カシオEXILIM EX-ZR10の「HDRアート」作例集
※作例および機能解説は、カシオ提供のβ版によるものです。実際の製品とは異なる可能性があります。
カシオが11月26日に発売する「HIGH SPEED EXILIM EX-ZR10」は、従来のHIGH SPEED EXILIMの系譜をなぞりながらも、新たに「HDRアート」という機能を前面に打ち出しているのが特徴だ。
HIGH SPEED EXILIM EX-ZR10。写真のブラックに加え、シルバーもラインナップ。店頭予想価格は4万円前後の見込み |
露出の異なる画像を合成することで、ダイナミックレンジを広げるHDR(ハイダイナミックレンジ)については、もはや説明の必要はないだろう。最近になりiPhone 4のカメラ機能に搭載されたことで、一気に認知が広まった感がある。
そもそもHDRは、撮影後の画像編集で得られるものだった。3年前ぐらいまで、美しいHDRを実現するには人力による職人技が必要とされていたが、それがパソコン用アプリケーションの定番機能となり、さらに近年では、デジタルカメラ本体にも搭載されるようになっている。その背景には撮像素子へのCMOSセンサーの採用があり、特に手持ち撮影でのHDR機能は、カメラ本体の連写性能の向上が欠かせなかったはずだ。
今回カシオが発表したHDRアートは、従来のHDRに加えて搭載される新機能で、現在のところEX-ZR10でしか利用できない。露出の異なる連写画像を合成してダイナミックレンジを拡大するところまでは同じだが、「画像を高精度に解析し、局所的にコントラストや彩度の強弱を変化させる」(カシオ)ことで、絵画調のドラマチックな表現が得られるというものだ。
従来、こうした処理はパソコンで行なうしかなかったところを、マルチCPUと2つの画像処理回路からなる「EXILIM ENGINE HS」を新搭載したことで、カメラ内での自動処理が可能になったという。ほかにもEX-ZR10は、複数の画像から超解像処理を行なう「マルチフレーム超解像技術」も搭載している。これもEXILIM ENGINE HSの高速処理が可能にしたもののひとつだ。
EXILIM ENGINE HSを解説したパネル。10月19日開催の発表会にて |
なお、HDRアートとは別に通常のHDRもあり、どちらも手持ち撮影が可能。HDRでは今回、最大13EV相当での拡大が可能になる新しいアルゴリズムを導入している。
HDRアート、HDRとも、撮影は専用の撮影モードから行なう。シャッターボタンを押すと高速連写が始まり、HDRアートの場合は2〜3秒の待ち時間の後、画像処理が終了する。撮影時、画素数は通常時の1,200万から1,000万に減少し、画角もわずかに狭まる。CMOSセンサーの転送能力による制限のためだそうだ。
※作例のサムネイルをクリックすると、4,000×3,000ピクセル、または3,648×2,736ピクセルの画像を別ウインドウで開きます。
※撮影画像はβ機によるものです。いずれもカシオから提供を受けたものです。
通常撮影 | HDR |
HDRアート |
通常撮影 | HDR |
HDRアート |
通常撮影 | HDR |
HDRアート |
カシオ提供のHDRアートの作例を見て感じるのは、最近のFlickrなどを舞台に、海外で流行しているHDR作品の作風に通じる点だ。こうした表現をカメラ内処理で気軽に行なえる点が、EX-ZR10最大のポイントとなる。
その代わりHDRアートでは、ダイナミックレンジ拡大の強弱、彩度の強弱、色調などといったユーザーによる調整は一切行なえない。表現のひとつとして設けられた機能なので、こうした割り切りをどう捉えるかは、ユーザーそれぞれの受け取り方次第といえるだろう。いずれにしても、デジタルカメラに新しい価値を加えるものとして、発売後の動向に注目したい。
2010/10/27 16:12