カートリッジを1個だけしか使わないPhotosmart 325は、3色コンポジットのカラー印刷か、3階調グレーによるモノクロ印刷からユーザーが選択して印刷を行なう。印刷ヘッド一体型のためインク滴サイズは上位機種と同じ全弾5pl(ピコリットル)。
5plの3色印刷といえば、2年前のPIXUS 550iと同等。しかし、膨潤型メディアのせいか、それともドット配置の最適化技術が進歩しているのか、あるいは微妙にインク滴サイズが異なるのかは判らないが、数字から想像するよりはずっと良好な写真を得られる。
薄いインクを用いないため、多少、異なる表現となる部分はあるものの、全体的な絵作りはDJ6840と同じ。粒状性に関しては不利ではあるものの、ハイライト領域以外はさほど気になる部分はない。むしろシャドウ部へのグラデーションでは、DJ6840が黒インクを使うため描写が粗くなるのに対して、コンポジットブラックの本機の方が滑らかな表現になる。
3色による印刷は黒インクがない分、黒の濃度が低かったり、色がシフトしたりといった問題が出やすいが、インク滴を多数重ねることで濃度を濃くできる膨潤型メディアの特徴もあって、黒インクなしの不利はさほど感じられない。一方、モノクロ印刷に関しては上位モデルとほぼ同じで、印刷結果にも顕著な違いは見られない。
また今回の特集で取り上げた中では唯一のメモリカードダイレクト印刷が可能なモデルだが、600万画素以下の画像でテストしている限りにおいては、プレビューも印刷も高速。印刷解像度や品質も、Windowsのプリンタドライバで高画質を選択した時と大きな違いは見られなかった。
なお、最高dpiモードと高画質モードの違い、あるいは自動レタッチ機能についても、上位モデルと同じである。本機は他製品と性格が異なることや、A4出力が行なえないこともあり、モノクロ写真と風景、人物のテストのみ行なっている。また他製品がA4出力なのに対して、本機はL判への出力結果である。
※テスト方法についてはこちらをご覧ください。
モノクロ写真 |
風景 |
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DJ6840と同じカートリッジを用いることもあり、印刷結果は酷似している。純黒調のニュートラルなモノクロ印刷は、グレーインクカートリッジを持つHP製プリンタだけのものだ。階調も豊富で滑らか。トーンカーブも写真調で黒が潰れ気味になるのも同じ。手軽に品質の高いモノクロ印刷を得られる。
多少残念なのは、L判のマット用紙が純正では用意されていないことか。
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6色印刷のDJ6840と基本的な絵作りは同じだが、コントラストや彩度は本機の方が控えめ。また淡インクを用いない分、粒状性が空の部分でノイズのようにざらついて見える。L判へのプリントはA4よりも鑑賞距離が短くなり、粒状性はより目立ちやすいから、という理由もある。
一方、林や芝生のような空間周波数の高いエリアは問題い。とはいえ、階調そのものは素直なため、絵柄の印象そのものは悪くない。バッテリ駆動可能なポータブル機という本機の性格を考えれば十分な品質だ。
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人物 |
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こちらもDJ6840と同傾向で印刷結果の違いは小さい。補正量を自動に設定した時の修正は多少控えめだ。しかし、絵としてのバランスを考えると、この程度の補正に留めた方が“当たり”は出やすそうだ。HP製ドライバの場合、各種自動レタッチ機能は機能のオン/オフ、それに補正量をマニュアル設定することもできるため、これで足りないようならば、デジタルフラッシュやコントラスト強調を強める事も可能だ。印刷前、画面上で補正結果をプレビューすることも可能なため用紙も無駄にはならない。
DJ6840にあった目の回りのシャドウ部が強調され窪んだような絵になる現象は本機ではない。粒状性はそれなりにあり描写は粗めだが、鑑賞距離ならば気にならないだろう。 |
【お詫びと訂正】記事初出時、作例画像のリンク先を誤っておりました。お詫びして訂正させていただきます。
■ URL
インクジェットプリンター 2004年冬モデルレビュー
http://dc.watch.impress.co.jp/static/2004/printer/ijp2004.htm
( 本田 雅一 )
2004/11/26 00:37
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