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Inter BEE 2025(前編):ニコンZRなど最新カメラがそろい踏み

個性的な交換レンズやフィルターも

動画機材・ソリューションが数多く揃うことで知られるイベント「Inter BEE」が、今年も11月19日(水)〜11月21日(金)の日程で幕張メッセで開催された。

前編ではカメラ、レンズ、フィルターなどの分野で目についた出品を紹介する。後日掲載予定の後編では、そのほかの撮影アクセサリーを取り上げる予定だ。

注目のシネマカメラ「ZR」(ニコン)

ニコンブースは同社初のシネマカメラ「ZR」をメインにした展示となっていた。

撮影体験のコーナーを大きく取って、さまざまなレンズをZRに装着して試せるようになっていた。ニコンのレンズ性能にポジティブな印象を持っているユーザーが多く、それで動画も撮りたいという声が多いそうだ。

ライツのシネマレンズ「HEKTOR」が付いたZRの姿も

REDと同じカラーサイエンスとなるRAWフォーマットの編集を体験できるコーナーもあった。編集の不安があるユーザーにも実際に触ってもらい、どういったものかを実感して欲しいとの趣向だ。

もちろんREDの製品も展示されていた。

EOS R6 Mark IIIや新レンズが展示(キヤノン)

キヤノンブースでは、直近の新製品として「EOS R6 Mark III」や「RF45mm F1.2 STM」などが並んでいた。

PowerShotシリーズからシネマカメラまでフルラインナップを揃えた
EOS R6 Mark III。右のボディにはRF45mm F1.2 STMが

EOS R6 Mark IIIはシネマEOSと同じカスタムピクチャーが使えることや、オープンゲート収録で縦位置切り出しが高画質で行える点などをアピールしていた。

また発売前となるRF45mm F1.2 STMも注目度が高いそうで、このレンズを使うためにEOSに乗り換えたいという声もあったとのこと。

発売前のシネマカメラ「EOS C50」も体験できる
レンズも各種用意されており、「F1.4シリーズ」もすべてトライできる

普段あまり見る機会の無いものとして、お天気カメラの新モデル「U-4SR」が展示されていた。テレビの中継映像などで使われるもので、お天気カメラはキヤノンのシェアが90%という。

U-4SR。約20年ぶりに大きく刷新されたそうだ
Lレンズよりも高性能という遮熱塗装を施している
ワイパーも搭載
コントローラーと繋がっており、来場者も操作することができた

シネマカメラ「GFX ETERNA」を展示(富士フイルム)

これまで各展示会で開発中のモデルが展示されていた同社のシネマカメラだが、11月に「FUJIFILM GFX ETERNA」として正式発表され、製品版に近いモデルで撮影を試せるようになっていた。

FUJIFILM GFX ETERNA

GFXシリーズでおなじみのラージフォーマットセンサーを搭載するのが特徴で、ボケ感を意識した映像などに使ってほしいとアピールする。ショートムービーやMV、テレビにおける短いドキュメンタリーなどでの活用も見込んでいるそうだ。価格は200万円台前半とのこと。

本体の両側にステータスモニターを装備している
フィルムシミュレーションでの撮影も可能だ
ジンバル撮影の提案も行っていた
分解モデル。GFXシリーズとは異なる部分も多く、ほとんど作り直したそうだ

AF対応の大口径望遠レンズ「LAOWA 200mm F2」(サイトロンジャパン)

大口径の超望遠レンズ「LAOWA 200mm F2 AF FF」が展示されていた。大きなボケが期待できるフルサイズ対応レンズで、キヤノンEF、ソニーE、ニコンZマウント用を用意する。近日発売し、価格はEFマウント用が34万円前後、そのほか38万円前後を予定している。

LAOWA 200mm F2 AF FF(中央と右手前)

1.6kgを切る重さで軽量に仕上げたという。ベースは一眼レフ用の設計で、ミラーレス用は後部を延長して対応する形式になっている。ミラーレス用では、そのスペースを活用してフィルターホルダーを搭載した。

設計技術や硝材の進化で、昔の同スペックレンズよりも相当軽く作れたという
EF用は後部が無いのでかなり短い

発売直後の新製品としては「LAOWA 180mm F4.5 1.5x Ultra Macro APO」の展示もあった。各種のミラーレスカメラに対応するマクロレンズで、倍率が1.5倍と高いのが特徴。

MFとAFの独立したフォーカスシステムを1つのピントリングで切り替えられる新機能を搭載し、使い勝手を高めたそうだ。

LK SAMYANGの大口径ズームレンズもお目見え(ケンコー・トキナー)

直近の新製品としてEマウントレンズ「LK SAMYANG AF 24-60mm F2.8 FE」が展示されていた。シュナイダー・クロイツナッハとの共同開発品で、価格は約13万円。

望遠端が60mmとなるが、F2.8の標準ズームレンズとしては小型軽量になっており、持ち運びがしやすそうな印象だ。

また、新しいフィルターも並んでいた。「NOSTALTONE GREEN」は、グリーンベースのノスタルジックな写りになるという。

また、「ホワイトミスト No.05」も新製品となる。従来品では効果が強すぎるという声があり、より効果の弱いタイプとしてリリースした。

希少な円周魚眼レンズなどが並ぶ(焦点工房、E&Iクリエイション)

発売済みとなるAstrHoriの円周魚眼レンズ「6mm F2.8 CIRCULAR FISHEYE」のデモが行われていた。現在は少なくなった円周魚眼レンズということで、来場者が足を止めていた。

各種フルサイズミラーレスカメラに対応するほか、APS-C対応版もラインナップしている。

6.5mm F2となるAPS-C対応版も

また、一風変わった描写の7Artisans製シネマレンズもあった。焦点距離37mmと57mmが用意される。画面端ほど像が流れるという独特の描写となる。

PLマウントのみのラインナップのため、ミラーレスカメラではマウントアダプターを介して使ってほしいとのことだが、写真ユーザーも注目のレンズと言えそう。

画面周囲の像が流れているのがわかる

新しく取り扱いを始めたXPIMAGEのマウントアダプターもあった。一例としてこの「M-Canon RF II」は、RFマウントのボディにMマウントレンズを付けるアダプター。レバーによって爪が動き、がたつきの無いレンズの固定ができるというのが特徴となっている。

XPIMAGEは、どちらかというと価格よりも品質重視のブランドだそう

電子NDフィルターを参考展示(VANLINKS)

BENROの電子NDフィルター「NE1フィルターシステム」を参考展示していた。発売は未定。

電子的に濃度が変わるNDフィルターで、タイプにもよるがND3〜64の間で調整できる。レンズには専用のホルダーを使って装着する。リモコンからの操作も可能だが、フィルター単体でも調節可能。

カメラのシューに付けるリモコンもある。明るさセンサーを搭載しており、自動での濃度調節にも対応するとのこと。

レンズのピント制御デモを実施(タムロン)

タムロン製レンズのピント位置を制御する新システムを参考展示していた。2タイプあり、どちらも製品化は未定。

「HEAD Link」はスマホの動きセンサーでカメラのフレーミングを特定し、あらかじめプリセットした2カ所のピント位置にフレームが来たときに自動でピントを合わせる仕組み。

従来、フォーカスマンが行っていた操作をある程度自動化したものと言える。プリセット位置間の振る舞いも設定できる。

USB端子の付いたレンズに対応する。レンズのUSBポートにはBluetoothのアダプターを付けてスマホアプリと連動させる。

もう1つの「SLIDER Link」は、スライダーの動きに合わせてピントを制御するもの。スライダー上の位置をセンサーで検出できるようにしておき、位置に応じてプリセットした被写体にピントを合わせられる。

1981年生まれ。2006年からインプレスのニュースサイト「デジカメ Watch」の編集者として、カメラ・写真業界の取材や機材レビューの執筆などを行う。2018年からフリー。