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【特別企画】デジカメ+スマートフォンの今(後編)

〜Eye-Fi、FlashAir、AirStashをチェック
Reported by 甲斐祐樹

 前編ではデジタルカメラ本体からの転送機能を中心にレポートしたが、後編ではメモリカードを利用したスマートフォン連携を取り上げる。

 対象となるのは無線LAN機能を搭載し、Webサービスへのアップロードやスマートフォン連携機能など多彩な機能を搭載した「Eye-Fi」、無線LANアクセスポイント機能を搭載した「FlashAir」、そして市販のSD系カードに対応した無線LAN機能搭載カードリーダー「AirStash」の3製品だ。


多機能な「Eye-Fi」。スマートフォンからのPCレス設定にも対応

 今回取り上げるSDカードソリューションの中で、もっとも多彩な機能を持つのがEye-Fiだ。デジタルカメラで撮影した写真を無線LAN経由でWebアップロードできる機能に加え、指定したPCやスマートフォンでの自動ダウンロード機能、スマートフォンへ直接画像を転送する機能など、非常に多くの機能を備えている。

Android端末から設定できる「Eye-Fi Mobile X2 for ドコモ」。ドコモショップなどで購入できる

 アップロードする対応サービスもFlickr、Picasa Web Albums、YouTube、Facebookといった海外のサービスから、はてなフォトライフ、livedoor PICS、mixi、フォト蔵など国内のサービスまで20以上のサービスに対応するほか、独自のオンラインアルバムサービス「Eye-Fi View」サービスも提供。基本的にはどのデジタルカメラでも利用できるが、Eye-Fi機能を備えたデジタルカメラも増えており、Eye-Fiの無線LANアップロードをカメラ側でオフにすることもできるようになっている。

 多彩な機能ながらもPCでの事前設定が必要であり、気軽に使うには課題もあったEye-Fiだが、NTTドコモとの提携により、Android端末であればPC不要で設定できる「Eye-Fi Mobile X2 for ドコモ」も発売された。製品パッケージに同梱の「スタートカード」二沿って認証を行なうことでEye-Fiとスマートフォンのペアリングを行ない、Eye-Fiのデータをスマートフォンへ直接転送する「ダイレクトモード」をPC設定を介することなく利用できる。

本体とSDカードリーダーの他にセットアップのためのガイドが付属 カードに記載された番号を入力して認証。QRコード経由でも認証できる

スマートフォン側の認証画面

設定が完了すると、Eye-Fiカードを挿入したデジタルカメラで写真を撮影するたびに画像を自動でスマートフォンへ転送する

受信中の画面

 画像を直接アップロードすることもできるEye-Fiだが、前編のIXY 1と同様、こちらも対応サービス数は多いながらも決まったサービスのみへのアップロードに限られており、写真ごとにコメントを入力することもできない。撮影した写真を好きなサービスへ投稿したいのであれば、スマートフォン連携のほうが便利だ。

 「Eye-Fi Mobile X2 for ドコモ」のガイドに従って設定した場合は、Eye-Fiからスマートフォンへ直接画像を転送するダイレクトモードになるが、設定を変更することでアクセスポイントを経由して画像をWebにアップロードし、それをスマートフォンへダウンロードするという設定も可能になっている。アクセスポイントとアドホックという接続方法を選択できるという点ではIXY 1のようだが、大きく異なるのはEye-Fiはインターネットを経由するため、スマートフォンと同じネットワークに接続する必要はないということだ。

 例えばEye-Fiが家庭内のアクセスポイントに接続、スマートフォンは携帯電話のネットワークに接続している場合でも、画像はEye-Fiのサーバーを経由することで、スマートフォン側へ画像が自動でダウンロードできる。また、同時にオンラインサービスへ画像をアップロードすることも可能になっているため、好きな写真をオンラインアルバムにアップロードしつつスマートフォンからはTwitterやFacebookへ投稿、という使い分けも可能だ。

 一方、外出先などでルータ環境がない場合は、Eye-Fiの画像を直接スマートフォンへ転送するダイレクトモードが有効だ。「Eye-Fi Mobile X2 for ドコモ」で設定したAndroidスマートフォンの場合、Eye-Fiカードを挿入したデジタルカメラで写真を撮影すると自動的にアプリが立ち上がり、無線LANも自動で切り替えてくれるのが便利。ただし、Eye-Fiから画像を転送している際はAndroidスマートフォンの無線LANがEye-Fiに接続しているため、当然のことながらインターネット接続ができなくなる点は注意が必要だ。

 Eye-Fiからの直接アップロードやスマートフォン連携など多彩な機能を備えたEye-Fiカード。機能だけで見れば隙のないほどに充実している一方で、課題はデジタルカメラのバッテリー消費だ。Eye-Fi自体はSDカードのためバッテリーを持たず、画像をアップロードするにはデジタルカメラのバッテリーを利用するため、必然的にデジタルカメラのバッテリー消費も速くなる。

 Eye-Fiでは、デジタルカメラ側でプロテクト設定した画像だけを転送対象にするという機能はあるものの、1枚1枚を細かく設定するのは操作が煩雑。また、複数枚アップロードする際にはEye-Fiカードとの連動設定を持つカメラのように、デジタルカメラが常に電源オンの状態を維持する必要があるが、デジタルカメラ側が一定時間で電源オフになる設定の場合はアップロードが終わらずに電源が切れることがある。常にデジタルカメラの電源をオンにしていれば問題はないが、その場合はバッテリー消費が激しいという問題がますます大きくなってくる。

 非常に魅力的な機能を持ったEye-Fiだが、バッテリー消費との付き合い方はEye-Fiユーザーが抱える1つの課題だろう。特に旅行中や外出中はデジタルカメラのバッテリーが切れてしまえば何もできなくなってしまうため、バッテリーの持ちは重要なポイントでもある。ただのメモリーカードにはない機能を備えているぶん、バッテリーを含めたEye-Fiならではの運用方法も意識しておく必要がありそうだ。


スマートフォンから無線LANカードへアクセスする「FlashAir」

 同じ無線LANを搭載するSDHCメモリーカードでありながら、機能が大きく異なるのが東芝のFlashAir。こちらはFlashAir側がアクセスポイントとなり、スマートフォンから接続してFlashAir内の画像にアクセスできる仕組みになっている。

無線LANアクセスポイント機能を備えた「FlashAir」

 FlashAirにはあらかじめSSIDと暗号化キーが設定されており、FlashAirを挿入したデジタルカメラの電源を入れるとFlashAirのアクセスポイントが起動。このアクセスポイントに接続したスマートフォンから「http://flashair」へブラウザでアクセスすると、ブラウザ経由でFlashAir内の画像が表示されるという、非常にシンプルな仕組みだ。

ブラウザ経由でFlashAirにアクセス(初回接続時の画面)

FlashAir内のフォルダやファイルを閲覧できる

画像はサムネイルで表示

ダウンロード機能などはなく、画面長押しといったブラウザの機能を利用してダウンロードする

 今のところ専用アプリなども存在せず、画像はブラウザから1枚ずつダウンロードする仕組みのため、複数の画像をまとめてスマートフォンへ取り込むという使い方には工夫がいるが、デジタルカメラで撮った写真のいくつかをスマートフォンで使いたい、という使い方であれば十分。対応機種では設定用画像のプロテクトを行なうことで無線LANをオフにすることも可能になっており、普段は通信機能を使わずにバッテリーを節約することも可能だ。

 今後はFlashAir対応のスマートフォンアプリも登場予定とのことで、アプリを使えば複数画像をまとめてダウンロードする、という使い方も可能になる可能性もある。スマートフォンとのペアリングが必要なEye-Fiと比べ、SSIDと暗号化キーがあればどのスマートフォンからでも接続でき、複数台接続も可能な点もEye-Fiとの差別化ポイントだろう。

 直接アップロードや自動ダウンロードなど機能面で優れるEye-Fiと、アクセスポイント機能のみに絞ったシンプルなFlashAir、どちらも非常に面白い存在だ。2つのソリューションが今後も幅広く展開することを期待したい。


市販のSDカードが使える無線LAN搭載リーダー「AirStash」

 メモリーカードそのものが無線LAN機能を持つEye-Fi、FlashAirに比べ、カードリーダー側が無線LAN機能を搭載することで市販のSDカードでもスマートフォン連携が可能なのが日立マクセルの「AirStash」だ。

無線LAN機能を搭載したSDカードリーダー「AirStash」

 AirStashも電源を投入すると本体内のアクセスポイントが起動するというFlashAir型の仕組みを採用。スマートフォン側に専用アプリ「AirStash+」をインストールし、アプリからAirStashのアクセスポイントに接続することで画像の転送が可能になる。現状は専用アプリがiOSのみ対応になっているが、アプリを使わずブラウザ経由で接続することも可能なため、Androidでも一応は利用が可能だ。

底面にSDカードスロット USB端子を使ったデータ転送や給電も可能

 AirStash最大の魅力はなんといっても一般的なSD系カードが使えること。デジタルカメラとは別にAirStashを持ち歩く必要はあるものの、普段使っているSD系カードの画像をスマートフォンに転送できるのは魅力的。個人的にはSDメモリーカード内にUSB接続端子を内蔵する「Ultra II SD Plus USB」を愛用しているのだが、こうした特殊形状のSDメモリーカードでも使えるのは専用カードにはない特徴だろう。

 転送時のバッテリーもAirStash側で処理するためデジタルカメラのバッテリーを減らさないのもメリット。もちろんそのぶんAirStash側のバッテリーは消費するが、1回の充電で約7時間の利用が可能であり、本体内蔵のUSB端子経由でも充電できるため、バッテリー切れにも対応しやすい。こちらもFlashAirと同様複数ユーザーでアクセスすることもできるため、旅の仲間と写真を分け合うことも可能だ。

 課題は画像の表示方法で、現在のところ画像はファイル名で一覧表示され、サムネイルで確認することはできない。ファイル名を選択すると画像を確認できるのだが、1枚1枚選んで確認するのは手間もかかるし、そのたびに読み込みが発生してしまう。この点は今後サムネイル表示機能への対応も期待したいところだ。

専用アプリからアクセスしたところ

画像はファイル名で表示され、サムネイルで確認することはできない

画像転送時はサムネイル確認が可能。リサイズも行なえる

多機能、シンプル、汎用性など多種多様なSDカード型ソリューション

 多機能型のEye-Fi、シンプル機能のFlashAir、市販のSDカードが使えるリーダー型のAirStashと三者三様のメモリーカード型ソリューション。どれもメリットとデメリットがあるのだが、汎用性だけを考えるならばリーダー型のAirStashが一番だろう。Eye-Fi、FlashAirは機能以前に相性問題もあり、装着しても利用できないデジタルカメラも存在するのだが、リーダー型のAirStashはそうした心配が少なくてすむ。前述の通り転送したいファイルを確認するのに手間がかかるものの、ソリューションそのものとしては非常に手軽で汎用性も高いと言えるだろう。

 一方、AirStashの場合はデジタルカメラとは別に転送のためだけの機器を別途持ち歩く必要がある。AirStashを忘れた場合はもちろん、AirStashの電池が切れていてもスマートフォン連携は利用できない。その点ではカードを装着しっぱなしにしておけるEye-FiやFlashAirのほうがいいという面もあるだろう。3製品の特徴をよく理解した上で、自分にぴったりの製品を選んでほしい。


汎用性の高い「無線LAN型」が連携の主流に

 前後編に渡ってデジタルカメラとスマートフォンのソリューションを見てきた。製品ごとそれぞれユニークな特徴を持っており、一口にどれがよいというのは難しいが、ソリューションという視点で考えれば、どのスマートフォンもほぼ間違いなく搭載しており、速度面でも高速な無線LANでの転送がスタンダードな手法と言えるだろう。今回唯一無線LANではなかった「PENPAL PP-1」は、無線LANと併用できるメリットはあるものの、速度や対応機種の制限という点から考えて無線LAN型に軍配が上がると感じた。

 デジタルカメラ内蔵型とSDカード型については非常に難しい問題だが、使いやすさではデジタルカメラと市販のSDカードで完結する前者のほうがわかりやすいだろう。機能面でもデジタルカメラに無線LAN機能を持たせ、スマートフォンの転送のみに特化するというのが開発や機器コストを含めても一番妥当な手法だろう。

 Eye-FiやFlashAirなどは、無線LAN対応デジタルカメラの普及前は非常に魅力的なソリューションだが、今後こうして無線LAN対応のデジタルカメラが増えてきた場合には、その存在価値は今までと同じとは行かなくなるだろう。単なるスマートフォン連携だけでなく、同時にオンラインサービスへアップロードしたり、指定したパソコンにダウンロードできるといった付加価値機能に魅力を見いだすかどうかが鍵となりそうだ。

 第2世代の無線LANデジタルカメラとも言えるこれらのデジタルカメラだが、スマートフォンの普及を考えるとこの流れはまだまだ進みそうだ。携帯電話の普及によって一時期はデジタルカメラの存在価値が問われた時期もあったが、スマートフォンとの連携によってむしろデジタルカメラが「写真を撮る」ことに専念しながらもネット連携できるようになったという点では、非常に興味深い流れだ。今回紹介したソリューションのさらなる発展はもちろんのこと、まったく新しいコンセプトのソリューションにも期待したい。






甲斐祐樹
電機メーカー営業を経てWebニュースサイトを運営する「Impress Watch」の記者としてネットワーク関連やブログ・SNSなどネット系のジャンルを取材。その後アジャイルメディア・ネットワークでソーシャルマーケティングに携わり、現在はフリーランスで活動中

2012/4/25 00:00