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キヤノン PIXUS iP4100
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~6色機からの買替え対象になる4色機
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PIXUS iP4100は染料系のシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックに加え、普通紙用の顔料系ブラックを加えた5インクシステムを採用している。このため、下位機種となるiP3100と比較すると、染料ブラックが多い分だけシャドウ部の濃度が高い。
インク滴サイズは5pl(ピコリットル)+2pl。粒状性が目立つ部分では2plのスーパーフォトノズルが多用されるため、プロフォトペーパーと組み合わせると薄いインクをいっさい使っていないプリンタとは思えない粒状性の低さと滑らかな階調だ。
全体的な絵作りは忠実性を意識しながも、好ましい色を演出する意図が見える。昨年のキヤノン製プリンタは見栄え優先で、演出過多な部分が見られたが、今年は必要以上に派手さの演出は行なわれていない。
ただし、全体の印象を損なわない程度の補正は加わっており、スッキリと曇り気のない絵に仕上がる。後述するiP7100との色の統一感もあり、“キヤノンの色”を固定化しようとしているようだ。4色と6色でインク数が違い、ヘッド構成も全く異なるにもかかわらず、この差の小ささは驚きだ。
ヘッド構成が同じにもかかわらず、画像処理の違いからか粒状性や階調性は、昨年のPIXUS 860iと比べて若干改善されており、これまで4色インク機に不満を持っていたユーザーも再評価しても良いのでは? というレベルに達している。数年前の6色インク機ならば、買い換え対象としてふさわしい実力がある。
※テスト方法についてはこちらをご覧ください。
■ JIS-N1RGB
背景のグリーン、ドライフラワー、ワインやソファーのレッド、それにドレスのブルーなどは、元データに対する忠実性はかなり高い。背景に関しては、ややイエローが弱い印象だが、ほぼ不満のないレベルだ。トーンカーブの一致も見事で、背景の緑がシャドウへと落ちていくグラデーションやソファーの立体感がきちんと表現されている。
ドレスの青は、本来CMYKでは再現できない色。昔のプリンタは、この青を再現できず、紫にカラーシフトするものもあった。しかし、本機では元データの印象をそのままに画像処理が施され、感覚的に元の色にとても近い色できちんと再現されている。
一方、肌色に関しては演出が見える。オリジナルデータはややアンダー目で暗く沈み、黄色が強い肌色で、“透き通るように美しい肌”といった写りではない。ところが、iP4100で印刷すると、元データと似ているものの、もっとスッキリと健康的な肌色に印刷される。
肌色部分に関しては、やや平板的で立体感には乏しいが、ポンとデータを入れてきれいな肌色を得たいユーザー層には向いている。忠実性はさておき、“きれいな絵作り”という意味では良い結果だ。階調面でもおかしなところは見受けられず、頬、顎、首筋あたりのシャドウ部にかけて、色相がコロコロと回転することもなく素直な特性であることが伺える。
JIS N1はインクジェットプリンタが不得手としている色やグラデーション部が多く、素直な階調がなければ上手に表現できない素材だが、4色インクでこれだけの表現ができる点は評価すべきだろう。
■ JIS-N2RGB
皿の色と背景左上の明るい部分の明度が、オリジナルデータよりもやや明るめに印刷された。皿の色はもう少し黄色が強いが、スッキリした白磁器に見える。しかし、それ以外の部分は見事だ。スッキリと純度の高いメリハリのある絵になるが、あくまでも“なんとなく”程度で、演出過多なところは見られない。
皿の陰影や背景の青に関しては、拡大すると6色機比で粒状性は認められるが、鑑賞距離では気にならない。
■ JIS-N3RGB
空間周波数が高い素材が多いため、基本的には4色機が得意とする素材である。顔料系黒しか持たないプリンタに比べると黒もしっかりと締まり、コントラスト感、ナイフなど金属の描写、扇風機のボディなどもきちんと表現できている。以前のモデルでは本の綴じ部にあるシャドウで階調が飛ぶ現象が見られたが、本機にはそのような問題はない。
オレンジの壁は、多少明るく派手に見えるが、各種毛針や糸の色は正常。
■ モノクロ写真
階調によって、わずかに色相がブレる。全体に暖色系に振れており、ニュートラルグレーのモノクロ印刷には適していないようだ。
■ 風景
空や緑をことさらに強調しないところはいい。ただ、この写真では林の木々の緑がやや黄色がかって印刷された。空の部分は4色インク機では粒状性が目立ちやすい部分だが、さほど気にならないレベルに抑え込まれている。
■ 人物
Easy Photo Print Plusで美肌加工を施してから印刷している。元データのコントラストを意図的に下げているが、シャドウ方向へと階調を伸長処理しているのがわかる。ただ、シャツと壁の間のコントラストは低いままで、全体に髪の毛と肌色だけが目立つ絵になった。
肌部分のコントラストもあまり拡大させていないため、かなり平板な絵になった。画像処理で肌を滑らかにする処理が施されてたこともあり、厚化粧をしたような写りである。ただ、元画像の質をかなり落としていることを考えれば、妥当な結果と言えよう。
■ URL
製品情報
http://cweb.canon.jp/pixus/lineup/ip4100/
インクジェットプリンター 2004年冬モデル レビュー
http://dc.watch.impress.co.jp/static/2004//printer/ijp2004.htm
( 本田 雅一 )
2004/11/19 09:20
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