ライブビュー時代の撮り方講座:紅葉を撮る

Reported by西村春彦

 霜月、秋もぐっと深まる季節になりました。紅葉前線も北の方や山間から徐々に南下し、秋の色合いも増してきています。豊かな自然に四季折々の季節を感じられる日本、木々の葉が色づく紅葉も、そんな自然が目を楽しませてくれる情景です。

 北国や山の上の方では、もう見頃を過ぎ冬支度という便りも届いておりますが、南北に細長い日本の紅葉は、北から、そして山間部から徐々に降りてくるので、まだまだこれから紅葉の見頃を迎える地域も多いはず。

 紅葉は、山だけでなく公園や街路樹といった身近な場所でも撮影できる身近な被写体です。写真に収めて四季の移ろいを感じてみてはいかがでしょうか。

 今回も紅葉の撮影をテーマに、その基本的な撮影方法や、写真の印象をよりアップするための応用テクニック、ライブビュー機能や三脚を活用した便利なテクニックなどを解説していくことにしましょう。

 ※一部の画像は「SILKYPIX Developer Studio 5」で調整・現像しています。

このコーナーも、まさに“ライブ”!?

 さて、このコーナーも「花火を撮る」、「滝を撮る」に続いて3回目です。このコーナーは毎回撮り下ろし写真を基本に構成しており、今回も11月2日にロケを行ないました。紅葉の状況は「行ってみなければわからない!」ということで、群馬県へ向かってみました。

 すると、見頃とされていたエリアで眼に入ってきた山肌はイメージと異なり、紅葉の鮮やかさが微妙。色づいている木々も紅葉というより“枯れている”色で、まだ緑の葉も多く見られます。別の山間でも、山の上の方では落葉してしまい、本来見頃であるはずのところでは、どこもみな中途半端な冴えがない発色。近づいて葉を観察してみると、表面が傷ついたり、端から枯れていたりという痛々しい木々が目立ちました。

 地元の方にお聞きすると、今年の9月に日本各地で甚大な被害を及ぼした台風の影響が大きく、また9月・10月に雨が多く、11月に入っても気温が下がらないという悪条件も重なっていました。

 とはいえ、これから都市部や周辺の山間部、また首都圏や西の方では、まだまだ紅葉の見頃を迎える地域もあります。今回は、そんな今年の紅葉をどう印象的に切り取るかも交えつつ、いろいろな撮影テクニックを解説していきたいと思います。

 今年は、東日本大震災をはじめとする地震や台風、水害など、日本だけではなく世界各地が多くの災害に見舞われています。被害や影響を受けている方々に改めてお見舞いを申し上げます。

必要なカメラ機材

 ひとくちに紅葉の撮影といってもイメージは人それぞれですが、一般的には、山々の木々が一面に色づいた遠景の風景を広く撮影したり、近くにある木々の全景やキレイに色付いた葉のクローズアップ、または建物や街並みなどを絡めたり……という、いわゆるネイチャーフォト、風景写真、スナップ写真といったところではないでしょうか。

 これといって難しいテクニックはありませんので、カメラは基本的にどんなものでも大丈夫。一般的なレンズ交換式カメラのダブルズームキットや高倍率ズームレンズなど、ある程度の広角から望遠まで撮影できるレンズがあれば、さまざまなシーンに対応できます。

 また、撮影時にあると便利なアクセサリーとしてPL(偏光)やND(減光)といった定番フィルターや三脚、ケーブルレリーズを用意しておくと、さらに印象を高めたり、イメージ演出を写真に反映させることができます。

カメラブレ予防のため、ケーブルレリーズを活用したい今回使用したフィルター2枚。マルミ光機の「DHGスーパーサーキュラーP.L.D」(左)と「DHGライトコントロール8」(右)

 紅葉撮影時の撮影モードは「プログラムオート(P)」でも構いませんが、「絞り優先オート(AまたはAv)」で被写界深度(ピントが合っているように見える範囲)を意識して撮影すると良いでしょう。

 今回のロケで使用した機材は、キヤノン「EOS 60D」のダブルズームキットをメインに、広角ズームレンズ「EF-S 10-22mm F3.5-4.5 USM」、魚眼ズームレンズ「EF 8-15mm F4 L Fisheye USM」、マクロレンズ「EF 100mm F2.8 L Macro IS USM」の3本です。

フルサイズ機では全周魚眼撮影も可能な「EF 8-15mm F4 L Fisheye USM」手持ち撮影時にもハイブリッドISが心強い「EF 100mm F2.8 L Macro IS USM」

三脚は風景撮影の必須アイテム

 前置きが長くなってしまいましたが、いよいよ撮影本番です。

 紅葉の撮影では、色や明るさ、構図が撮影上のポイントになるので、実はこれといって難しいテクニックはありません。ただ、撮影するシーンや光線状態などに合わせ、紅葉の色や写真の明るさを調整するために、こまめな露出補正が有効です。

 つまり、ズーム、被写体の画面配置、画面の水平垂直、構図決め、露出補正などの操作をしながら撮影することになります。これを手持ち撮影でしっかりと行なうのは大変ですから、そこで三脚の出番となります。

ジオ・カルマーニュE645。ベルボン直販サイトでの販売価格は5万4,800円三脚とバリアングル液晶モニターは好相性

 今回使用したベルボンの「ジオ・カルマーニュE645」は全高169cm・4段のカーボン三脚で、アルミ製よりも軽量な2.37kgでフィールドにも持っていきやすく、かつパイプ径は28mmと一眼レフカメラを載せても安定感があります。カメラを取り付けるクイックシュー部分には縦横2方向の水準器が付いており、画面の水平垂直を素早く出せます。

 三脚においては“大は小を兼ねる”ため、もっと軽いミラーレス機にも使えるのですが、それだともう少し小型・軽量の三脚でも安心して使えるでしょう。そうした要素も踏まえつつ、自分に合った1本を探してみてください。

 持ち歩きを考えると軽さやコンパクトさに目がいきがちですが、何よりカメラとレンズの総重量をしっかり安定して支えられるかがポイントです。また、カメラを手持ちで構えたときと同じ高さ(位置)に固定できるかというのも、まず1本目の三脚を選ぶときの目安になるでしょう。購入時はそうしたポイントを踏まえて三脚のスペックをよく確認しましょう。

露出補正で色を再現する

 紅葉撮影のいちばんの決め手は、紅葉の色です。

 紅葉は、大きく分けると「紅くなる葉」と「黄色くなる葉」がありますが、木の種類や撮影する時期、光線状態などによって発色や色の濃さが変わってきます。

 よくある失敗ケースとして「紅い紅葉が朱色やオレンジみたいに明るく写りすぎた」とか「黄色いイチョウを撮ったら何となくくすんだ感じに写った」というのがあるのではないかと思います。どちらも、写真の明るさによって見た目と違った印象に写ってしまう現象です。

 これは背景が白っぽかったり逆光の場合に写真が暗く写ってしまうことや、黒っぽい被写体が明るく写りすぎてしまうのと同じ原理です。カメラが適正と判断した露出(明るさ)を、撮影状況や目的のイメージに応じて「露出補正」という操作で調整してあげましょう。

 カメラはグレーの色を基準に、被写体が明るいか暗いかを判断して露出値を割り出します。そのため、同じ光があたっていても被写体の色によって露出値が変わってくるのです。露出補正は、紅葉撮影に限らず、どのような撮影でも使いこなしたい機能のひとつですので、使用するカメラの操作方法を確認しておきましょう。

 では、ここで例にあげた「赤」と「黄色」の紅葉で露出補正の効果をみてみましょう。

・紅い葉の場合・

露出補正なし。明るく写り過ぎ、白っぽくなってしまった−0.7の補正で、写真全体をやや暗めに。本来の色が再現できた

・黄色い葉の場合

露出補正なし。色ノリがよく感じられるが、よく見るとくすんだ感じの色になってしまった+0.7補正。プラス補正で写真全体をやや明るめに。鮮やかな色を再現できた

 これはほんの一例で、実際の撮影では周囲や背景の明るさなども影響しますし、カメラの機種や露出値を判断する測光方式の違いによっても変わってきます。ぜひ、これを参考にいろいろ試してみてください。

 ライブビューでは露出補正量に応じた写真の明るさを液晶モニターで確認しながら撮影できますが、液晶モニターを見る環境の明るさによって、画面で確認する写真の明るさも違って見えます。撮影時は、液晶モニターの明るさも環境に応じて調整するとなおよいでしょう。

EOS 60Dのモニター明るさ調整画面

ドッシリとした風景写真に仕上げる

 撮影するシーンに応じて、さらに露出補正について解説していくことにしましょう。

 まず、山の斜面などの紅葉を自然風景やネイチャーフォトとして撮影する場合、基本的にはマイナス補正を意識します。紅葉の周囲に暗い緑の葉や岩肌、谷間の影といった、カメラが露出を明るめに割り出しそうな要素がありがちだからです。自然風景の場合、明るく写りすぎると軽い感じに見えてしまい、大自然のドッシリとした雄大さや厳しさなどが感じられなくなってしまいます。

斜光線を浴びて浮き出たように輝いている紅葉を撮影。露出補正なし(左)で撮ると、明るく写りすぎて周囲の影のディテールまで再現してしまい、写真全体に目が迷ってしまう。そこで−0.7の露出補正をし(右)、周囲の影を暗く締めてあげることで、光り輝く木々の葉に集中できる写真になった
周囲に深い緑の葉、背景に枯れた感じの暗い木々という状況で撮影。左の補正なしの雰囲気も悪くはないが、マイナス補正で全体をやや暗く写した右の方が、大自然の深さを表現できる
左の補正なしでは、実際よりも明るく浮いた感じに見えるが、右のマイナス補正では実際の明るさを再現でき、しっとりとした落ち着いた色になった

 このようにこまめに露出を変えて撮影する場合、やはり三脚の使用をおすすめします。手ブレを防ぐという意味はもちろんですが、まず撮影する画面構成や構図をキッチリ決めることができます。

 次に、被写体にしっかりとピントを合わせます。このときAFで目的の被写体にピントを合わせたあとでフォーカスモードをMFに切り替えると、シャッター半押しのたびにピントが動かないため、露出補正だけに集中できます。

 三脚を使用すると、撮影時にやらなければいけない操作の一つ一つを、アングルを気にせず落ち着いて行なうことができます。

やさしい感じにふんわり仕上げる

 昨今ではいわゆる“カメラ女子”ブームの影響もあってか、明るくフワッとした写真が好まれる傾向もあるように感じます。写真をそのようなやさしい雰囲気に仕上げる方法としても、露出補正は重要です。

 特に逆光の場合、露出補正をやや大胆にプラス補正することで、被写体の色も本来の色よりも明るく淡い感じになり、背景も白っぽくやわらかな雰囲気で撮ることができます。

 この撮影方法では、葉を表面から撮影するよりも、裏側からカメラを向け、空などの明るい背景で撮影してみましょう。葉が背景からくる光で透過するため、透明感のあるきれいな色彩で撮影することができ、効果的です。

葉の裏から逆光で撮影すると、背景が明るいため写真全体がやや暗くなってしまう。右ではプラス補正で明るいイメージにしてみた

状況に応じて空を入れずに画面構成する

 単純に「山の風景を撮影する」という場合、山の斜面を水平方向かやや上向きで撮影することが多いでしょう。青空で、順光やサイド光といった光線状態であれば、紅葉も青空も露出補正なしでキレイに撮れるケースが多いです。

(参考)露出補正なしで撮れるシーンの例

 しかし、青空でも山の斜面や紅葉が逆光だったり、曇り空だったり、といった場合には、空と斜面に明るさの差が生じてしまいます。そうすると、紅葉に露出を合わせると空が明るすぎて白く飛んでしまい、切り抜き写真のような締まりのない写真になってしまいます。

(参考)空が白く飛んでしまった例

 そのような状況では、無理に空まで入れず、望遠ズームを使って斜面の紅葉だけを切り取るような構図にするとよいでしょう。

曇り空で全景まで捉えようと空まで入れてしまうと、白い空が画面の緊張感を損ねてしまった。また左下に高圧線の鉄塔、下に電線といった余計なものまで入ってしまったため、風景写真としては失敗してしまった。写真全体もどこか説明的だきれいな紅葉の印象を表現すべく、望遠レンズで余計なものを画面から排除するように撮影した。画面を紅葉と山並みだけで構成したため周囲の状況はわかりにくくなったが、色とりどりの紅葉だけを表現することができた
画面に少しでも白い部分が入ってしまうと、主役の被写体よりもその部分が明るく目立ってしまうため、被写体に目が誘導されない写真になってしまう写真の隅に空や水面の写り込みといった明るい部分を入れないように構図をつくると、余計な部分に目が惑わされず、主役を明確にできる

紅葉のコンディションが悪くても、キレイに!

 今回のロケは、紅葉としてあまりいいコンディションではありませんでした。紅葉の色もそうですが、葉の表面が傷ついていたり、ところどころ枯れていたり。しかし、そのような時でもきれいな写真に見せる方法があります。

 葉をアップで撮影する場合は表面がきれいなものを選びますが、どうしてもきれいな葉が見つからない場合は、アップで撮るのを避け「一枚一枚の葉の表面が目立たなくなる大きさで撮る」方法と、葉の表面ではなく「裏側を透過光で撮影する」方法があります。

 撮影時は、被写体の状況や、画面に写る細かいところまで注意して、できるだけきれいな写真が表現できるよう画面構成をしてみましょう。

それぞれの葉が色とりどりで一見キレイに見えるが、よく見るとところどころ枯れていたり、虫食いがあったりとあまりキレイではない

・同じ木の葉で比較

パッと見、きれいな色の葉があったのでカメラを向けてみた。中央の葉はキレイだが、左右の葉の虫食いや枯れている部分が入ってしまい、写真全体のイメージが悪くなってしまった別の葉をプラス補正でやや明るめに撮影。写真全体を明るくしたことで虫食いの部分も暗いイメージには見えなくなり、画面の中の葉の配置もリズミカルな感じ。何となく面白い雰囲気で撮れた
中でもきれいな葉を1枚だけアップで撮影した。キレイに見せたい写真は、ズームやカメラの寄り引きで余計な部分を入れないように画面の中を整理して、きれいな部分だけで構成したい

・透過光

葉の色がくすんだ印象だったり表面が傷んでいる場合は、葉の裏側から透過光で撮影すると色彩だけで表現ができる
透過光でキレイだが、葉を画面に大きく写したため傷んだ部分も写ってしまった画面を葉の色彩だけで埋め尽くすように撮影。葉の大きさが小さくなり、透過光で葉のコンディションの悪さを目立たせずに撮れた
画面に空まで入れて撮影。青空が白くならず写すことができたので、青空と透過光で輝く紅葉の色彩のコントラストをキレイに写すことができた。シルエットになっている木の枝や幹も、コントラストを強調するアクセントになっている

紅葉をより引き立てるフィルター

 PLフィルターとNDフィルターは風景撮影で定番のフィルターです。今回は紅葉撮影での使用例を紹介しましょう。

 まず、偏光効果を持つPLフィルターが風景撮影で用いられる理由としては、葉の表面反射を除去して本来の色を再現できることと、空気中の乱反射を抑えて青空をより青く表現できるからです。

PLフィルターを操作しているところ

 前回の「滝を撮る」でも解説していますが、PLフィルターには最も効果が発揮される撮影条件があり、表面反射を抑える場合は反射面に対して30〜40度でカメラを向けたときで、青空を深い青にする場合は被写体にカメラ向けた方向に対して90度の角度に太陽があるときです。

 PLフィルター(円偏光フィルター)はカメラに取り付ける後枠とクルクル回転する前枠に別れていて、ファインダーやライブビュー画面を見ながら前枠を回し、効果を確認しながら撮影します。三脚で構図を決めた上で使用すると、より使いやすくなります。

・葉の反射を除去する

左はPLフィルターなし。PLフィルターを装着して効果100%にすると、かすかに光っていた葉の表面反射が除去でき、本来の葉の赤さが再現できた(右)

・空気中の乱反射を抑える

左のPLフィルターなしに対し、右のPLフィルター効果100%は一目瞭然。青空の色が深くなっただけではなく、空気中の乱反射が抑えられコントラストが高くなり、ハッキリと写すことができた

・葉の反射を除去し、青空をより青くする

右がPLフィルター効果100%。PLフィルターの効果が発揮される角度がピッタリはまると、葉の表面反射を除去し、青空をより青くするという両方の効果で、さらに紅葉をキレイに撮影できる

 PLフィルターの使う上での注意点としては、前述したように「角度」という効果が発揮される条件があるので、撮影条件によっては必ずしも効果が発揮されない点です。フィルターをただ付けっぱなしにしないよう、注意してみましょう。

 また、PLフィルターは装着しただけで約2段ほど露出がアンダーになってしまうため、シャッター速度の低下につながります。特に曇り空や風が吹いて木々が揺れているような状況では、被写体ブレの原因になります。シャッター速度も意識しつつ撮影することが大事です。

 曇り空で木々が風で揺れているといった状況では、被写体ブレを起こしてしまいがちです。葉の写る大きさや風の強さによって画面上でブレる量は変わってきますが、簡単に言えば、葉をアップにするほどブレも拡大されるため、速いシャッター速度でないとシャープに撮影することはできません。おおむね1/125秒以下のシャッター速度の場合は被写体ブレに注意が必要になります。

 三脚を使用した撮影では手ブレの心配はありませんが、自然風景やネイチャーフォトでは常に被写体ブレにも注意して、シャッター速度を意識した撮影をしましょう。被写体を止めて撮る場合はシャッター速度を速く設定するか、風が止むのを待つしかありません。

 しかし、風が止まず、シャッター速度でもブレを止めることができない明るさの場合は、逆に被写体ブレを活用して風の動感を表現する方法があります。

 そこで効果的なアイテムがNDフィルターです。

NDフィルターを装着

 手持ち撮影では手ブレも被写体ブレもどちらも起こしてしまい、ブレブレになって何が写っているか分からなくなってしまいますので、しっかりと三脚にカメラを固定して、被写体の動きだけをぶらすことがポイントです。ポイントとしては、画面の一部分に風で動かない木の幹などを入れ、止まっている部分と大きなブレの両方を写すと動感の効果を表現できます。

左のNDフィルターなしではシャッター速度が1/20秒と中途半端だったが、NDフィルターを付けた右ではシャッター速度が0.8秒と遅くなりブレを大きくできるので、風の音が聞こえるような写真が撮れた

いろいろなレンズを活用する

 一眼レフカメラやミラーレスカメラは、言うまでもなくレンズ交換が最大の魅力です。今回は、一般的なレンズのほかに広角ズームレンズやマクロレンズ、そしてちょっと変わったフィッシュアイ(魚眼)ズームレンズも使ってみました。

 広角ズームレンズは一般的な標準ズームよりも広い範囲を写せるのが特徴で、ワイドに広がりのある風景を撮ることができます。フィッシュアイは周囲が大きく歪んだ独特の効果のあるレンズです。どちらのレンズも肉眼では見えない写真的な表現が魅力です。

・広角ズームとフィッシュアイズームの描写比較

林の中で紅葉を見上げた図。どちらもレンズ焦点距離は16mm相当。左の広角ズームは周辺の歪みを抑えた光学設計なので安定感のあるワイドな描写だ。一方、右のフィッシュアイズームでは、魚眼特有の周辺が湾曲するような描写で、広角ズームよりも広い範囲が写る。肉眼では見ることができない写真的な面白さだ

 マクロレンズは、一般的なレンズよりもぐっと被写体に近づいて大きく撮影できるのが魅力です。

葉の色が徐々に変わっている部分を撮影した。普段何気なく目にする葉の細部をクローズアップできるのがマクロレンズの魅力だ。落ち葉や木の実など、小さなものでも大きく撮る(見せる)ことで楽しさや発見を写せる

まとめ

 今回紹介した撮影テクニックは、いずれも美しい紅葉をキレイに撮るためのちょっとした工夫やテクニック。難しいことは何もありませんが、きっと素晴らしい紅葉の写真を撮る手助けになるでしょう。たくさんシャッターを押して実践してみてくださいね。

 まだまだこれから紅葉の見頃を迎える地域はたくさんあります。紅葉は年ごとに色付きも微妙に変わります。見頃を迎えた行楽地での紅葉も、普段の何気ない日常にある紅葉も、今年の紅葉は二度と見ることができません。心に留まった色にカメラを向けて、皆さん自身の「今年の紅葉」を記録してみてはいかがでしょうか。

紅葉の撮影サンプル

・2011年

EOS 5D Mark II / EF 70-200mm F2.8 L IS USM / 約6.9MB / 5,616×3,744 / 1/320秒 / F8 / -0.7EV / ISO200 / 200mmEOS 5D Mark II / EF 24-70mm F2.8 L USM / 約15.5MB / 5,616×3,744 / 1/60秒 / F8 / 0EV / ISO200 / 24mm
EOS 5D Mark II / EF 70-200mm F2.8 L IS USM / 約7.4MB / 5,616×3,744 / 1/200秒 / F8 / 0EV / ISO1000 / 200mmEOS 40D / 約3.5MB / 3,888×2,592 / 1/15秒 / F8 / -0.7EV / ISO200 / 96mm
EOS 5D Mark II / EF 24-70mm F2.8 L USM / 約4.4MB / 3,744×5,616 / 1/125秒 / F4 / 0EV / ISO200 / 70mm

・2006年

EOS 20D / 約3.6MB / 3,504×2,336 / 1/50秒 / F11 / 0EV / ISO100 / 50mm

・2004年

E-1 / ZUIKO DIGITAL ED 50-200mm F2.8-3.5 SWD / 約3.3MB / 2,560×1,920 / 1/500秒 / F3.5 / 0EV / ISO200 / 182mmE-1 / 約2.9MB / 1,920×2,560 / 1/320秒 / F2.8 / +1.3EV / ISO200 / 72mm




(にしむら はるひこ)1969年秋田県由利本荘市出身。日本写真芸術専門学校卒業後、朝日新聞社出版写真部委託カメラマンを経てフリーに。雑誌・出版系や広告、WEBなど各メディアで活動中。カメラ雑誌などでは撮影テクニック解説なども手掛ける。写真にならないモノでも写真にする意気込みで写真職人を目指し、プロフェッショナルとして日々精進している。ブログ:http://n-haruhiko.sblo.jp/

2011/11/10 12:45