、2024年4月1日(月)に20周年を迎えます。それを記念して、3月8日(金)よりエプソンスクエア丸の内 エプサイトギャラリーにて、写真展「今日もHappy Train!」を開催中です。
2014年から2024年にかけての10年間で撮影した膨大な作品の中から約50点を展示しています。今回の記事ではそこから厳選した作品をご紹介します。開催期間も長いので、ぜひ会場でエプソンプリンターで出力した迫力あるプリントをご覧ください。
こちらはメインビジュアルに選んだ作品です。撮影地はかつて「トレンディドラマ」と呼ばれていた大ヒット番組のロケ地に近い、海沿いの踏切。年齢的にはぜったいドラマを知らない世代だと思いますが(笑)、学生さんたちがインスタ用の写真を撮っていたので、声をかけて撮影させていただきました。
みんないっせいにジャンプしたのですが、実に不揃い。でもそれが良い! もう記憶すら薄れている青春時代を思い出しました。
こちらはいわゆる「ゆる鉄」作品ですね。ゆる鉄は「ローカル線の沿線に漂うゆる〜い雰囲気」を主題にした作品ですが、このミツバチの完璧な1枚を撮るために1,000枚くらい撮影していますので、ぜんぜんゆるくないですね(笑)。踏切をどれくらいぼかすか、かなり悩んでF値を決めました。
列車が通過するときに風圧で桜吹雪になるに違いない。そんな撮り手の予想を裏切り、散ったのはたったの1枚。でもその1枚が、ふわりと列車の近くに舞い、車体に映り込んでくれるという奇跡。動いている列車なので、偶然背景に桜並木が写る位置だったのも幸運でした。写真の神様、ありがとう。
まるで印象派の画家が描いた作品のようですが、写真です。実は川面に映り込んだ幻影だけを撮影して、上下反転させているんですね。その結果、列車も揺らめいていて、青空も透明感のある描写で映り込み、幻想的な1枚になりました。この区間に列車が通るのは、1日数本。この作品のポイントはテクニックなどではなく、もったいないと思わずに、実像をカットして水鏡だけを撮る勇気が持てるかどうかです(笑)。
「紅葉のトンネル」を通ることで有名な叡山電鉄。真っ赤に色づく秋が最高ですが、新緑のもみじも素敵なのです。ここでは列車に写り込む青もみじを主題に、展望列車きららの「青もみじきらら」(メープルグリーン塗装)を狙ってみました。列車の先頭を画面に入れてしまうと、みんなそこを見てしまうので、あえて側面だけ写し、青もみじの美しさを強調しました。
せっかく撮影に行って雨に降られると残念ですが、雨の日ならではの良さもあります。線路脇の沼に咲く、可憐な蓮の花。雨に濡れた花のしっとりとした美しさは、晴れた日よりも魅力的に感じました。僕は夢中でズボンが汚れることも忘れ、泥々の地面にひざまずいて撮影し、あとで家内に怒られました。
こちらは有名な京都府亀岡の大花火大会のワンシーン。列車と花火を合成した作品を撮るつもりで出かけましたが、お気に入りになったのは1枚撮りのこちらの作品でした。奥に花開く花火の大輪、そして次に打ち上げられた花火が描くラインが、流し撮りの背景に映り込むという奇跡。もちろん狙ってはいましたが、撮れてびっくりしました。
ポルトガルのリスボンでは、街のあちこちにアズレージョ(装飾タイル)が見られます。線路脇の歩道もきれいなタイルで飾られていて、街の灯りを受けてカラフルに輝いていました。タイルにピントを合わせてトラムを狙っていたら、突然カップルが構図内に乱入。最初は面食らいましたが、まるで映画のワンシーンのような、ドラマチックな1枚になりました。
こちらはバングラデシュで撮影した作品。バングラデシュはとても親日で、僕がカメラを向けただけで、みんな笑顔で手を振ってくれます。列車の上でポーズを取る乗客、そして車内の人たちも笑顔。とても幸せなオーラに溢れるこの写真、大好きな1枚になりました。
2024年の元旦は朝の4時に自宅を出て、バイクで常磐線を撮りに出かけました。訪ねたのは境内から朝日が見える神社。初日の出が雲から顔を出した瞬間、ひたち号が現れました。地元の人たちと話ながら、良い1年にしたいと撮影した1枚。このあと能登半島地震が発生するなど、2024年は波乱の幕開けとなりましたが、今年も、これからもずっと、日常のわずかな輝きを求めて、鉄道を撮影していきたいと思います。
2019年から連載してきたジョイテツ!ですが、今回で一度お休みさせていただくことにしました。長い期間に渡りご覧頂いた読者のみなさま、本当にありがとうございました。
連載という形ではなくなりますが、機会があればまた記事を投稿いたしますので、今後ともよろしくお願いいたします。
写真展情報
◯鉄道写真家中井精也ブログ「1日1鉄!」20周年記念写真展
「今日もHappy Train!」
会期:2024年3月8日(金)〜4月10日(水)
会場:エプソンスクエア丸の内 エプサイトギャラリー
所在地:東京都千代田区丸の内3-4-1 新国際ビル1F
時間:11時00分〜18時00分
休館:日曜・祝日・4月1日(月)
入館料:無料
◯中井精也写真展
「ゆる鉄絶景100」〜中井精也が捉えた100の鉄道名景〜
会期:2024年4月6日(土)〜6月16日(日)
会場:ミュゼふくおかカメラ館
所在地:富山県高岡市福岡町福岡新559
時間:9時00分〜17時00分(入館は16時30分まで)
入館料:一般1,000円、高校・大学生400円、中学生以下無料
ゆる鉄画廊NOMAD情報
◯ゆる鉄画廊NOMADアキバ
AKIBAカルチャーズZONEで開催する「撮れいん いいね!2024春」にゆる鉄画廊NOMADが出展します。
会期:2024年3月15日(金)〜3月17日(日)
営業時間:11時〜20時30分(最終日18時閉店)
会場:AKIBAカルチャーズZONE 4F
所在地:東京都千代田区外神田1丁目7-6
https://www.akibacultureszone.com/event/4241
◯ゆる鉄画廊NOMAD神戸三宮3
会期:2024年4月30日(火)〜5月5日(日)予定
会場:ギャラリーミウラ
http://www.art-express.co.jp/guide-net/hyogo/miura
◯ゆる鉄画廊NOMAD福島2
会期:2024年5月31日(金)〜6月2日(日)予定
会場:福島市写真美術館(花の写真館)
https://www.f-shinkoukousha.or.jp/hanano-shashinkan/
◯ゆる鉄画廊NOMAD秋田
会期:2024年6月28日(金)〜30日(日)予定
会場:秋田アトリオン
http://www.atorion.co.jp/