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~6色機からの買替え対象になる4色機
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~新筐体&新インクでA4機を一新
[2004/11/19]


キヤノン PIXUS iP4100

~6色機からの買替え対象になる4色機

 PIXUS iP4100は染料系のシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックに加え、普通紙用の顔料系ブラックを加えた5インクシステムを採用している。このため、下位機種となるiP3100と比較すると、染料ブラックが多い分だけ黒の濃度が高くコントラストを高めやすい。

 インク滴サイズは5pl(ピコリットル)+2pl。粒状性が目立つ部分では2plのスーパーフォトノズルが多用されるため、プロフォトペーパーと組み合わせると薄いインクをいっさい使っていないプリンタとは思えない粒状性の低さと滑らかな階調だ。

 とはいえ、同サイズのインク滴で薄いインクを用いたプリンタと比べれば、淡インクの重ね打ちや濃インクと淡インクの組み合わせで階調を作るといった微妙な調整が効かない分、ハイライトやシャドウ部にかけてのグラデーションでは、描写が粗くなりがちな部分も見受けられる。

 全体的な絵作りは忠実性を意識しながも、好ましい色を演出する意図が見える。もっとも、昨年のキヤノン製プリンタは見栄え優先で派手なところは思い切り彩度す演出過多な部分が見られたが、今年はわざとらしいほどの派手さはない。

 全体の印象を損なわない程度の補正は加わっており、スッキリと曇り気のない絵に仕上がる。後述するiP7100との色の統一感もあり、“キヤノンの色”を作ろうという強い意識がくみ取れる。ややコントラストが強めに出る傾向はあるが、4色と6色でインク数が違い、ヘッド構成も全く異なるにもかかわらず、ここまで絵作りを近づけるのは難しいはずだが、ここまで近づけているのは立派だ。

 ヘッド構成が同じにもかかわらず、画像処理の違いからか粒状性や階調性は、昨年のPIXUS 860iと比べて若干改善されており、これまで4色インク機に不満を持っていたユーザーも再評価しても良いのでは? というレベルには達している。4色機ユーザーはもちろんだが、数年前の6色インク機ならば、買い換え対象としてふさわしい実力はある。

テスト方法についてはこちらをご覧ください。

ポートレイト ある交差点の風景

 ハイライトとシャドウを強調するS字トーンカーブを描き、見栄えを良くしようという意図が感じられるが、ごく僅かな味付け。基本的には元データに忠実である。黒く潰れているように見える背景も、暗幕の折り目やシワが階調として残っている。肌や髪の毛の色も正常だ。

 ただし顔の右半分、つまりシャドウ部は赤みが弱くなり、僅かな緑カブリを感じる。また中明度のエリアに比べると、描写の粗さも目立つ。とはいえ、4色印刷でここまで上手に人肌を表現できれば十分。

 空間周波数の高い絵柄だけあって、鑑賞距離(30~50cm程度)での比較では6色以上のフォトインク採用機と比べても、全く遜色ない仕上がりになった。空や雲の描写でも問題は感じられず、道路や建物のテクスチャもきちんと再現される。

 色調の色がオリジナルデータの“作り物”っぽい色を、常識的な青として表現している事を除けば、元データの印象に対して忠実。わずかにあっさり目のテイストにはなるが、インクジェットプリンタ全体の中での相対的な評価では忠実度は高い方と言える。

絵はがき モノクロ写真

 階調によって多少色相がブレる。全体に赤みが強く、しかも明るさによって赤みの強さが変化するため、モノクロ印刷を行なうのには適していないようだ。

 絵はがきが側面から写っている部分は、先鋭度の低いプリンタでは潰れや滲みを感じさせる表現となるが、本機では全く問題ない。トーンカーブも正確で明るい部分はもちろんだが、スタンドの隙間から見える背景などの明るさを含め、オリジナルデータの雰囲気をよく表している。

 色に関しても同様だが、赤色に関しては彩度が多少低めに描かれた。このあたりはRGBデータからの印刷ではよくある事だが、全体的な印象を損ねないようにうまくまとめている。

風景 人物

 空や緑をことさらに強調しないところはいい。ただ、この写真では林の木々の緑がやや黄色がかって印刷された。空の部分は4色インク機では粒状性が目立ちやすい部分だが、さほど気にならないレベルに抑え込まれている。

 Easy Photo Print Plusで美肌加工を施してから印刷している。元データのコントラストを意図的に下げているが、シャドウ方向へと階調を伸長処理しているのがわかる。ただ、シャツと壁の間のコントラストは低いままで、全体に髪の毛と肌色だけが目立つ絵になった。

 肌部分のコントラストもあまり拡大させていないため、かなり平板な絵になった。画像処理で肌を滑らかにする処理が施されてたこともあり、厚化粧をしたような写りである。ただ、元画像の質をかなり落としていることを考えれば、妥当な結果と言えよう。



URL
  インクジェットプリンター 2004年冬モデルレビュー
  http://dc.watch.impress.co.jp/static/2004/printer/ijp2004.htm


( 本田 雅一 )
2004/11/24 00:06
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