中井精也のエンジョイ鉄道ライフ「ジョイテツ!」

ゆる鉄探訪 第6回「銚子電鉄」

昭和感満載の見どころと撮影スポットをご紹介!

最初にお見せするBEST SHOTは、本銚子駅のホームから撮影したもの。まるでジャングルの中を走る軽便鉄道のような趣がたまりません。これが現代の風景だなんて、信じられないでしょ?
α7 IV FE 70-200mm F2.8 GM OSS II(200mm) 絞り優先オート(F2.8、1/500秒)ISO 6400 WB:太陽光

僕が大好きなゆる鉄路線をご紹介する「ゆる鉄探訪」。路線の撮影ポイントや見どころのほか、僕がその路線で撮影したBEST SHOTもご紹介します。

第6回は日本が世界に誇るゆる鉄!(笑)銚子電鉄です。JRの銚子駅から外川駅を結ぶこの路線の総延長はたった6.4kmですが、その短い間に濃厚なゆる鉄の世界がギューッと濃縮されているのです。銚子電鉄はいわゆる絶景路線ではありません。そこにあるのは昭和時代には当たり前にあったような、ローカル私鉄の原風景。誰もが美しいと思える風景ではありませんが、その魅力が分かる人には、路線全体がまるでタイムスリップしたかのように思える異空間なのです。


α7 IV FE 24-70mm F2.8 GM(25mm) 絞り優先オート(F6.3、1/2,500秒)ISO 1600 WB:日陰

こちらは起点の銚子駅のお隣、仲ノ町駅近くの風景です。銚子電鉄の本社と車庫がある仲ノ町駅周辺は、周囲がヤマサ醤油の工場になっており、ひと駅目にして昭和感満載の独特な雰囲気を味わえます。

もともと銚子電鉄はこちらの工場で使う塩などの材料の運搬も担っており、当時活躍していたデキ3形も車庫で動態保存されています。この写真は醤油工場の間を走る電車を、あえてモノクロで撮影したもの。懐かしいスタイルの電車とあいまって、50年前くらいに撮影したと言ってもおかしくない光景になっています。トイカメラとかで撮影しても、面白そうです。


α7 IV FE 70-200mm F2.8 GM OSS II(200mm) 絞り優先オート(F2.8、1/500秒)ISO 3200 WB:日陰

続いては銚子駅から3つ目の本銚子駅。最初にお見せしたBEST SHOTのように、ホームから笠上黒生駅方面を望むと、まるでジャングルの中に線路が延びているような光景を撮影できます。こちらのカットは駅の上にある跨線橋から見下ろして撮影したもの。ここの木々は常緑なので、どんな季節に訪れてもジブリ感のある鬱蒼とした森の雰囲気を味わえます。


α7 IV FE 70-200mm F2.8 GM OSS II(129mm) 絞り優先オート(F3.5、1/1600秒)ISO 1600 WB:日陰

本銚子の次の笠上黒生駅は、銚子電鉄唯一の交換駅。銚子電鉄は単線なので、この駅で上下列車が行き違うのです。そのときに見られるのが、今や貴重になったタブレット交換シーン。タブレット(スタフ)とはいわゆる通行手形のようなもので、これを持っていないと列車は先に進めません。タブレットの受け渡しは列車が到着するたびに見られる光景ですが、実際に列車がこの駅で行き違うのは、朝の通学時間帯のみになっています。


α7R II FE 70-300mm F4.5-5.6 G OSS(241mm) 絞り優先オート(F5.6、1/1,000秒)ISO 400 WB:日陰

こちらは海鹿島駅に植えられたアジサイの風景。君ヶ浜よりにある踏切付近から望遠レンズで撮影しました。まるで花と列車がカラーコーディネートしたみたい。


ニコン COOLPIX P1000(28mm相当) 絞り優先オート(F2.8、1/2,000秒)ISO 200 WB:曇天

海鹿島駅から君ヶ浜駅にかけての区間は、銚子電鉄のハイライト。海鹿島駅から続いていた森を抜けると、一面の畑が広がります。この写真は森を抜けてすぐのところにある木挽踏切近くで撮影したもの。わかる人にしかわからないと思いますが(笑)、この昭和のローカル私鉄感むんむんの風景がたまりません。木の電柱がたまらん!


α7R IV FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS(100mm) 絞り優先オート(F4.5、1/200秒)ISO 100 WB:日陰

木挽踏切を渡ってすぐのところに、椿のような常緑の木が数本あり、その硬い葉っぱを逆光に光らせると、まるでイルミネーションのようにメルヘンチックに写ります。列車をかなり遠くの位置において撮影するのがコツです。


α7 IV FE 24-70mm F2.8 GM(49mm) 絞り優先オート(F11、1/25秒)ISO 100 WB:太陽光

こちらは僕が銚子電鉄で一番好きな撮影地、19号踏切です。まるでドラマのセットのような踏切と、キャベツ畑のなかをカーブしながら踏切へ続く道がたまりません。ここでの主役は踏切と道なので、低速シャッターで列車をぶらし、主役が目立つように工夫してみました。ちなみにこの場所から犬吠埼灯台の先端がチラッと見えます。


α7 IV FE 24-70mm F2.8 GM(67mm) 絞り優先オート(F13、1/500秒)ISO 400 WB:太陽光

19号踏切を渡って森のほうを望むと、畑ごしにのんびりと走る銚子電鉄を撮影することができます。銚子電鉄ではもっとも定番的な鉄道風景写真を撮れるポイントといえるでしょう。写真ではキャベツですが、夏にはトウモロコシ畑になるなど、季節によって雰囲気が大きく変わります。よく見ると背景に携帯電話の基地局があり悩ましいのですが、写真を見ればわかるように列車が来るとそれほど目立たないので、あまり気にせず風景をメインに構図をつくるほうがいいでしょう。


α7 IV FE 70-200mm F2.8 GM OSS II(200mm) 絞り優先オート(F7.1、1/1,250秒)ISO 400 WB:太陽光

こちらの写真は、銚子を代表する観光スポット「地球の丸く見える丘展望館」の展望スペースから撮影したもの。銚子電鉄は車窓から海を見ることができませんが、ここでは海と銚子電鉄の絶景をバッチリ撮ることができます。銚子電鉄の1日乗車券「弧廻(こまわり)手形」を持っていれば、入場料が1割引になるのも嬉しいところです。

・地球の丸く見える丘展望館(https://www.choshikanko.com/tenbokan/guidance.html


α7 IV FE 70-200mm F2.8 GM OSS II(154mm) 絞り優先オート(F5.6、1/1,600秒)ISO 400 WB:太陽光

さきほど19号踏切からチラッと犬吠埼灯台が見えると書きましたが、それなら灯台から列車も見えるのでは?と訪ねてみたら大正解! 列車はかなり小さいですが、手前に犬吠埼海岸の砂浜を入れて、バッチリ列車を撮ることができました! 参観寄付金として300円かかりますが(中学生以上)、風景写真を撮るにも絶好の場所なので、ぜひ訪ねてみてくださいね。なお灯台に登る階段がとても狭いので、使用するカメラとレンズだけに絞って持参することをオススメします。

中井精也からのお知らせ

ゆる鉄画廊NOMAD大阪なんば

第13回ゆる鉄画廊NOMAD大阪なんば開催のお知らせです! 会期中は毎日、中井精也は在廊いたします。大阪の皆様、関西の皆様、ぜひ是非お越し下さい。会場となるエディオンなんば本店の営業時間は、10時〜21時ですが、ゆる鉄画廊NOMADの営業時間は10時〜19時となりますので、ご注意ください。

ゆる鉄画廊NOMADでは、中井精也の代表作品をはじめ、ご当地の鉄道風景までの絵柄作品やオリジナル書籍、グッズを取り揃えて、皆様のお越しをお待ちしております!

期間:2022年7月15日(金)〜19日(火)
会場:エディオンなんば本店
営業時間:10時〜19時(最終日のみ18時閉業予定)

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<ゆる鉄画廊NOMAD公式ツイッター>
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<中井精也ツイッター>
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それ以外にも、様々な場所でNOMADを計画しておりますので、詳細が決まりましたらご案内いたします。皆様の街へ「ゆる鉄画廊NOMAD」は出張いたしますので、近くに来た際には、ぜひお越しくださいね。

中井精也

1967年、東京生まれ。鉄道の車両だけにこだわらず、鉄道にかかわるすべてのものを被写体として独自の視点で鉄道を撮影し、「1日1鉄!」や「ゆる鉄」など新しい鉄道写真のジャンルを生み出した。2004年春から毎日1枚必ず鉄道写真を撮影するブログ「1日1鉄!」を継続中。広告、雑誌写真の撮影のほか、講演やテレビ出演など幅広く活動している。全国を旅しながら自身の作品を販売する「ゆる鉄画廊NOMAD」を展開中。テレビレギュラー番組に「中井精也のてつたび!/NHK BSプレミアム」、「ヒルナンデス!/日本テレビ系列」、「にっぽん鉄道写真の旅/BS-TBS」などがある。https://ameblo.jp/seiya-nakai/