赤城耕一の「アカギカメラ」
135回:OM-1になれなかったオリンパス「E-620」を17年ぶりに使ってみた
2026年2月20日 07:00
本連載で何度かご報告しておりますが、カメラ断捨離は引き続き継続中です。
何度か書いている愚痴ですけど、人気薄のお古なデジタルカメラ、レンズって、売り時を逃してしまいますと、手放す時には、悪い冗談のような不本意な買取り価格を提示されたりすることがあります。
はい、筆者はもうおじいさんなので仮に不満があっても、店頭でゴネたりはしません。素直に愛機を持ち帰り、窓から静かに夕日を眺めたりしています。
買取交渉不成立にて本日持ち帰ってきたカメラはオリンパスE-620でございます。2009年登場のフォーサーズ一眼レフでございます。そう、あれから17年を経ました。
くだんのお店での買取提示価格は昨日の安居酒屋の支払いにも足りない金額提示をされてしまい、怒るどころか店頭で思わず吹き出しそうになりました。
E-620のセンサーは有効1,230万画素の4/3型ハイスピードLiveMOS。7点のAFエリア、このうち中央5点はツインクロスセンサーというのが発売時のウリであります。
イメージャ対応のフォーサーズマウントレンズを装着すると、ライブビュー時のイメージャAF(コントラストAF)のスムーズな動作が期待できます。
画像処理エンジンはTruePic III+ですが、いまの画像処理エンジンはなんでしたっけか。最高ISO感度はISO 3200です。連写速度は4コマ/秒とのこと。ニコンFのモードラかよ、お前は。というくらいのコマ速度ですが。当時ではこれでも頑張っていたのでしょう。筆者は高速連写撮影はほとんど行わないので、このスペックで不満はありません、
あ、もちろんオリンパスのデジタル一眼レフ黎明期からのウリであるゴミゼロ機能は言うまでもなくE-620でも継承しております。このため、超音波防塵フィルター「SSWF」を備えております。
実はうちのE-620、ほとんど使用形跡がないままロッカーから発掘されたのでした。自分でいうのもヘンですが、まぢでキズひとつない新品同様だったのです。
使用時にモチベーションがダダ下がりになる経年変化によるグリップの加水分解もありませんでした。運が良かったのでしょうか。そこで、あらためて本連載でE-620を取り上げようと考えたわけです。
それにしても購入から使用頻度が極端に少なかった理由が自分でもよくわかりません。なにしろ17年前のことですから、筆者もカメラの存在すら忘れており。
これは推測でありますが、単純に考えますとE-620は2009年3月に登場、同年6月にはオリンパス初のミラーレス機であるマイクロフォーサーズのPEN E-P1が発表されています。
そうです。筆者は重症のカメラ浮気性ですから、PEN E-P1登場の噂を聞いて興奮してしまい、E-620の使用頻度が極端に落ち込んだのかもしれません。
いや、もしかすると、他のメーカーから同時期に登場したカメラにココロを奪われていたのかもしれませんけど。ここでは、あえてそれを調べることはしませんけど、こちらのほうが可能性が高そうです。
今回、当時のカメラ雑誌のレビュー用に撮影したE-620画像をいくつか発掘してみたのですが、バリエーションが少ない。
権利関係で、ここには載せられませんが、モデルさんの写真も出てきましたが、なんだか気持ちの入っていない作例でした。筆者があまりE-620に対して興奮していないことが作例からわかるわけです。おそらく、その当時オリンパスのEシリーズでもっとも使用頻度が高かったものは、E-3(2007年)とE-520(2008年)あたりだと想像されます。このころは毎年のようにミドルクラスやフラッグシップのモデルが出ていた時代ですね。それに逐一お付き合いするのはたいへんなことでありました。
でも現在ウチにE-620があるということは、間違いなく購入したんだよなあ、エライよなあヲレ。たぶんE-520を下取りに出していると思いますけど。
それにしても、E-620のどこが気に入ったのでしょうか。このころはまだフトコロに若干の余裕があったのでしょうか……。いやいやそんなことはないはずです。惰性での購入かなあ。
話を戻しますとですね、本連載でも取り上げたことのあるオリンパスE-400(2006年・日本未発売)を入手して以降、筆者は、オリンパスからこのOM系のデザインで最強版のモデルが登場することを、強く期待していたのでしょう。で、E-620はそれなりに頑張っていたことを高く評価し購入したのだと思います。ちなみにE-400から続く、このデザインの後継モデルはE-620以降はないので完成型ともいえます。
往時の撮影画像を確認したら、筆者には珍しくプライベートなシーンも撮影していました。これはE-620が小型軽量、携行性に優れたモデルであることの証であるといえます。
ただ、6月以降の撮影ショットはほとんど出てきません。この時にはすでにPEN E-P1に完全にココロを奪われていたとみるべきで、そのまま本機はナイナイされてしまったと思われます。
ちなみに、フォーサーズ機の最後のフラッグシップE-5が登場するのは2010年ですね。この時まだミラーレスのマイクロフォーサーズ機はオリンパスのEシリーズの主流になり得るのかという疑問がオリンパスにも筆者にもあったのかもしれませんが、E-5はプライベートで持ち出して撮影した記憶がほとんどありませんし、これもまた使用頻度は高いとはいえません。
機材ロッカーから久しぶりに引っ張り出したE-620、なかなかいいヤツであることがわかります。
OMのOの字もカメラ名にはないというのに、フィルムOMにリスペクトしている雰囲気がひしひしと伝わってきます。
そうだったのか、本当は思い切りOMの名を叫びたかったけれど、この時はまだ時期尚早だとして、我慢をしたのかもしれません。ただ、スペックは違えど、いつかOMになりたいとするこの思いは、本機でも感じられます。現在のOM-1とかOM-3にも決して負けていないようにも思えてきます。
ボディを握った感じは、いまのOM各種とは別ものです。それでも剛性感、凝縮感があります。いまのOM-3よりも、グリップ感がしっかりしているようにも感じます。でもないのか(笑)。
でも、この当時、PEN E-P1が出た後でも、オリンパスでは、デジタル一眼レフも並行してやってゆくのだという考えもあったのでは。でも、未来はぜーんぶミラーレスカメラになるぜと、カメラエンジニアのみなさまは考えてはいたと思いますけれどね。表には出しませんが。
E-620のファインダーを覗いてみます。小さいですね、悪いけど。でも、このシリーズではファインダー倍率は高いほうらしいのです。そうなの?
フォーサーズセンサーのサイズに合わせた光学ファインダーですし、アスペクト比も4:3ですから小さく見えてしまうのは当然ですが、OM SYSTEMのマイクロフォーサーズ機のEVFよりもかなり小さく感じてしまいます。レンズを外すとミニサイズのミラーがあり、シャッターを切ると健気にパタパタと動作します。
7点のAFエリアですが、この小さな面積の光学ファインダーで、AFエリアを逐一選択した人って、相当に律儀な人に思えてしまいます。いまの筆者など、最新のミラーレス機ではすべてAFエリアは自動選択にしていることも珍しくありません。ええ、比べようもないのですが、すっかり怠惰になりました。老眼の年寄りですから仕方ありません。
本機は一眼レフであり続けようとする気概を感じさせつつ、ライブビュー撮影にもアドバンテージを持たせています。このあたりにも将来を見据えてという思いを感じます。
しかも、ライブビュー撮影時のイメージャAFに対応するフォーサーズマウントのズイコーレンズを使用すると、ストレスをあまり感じさせず、フォーカスが合焦します。
このため思わず、光学ファインダーの存在を忘れてしまいそうになります。当然です。一眼レフのライブビュー時にはミラーアップする必要がありますから、本体の光学ファインダーを見ることはできません。
筆者は性格が悪く、いじわるなのでこの当時はまだ、一眼レフなのにライブビューを重視する姿勢、これに頼りすぎる撮影はどうか?という疑念を強く持っておりましたよ。ほんの少し前までは、多くのカメラのコントラストAFの動作速度がイラつくほど遅かったという理由もありました。
一眼レフの光学ファインダーを持ち上げてしまうのは、撮影の楽しみや光学ファインダーの見え方の心地よさということを含みます。年寄りなので、一眼レフ時代のほうがミラーレス機の時代より長かったということもあります。
ただ、コントラストAFは像面での合焦ですから信頼できます。大口径レンズや撮影条件などによっては、安定した合焦精度を得るためにも、うまく利用をすべきだと考えています。
ただし、少々問題を感じるのは、イメージャAF非対応レンズでは、シャッターボタンを半押しした状態ではAFはおおまかに合わせるだけで、全押しした状態で完全に合焦させようとすることです。
このため、AFスピードが遅くなったり、合焦精度的にも怪しくなったりします。機構的にやむをえないとはいえ、あれこれと交換レンズを使いたい場合は、イメージャ対応、非対応を考えることはないので、少々面倒ですね。
本当に忘れかけていたE-620の存在ですが撮影は快適でした。17年前のモデルを無理して使用しているという感覚が薄いのです。フィルム時代から一眼レフを扱ってきていますし、いまもフィルムカメラを使用していますから、光学ファインダーに違和感がありません。
ただ、いまから見ますと、フォーサーズマウントのレンズは大きいものが多い。これは高い光学性能を徹底追求するという意欲の現れなのかもしれませんし、ミラーの駆動距離にマージンを必要とする光学設計の必然から、このサイズになったということもあるのかも。
少しいじわるな見方をすると、小さなフォーサーズセンサーを採用しているので、フォーマットサイズが大きなカメラよりも画質が劣ると思われたくない、誤解されたくない、だからレンズ性能を徹底追求するという姿勢があったのかもしれません。
フィルムカメラのレンズも、数値性能上は、小さなフォーマットのカメラのレンズのほうが同条件で測定すると数値性能が高いのです。拡大率が大きくなるからでしょうか。
それにしても、E-620のような小型軽量を追求したモデルと、高性能のフォーサーズマウントレンズの相性は、装着レンズによっては全体の見た目が滑稽にみえてしまうものもありますが、いまとなってはその滑稽さすら魅力に思えることがあります。仕事に使うのはいやですが。
E-620のファインダーアイピースに、当方の目をメガネごとぎゅっと押し当て、視野を見てみます。視野は小さくAFエリアが詰まってみえますが、しばらく使用するうちに慣れてきました。AFの動作や速度は筆者のプライベートな撮影には十分です。
ライブビュー時の動作はコントラストAFのため、合焦点を一度行きすぎて戻ってくるという宿命的な動作をします。
もちろん現代の像面位相差AFを搭載したミラーレス機と本機の動作を比べても、意味はないでしょう。
どこか基本は一眼レフ、いちおうライブビュー撮影もできるよ、というのが本機の設計の基本であることもわかります。光学ファインダーを主に使用して撮影しているとバッテリーは長持ちするのでこれはいいですね。
シャッター音はややカン高いですね。お世辞にも静かとは言い難い。連続撮影するとシャキシャキという金属音がしますが歯切れがいいので、生理的には気に障りません。
全体としては、E-620はとても楽しく使えるカメラという印象で、そうだそうだ、フォーサーズ一眼レフってこうだったよねと、小さな光学ファインダーを観察しながら想いに浸りました。
画質はどうでしょう。モニターで拡大確認すると、ああ、1,230万画素って、この程度の解像感だったかなあという思いがする一方で、プリントや印刷物をみると、少なくとも筆者には問題を感じさせない高画質です。本機は発売から17年を経ていますが、私たちはカメラの高画素化とともに、写真の鑑賞方法を間違えてしまったのかもしれないのではと思うことがあります。
ただ、高感度ISO設定の時の画質は少々厳しいようです。ここだけは少々時代を感じます。高画質を維持したい場合には、ISO感度は最高でもISO800あたりに留めておいたほうが無難なようです。
最近では古いデジタルカメラを使って遊ぶという人も少なからずいらっしゃるようですが、筆者は、一部の機種を除けば、古いデジタル一眼レフのデザインや機能的な情緒的部分に注目したり、発展途上の画質だけを喜んでいるわけではありません。
もちろんそれも楽しみのひとつですが、経年変化の不安やバッテリーの入手、メンテナンスを考えると、どなたにもオススメできるわけではなく、あくまでもお気楽なお遊びの範疇であります。
冒頭で述べたように、旧モデルを売りそびれ、もったいないから長く使おうとする理由は大きいのです。一眼レフ用の交換レンズも簡単に捨てきれない。これもまた売りそびれて古いものになると買取金額が極端にお安く、売るに売れないというのが実情だからです。
もちろんマウントアダプターで一眼レフ用のレンズをミラーレス機に転用することで溜飲を下げているところもあります。現行レンズは恐ろしく高額になりました。
こうすればフトコロにも優しいですし、過去と未来を繋ごうという技術の知恵を感じることもあります。ただ、この方法では最新カメラのパフォーマンスを全て引き出すことはできませんが、それも納得の上で一眼レフ時代のレンズをミラーレス機で楽しむ方法を本連載でもメーカー別に取り上げてきました。
オリンパスの場合は、フォーサーズマウントにあった焦点距離のレンズがマイクロフォーサーズ用レンズには採用されなかったものもいくつかあるわけです。
あたりまえのことなのですが、一眼レフ用の交換レンズをミラーレス機用のマウントアダプターから外し、往時のデジタル一眼レフにダイレクトに装着すると、整合感や安定した動作に感激します。そう、“ここに還ってきた” 感覚を楽しむことができるからです。
かつて存在したものをなかったものにすることはできない。これ、けっこう深い真理です。高性能で便利なものだけが優れたカメラではないことを再認識したりするわけです。
以上、年寄りの戯言でありました。
CP+2026の初日、阿部秀幸さん、赤城耕一さん、今浦友喜さんが登壇するトークイベント 「カメラ記者クラブ カメラグランプリ2026注目機種と行方を大胆予想!」 が行われます。
2026年のカメラグランプリにエントリーされている注目機種を、グランプリ選考委員のおなじみ3名が語り合うという内容。興味のある方はぜひ会場へ! 行けない方はLIVE配信でどうぞ。
- 日時:2月26日(木)14時10分〜14時50分
- 会場:CP+2026会場内ステージB(パシフィコ横浜)








































