クルマとカメラ、車中泊

#07:愛用のマルチツールたち

SmallRig 2213。+-ドライバー、六角レンチ、トルクスレンチが一体となっている。材質はアルミ、ステンレス、工具鋼で、見ての通りツールに十分以上の厚みを持たせていることが特徴だ。おかげでしっかりとトルクをかけられる。しっかりしたケースと布袋も付属しており、ネジ変換パーツや予備ネジを入れておけるのだ

SmallRigのマルチツール2213

SmallRigといえば、どちらかといえば動画ユーザーに馴染みのあるブランドかな。カメラのケージ(保護とアクセサリー取り付けベースを兼ねる)やグリップなどをリーズナブルな価格で提供しているブランドだ。リーズナブルだけではなく品質も素晴らしい。そんなSmallRigからマルチツールが出ていたので買ってみた。

ツールのサイズ選択も秀逸で、カメラ周りで普段使いするサイズを最小限ながら備えており、前述の通りしっかり力をかけられるので、固着してしまったようなネジも外すことができるのだ。これならこの1本でロケの際に不安がない。様々なアクセサリーを付け替えるために多くの工具を持ち歩いていたが、この1本で随分と工具の数を減らすことができた。ただ、注意点としては六角レンチが4つあるうちの1つがインチ工具である点だ。二面幅3/16インチでおよそ4.8mm。ミリねじの規格とは合わないのだ。

日本の製品の場合、カメラネジであってもヘッド、つまり六角穴もミリ単位なのだが、海外製品などではカメラネジが1/4インチであることからヘッドもインチになっていることがあり、外せなくて右往左往することがある。そんなことも解決だ。同じネジサイズでもヘッドが違うんだよね。逆にいえば日本製のネジに使うと、六角穴をなめてしまうことがあるので要注意ってことだ。

さて、マルチツールといえばホームセンターでもよく売られている。六角レンチをまとめた製品と比べてみたが、作りがすごく違うことがわかるよね。たくさんレンチが付いていて便利であることは間違いないのだが、レンチを軸に巻き込む構造をしているため、力を入れるとここが捻れて工具が壊れてしまう。

左がSmallRig 2213

まあ本来こうした工具は、本締めというネジが外れないようにしっかりトルクを掛ける行為には使わないものという位置付けなのです。だからこれでいいんだけど、現場で困るのはネジが外れない時なんだ! 外れないネジを外す時には本締め以上にトルクを掛けるからね。

ということで、どうしても外れないネジをSmallRigのマルチツールをバラして使ってみた時の写真がこれ。くれぐれも言っておきますけど間違った使い方です(笑)。しかし結果は工具もネジも壊すことなく、一瞬で固着したネジを外せました。SmallRigのマルチツールが精度も強度も素晴らしいものであることが確認できました

マルチツールといえばスイスのアーミーナイフが元祖みたいなものだけど、多くの機能がポケットに入るというのがそそるんですよ。これ一つあれば、どんなこともなんとかなるみたいな気持ちが楽しいんだよね。実際はどうにもならんことが多いんだけど。しかし、そこに強度と精度が加わると本当に使えるアイテムになるんだなあと改めて思ったSmallRigのマルチツールでした。こうしたアイテムは価格に関わらず所有する喜びを感じてしまうなぁ。

LEATHERMAN RAPTOR(レザーマン ラプター)

マルチツール&所有する喜びということでこちらも紹介。LEATHERMANのRAPTORです。随分前に買って愛用しているので汚れてますが、まずは写真を見てほしい。まさに“変形合体メカ”なのだ。もうコレだけで欲しくなってしまうでしょ?

本来の用途は救急用の折りたたみハサミ。車に閉じ込められた人を救出する、救急隊員のために開発されたマルチツールなんです。

実装されているツールは、①メディカルはさみ、②シートベルトカッター、③リングカッター、④定規、⑤酸素ボンベ用レンチ、⑥窓ガラス割りの6つ。

①メディカルはさみ、④定規
⑥窓ガラス割り
③リングカッター
②シートベルトカッター、⑤酸素ボンベ用レンチ

ここでも大事なのは素材の厚み、つまり強度ってことになるのかな。このハサミはメディカル用ってことなので、包帯などを切ることを想定してると思うのだけれど、薄くしなやかなものから厚くて硬いものまで、なんでもよく切れる。キャンプの時などは肉を切るのに使っていたりするよ。③のリングカッターも針金やワイヤーをカットするのに使ってます。

さて本来は、車外から車内の人を救出するためのツールなのだが、僕はこれを車内から脱出すためのツールとして車内に常備しています(ハサミ部4.8cm)。窓ガラス割りも付いているので。

脱出ツールとしては下のリンクのようなものが一般的だけど、LEATHERMAN RAPTORの方が魅力的でしょ? 色々使いまわせるし、何より合体変形メカで所有する喜びも付いてくる(笑)。

ところで僕たち世代の若かりし頃は、寝ても覚めても車が欲しいのでした。なので学生時代、車を持ってないのに学生同士では車とバイク、教授とは車の話題で盛り上がったものでした。中でもラリーをやっている教授がいて、その方の話はいつも新鮮でした。失敗談として「3点式のシートベルトは、車がひっくり返った時にバックルに手が届かなくて自分で外せないんだよ〜」と楽しそうに話していた教授の顔を今でも思い出します。この話はいつも頭の中にあって、初めて車を買った時、最初に買ったアクセサリーは上のリンクのような脱出ツールでした。幸いこれまで一度も使ったことないけど。

しかし、万が一はいつやってくるかわかりません。脱出ツールは備えておきましょうね! おすすめはLEATHERMAN RAPTORですよ〜。

1962年東京生まれ。日本大学芸術学部卒業後、出版社マガジンハウス入社。社員カメラマンを経て2010年にフリーランスとなる。主に風景・星景を撮影し、星空の撮影は中学校で天文部に入部した頃からのライフワーク。またドローンでの撮影や、国家資格の審査員も行なっている。コロナ禍の影響で拠点を九十九里に移してから、ネット通販、特にAmazonの利用機会が増加。ちょっとくらい評価が悪くても買ってしまう“密林の探索者”を自認している。