「iPhone 4S」の写真機能を試す
KDDIとソフトバンクモバイルは、アップルの最新携帯端末「iPhone 4S」を10月14日に発売した。「iPhone 4」の後継機(iPhone 4は併売)ともいえる製品で、プロセッサがA4からA5へ、動画撮影が720p(30fps)から1,080p(30fps)へと強化されている。画素数も500万画素から800万画素へと強化され、F値もF2.8からF2.4へと明るくなった。
iPhone 4S |
■iOS 5でカメラ機能が進化
ハードウェアスペックも見逃せないポイントではあるが、使い勝手を考えた場合、ハードウェアよりもソフト、つまり新しくなった「OS」も重要になる。
新OS「iOS 5」は、iPhone 4Sの発売を前にした日本時間の13日、従来のiPhone/iPod touch/iPadユーザー向けに公開された。すでにアップデートしている人も多くいることだろう。iOS 5は、200をも超える機能が盛り込まれているというのがアップルの発表。そのうち「カメラ」機能にも大幅な改良が加えられている。
まず、カメラ機能に素早くアクセスしたい場合に便利なのが、「ロック画面からのアクセス」だ。基本的にiPhoneは利用しない時はスリープ状態になる。そして、スリープから復帰し、表示されたロック画面を解除してはじめて、各種機能にアクセスできるようになる。つまり、まずはスリープを解除することになるのだが、解除には「電源ボタン押す」もしくは「ホームボタンを押す」という方法が使われる。
iOS 5では、スリープをホームボタンの二度押しによって解除した場合(もしくはロック画面でホームボタンを二度押し)、ロック画面に「カメラ」アイコンが表示され、それをタップするとカメラ機能が起動する。従来より素早くカメラ機能にアクセスできるというわけだ。
スリープ時もしくはロック画面時にホームボタンをダブルクリックすると「カメラ」アイコンが表示される。タップするとカメラが起動可能となる |
iOS 5でのもうひとつの進化は、シャッターボタンが新設された点だ。といってもデジタルカメラのように専用のシャッターボタンが用意されているわけではなく、「音量を上げるボタン」がシャッターボタンとして利用できるようになった。これまでは、画面に表示されたカメラ(シャッター)アイコンをタップすることでシャッターを切っていたが、これからは実ボタンでシャッターを切ることができる。もちろんカメラ(シャッター)アイコンも従来通り搭載されている。
また、デジタルカメラではお馴染みの「グリッドライン」表示が可能になった。画面に表示された「オプション」をタップすることで、HDR機能(iPhone 4以降のみ使用可能)ともども、オン/オフを設定できる。
画面上部の「オプション」をタップすると「グリッド」と「HDR」の設定が現れる。各機能はタップ操作でオン/オフできる。グリッドをオンにすると、グリッドが画面に表示される | 「HDR」をオンにすると、画面下部に「HDRオン」と表示される。わざわざオプションを開かなくてもわかるようになっている |
「設定」→「写真」でHDRの設定が可能。初期設定ではHDR時に標準露出の写真を残す設定になっている。必要ない場合はこの設定をオフにする |
AE/AFロックもiOS 5からの新機能だ。被写体をロングタッチすると、フォーカスと露出がロックされる。ズーム操作もスライドバーだけでなく、ピンチ操作でズームできるようになった。
ピンチイン/アウトでズーム/ズームアウトが可能。表示されたスライドバーでも調整可能だ |
ピントの合わせたい場所をロングタッチするとフォーカスと露出がロックされる。画面下部にはロックされていることを示す「AE/AFロック」と表示される | 画面下部の表示は有効になっている機能の名称が表示されるようになっている。例えば「HDR」と「AE/AFロック」といった具合だ |
iPhone 4S固有の機能としては「顔認識」機能が挙げられる。これもデジタルカメラでお馴染みの機能だろう。文字通り被写体の中で一番目立つ「顔」にピントを合わせ、最大で10人の顔の露出を調整できる。顔を検出すると通常時に表示される青い枠ではなく、緑色の枠が顔部分に表示される。レンズを向けるだけで認識されるので、手間無く撮影が可能だ。
顔認識は緑色の枠で表示。レンズを被写体に向けるだけで自動で判別される |
■画質と処理速度が向上
さて、iPhoneのカメラ機能は進化しており、特にiPhone 4のカメラ機能は使い勝手や画質といった面で高く評価されている。その後継ともいえるiPhone 4Sでは機能だけでなく、撮影処理も高速化された。同じ構図・環境で撮り比べた場合、シャッターボタンを押して撮影が完了されるまでの時間が、iPhone 4よりもiPhone 4Sの方が速い。体感では2/3〜1/2秒ほど高速になった印象だ。
また、iPhone 4のカメラ機能といえば、「青カビ」現象が良く知られている。写真の中央付近が青くにじんでしまう現象のことで、主に低照度の蛍光灯環境で撮影すると目立つといわれている。この青カビ、iPhone 4Sでどうなったのだろうか。
市販のコピー用紙を蛍光灯下で撮影してみたところ、皆無とはいわないものの、ずいぶん目立たなくなっていることがわかる。iPhone 4で撮影するユーザーの中には、補正ツールを使って対策する人や、カメラアプリを導入して撮影を行なうなど一手間かけていただけに、とりあえず一安心といったところか。
- 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像をダウンロード後、800×600ピクセル前後の縮小画像を表示します。その後、クリックした箇所をピクセル等倍で表示します。
- JPEGの回転処理と再保存をPhotoshop CS3、またはWinodws Photo Galleryで行なっています。レタッチは加えていません。
・「青カビ」のチェック
iPhone 4 / 約2.6MB / 1,936×2,592 / 1/30秒 / F2.8 / ISO80 / 3.8mm | iPhone 4S / 約3.3MB / 2,448×3,264 / 1/40秒 / F2.4 / ISO80 / 4.3mm |
また、iPhone 4SのダイナミックレンジはiPhone 4より広くなった。HDRを使わなくても、白とびや黒つぶれは少なくなったように感じる。やや暖色になる傾向があるものの、人肌などでは好ましい色になるのもiPhone 4Sの特徴だ。相変わらずシャープな画像であり、携帯電話のカメラ機能としては必要十分だろう。
・iPhone 4との比較
・HDR
HDR OFF / iPhone 4S / 約2.6MB / 2,448×3,264 / 1/60秒 / F2.4 / ISO64 / 4.3mm | HDR ON / iPhone 4S / 約3.2MB / 2,448×3,264 / 1/60秒 / F2.4 / ISO64 / 4.3mm |
・作例
2011/10/21 00:00