特別企画
世界初!iPhoneで操作できるモノブロックストロボを試す
モデル撮影で大活躍 サンスターストロボ「MONOSTAR C4」
2016年8月8日 11:00
昨今、写真撮影におけるストロボの重要性は広く認知され、アマチュア用からプロ用まで関連アイテムも充実してきた。そんな業界に、サンスターストロボが一石を投じる。それが、世界初となるスマホから操作できるモノブロックストロボ「MONOSTAR C4」だ。
撮影効率がグッとアップするというこのストロボの使い勝手を写真家の河野英喜さんに試してもらった。(編集部)
モノブロックストロボとはなにか?
ジェネレータタイプのスロボが電源部とストロボヘッドが分離しているのに対して、モノブロックストロボは電源部とストロボヘッドを一体化させ軽量小型化したストロボのこと。家庭用コンセントがあればどこででも使用できる。
小型化されているため出力はジェネレータータイプの本格的なストロボに比べると低いが、感度を自由に調整して撮影できるデジタルカメラではむしろ出力を落として絞りを開けボケを生かせるメリットの方が大きい。
一般家庭での使用でも出力が低いのでほとんど負荷もなく、ブレーカー落ちなどの心配も少ないので主にロケ撮影で重宝されている。同一メーカーであればソフトボックスやリフレクターなどライトアクセサリー類がジェネレータストロボと共用できるのも、プロユースでは見逃せないメリットだ。
クリップオンストロボとはどう違う?
小型という意味ではクリップオンストロボに分があり、少ないカット数であればクリップオンストロボも便利な機材である。
だが、モデルのポージングに合わせてある程度リズムを保ち多くのカットを撮影するポートレート撮影では、バッテリーの消耗によりチャージタイムが長くなったり、出力が不安定になりやすい。
その点、変わらない出力で安定したチャージサイクルなどパワフルで常に同じ状態で撮影できるモノブロックストロボの方が信頼度も高く、安心して撮影に集中できる。
MONOSTAR C4の凄さ
僕自身、モノブロックストロボのAC電源タイプは他社(2社)の製品を所有してきたが、全てが国内生産されているというこだわりの「MONOSTAR C4」はトータルバランスで僕の知る限りとても優れたモノブロックストロボだ。発売は3月。メーカー希望小売価格は税別15万円だ。
最速1/7,000秒の高速閃光と0.01秒チャージはニコンD4Sの高速連写(約11コマ/秒)に余裕でシンクロし、色温度も全出力の変化に対して色温変化は200K以内に抑えられているが、この数値には正直驚いた。これはポートレートのジャンルに限らず全てのジャンルで歓迎される性能だ。
iPhoneから操作できるから効率アップ
MONOSTAR C4は、世界で初めてスマートフォン(iOSデバイス)からの遠隔操作に対応したのが大きな特徴となっている。
従来こうしたストロボでは、電源のON/OFFや出力の調整などを本体で行っていたため、いちいちストロボの場所まで行かなければならなかった。ところが、MONOSTAR C4なら離れていたり高所にセットしたストロボを手元でコントロールできる。
ストロボの出力を無線でコントロールできるシステムは以前からあったが、MONOSTAR C4はiPhoneの画面で現在の出力値などの設定を確認できるのが大きなメリットとなっている。
MONOSTAR C4とiPhoneの接続は、不安定なWi-FiではなくBluetoothを使用しているところが心強い。Bluetooth特有のペアリングには少し時間がかかるが、ペアリングしてしまえば出力の設定から電源のON/OFFまで全ての操作が専用アプリを使用して操作できるのが素晴らしい。
特に複数のストロボをカメラから離れた場所に設置する場合、カメラポジションでテスト撮影の結果を確認しながら光量の調整、灯数の増減などができで、現場の作業効率も飛躍的に向上する。
では早速、iPhoneの画面で説明しよう。まず下の画面は“マスター画面”ともいえるページだ。
この画面でグループ毎の全てのペアリングされたストロボの出力のモニターができる。また、「+EV1.2」とある大きなセレクターで全てのストロボの光量バランスを変えることなく出力の増減が可能。これは、絞りで被写界深度をコントロールするのにとても便利な機能だ。
ストロボ個々の出力設定は下の画面で行う。
非常にわかりやすいデザインだ。また、この画面は個々のストロボの電源のON/OFFや、モデリングランプのON/OFFのセレクト画面へ移動するホーム画面でもある。この機能がプロを喜ばせる助手要らずの便利な機能といえる。「TEST」をタップすればこのストロボだけが発光する。
ここで例えば、上の画面で「MODELING」をタップすると下のような画面に変わる。
すると、ホーム画面の上にレイヤー状に設定画面が表示される。これにより、どのストロボの設定をしているのか確認ができるので、時間のない現場では大変助かる。必要な設定がシンプルに配置されていて、実際に使用するととても使い安い。
なお、iPhoneやiPadなど最大5台の端末のペアリング情報を登録できるので、端末のバッテリー状況で切り替えて使えるのも頼もしい。なお、Androidには未対応となっている。
Complete One譲りの出力性能
サンスターストロボといえば、2013年に登場したジェネレーター「Complete One」が高速閃光や色温度の変化を抑える機能で話題になった。
一方MONOSTAR C4は、デジタル表示で出力を細かく制御できる点や、専用アプリを使用することで1灯ごとの光量調整はもちろん同時に全ての出力を同じ割合で増減できる一括調整機能、そして冒頭にも書いた色温度の変化を抑える技術性はまさにCompleteOne譲りそのものだ。
小出力でも安定した発光
今回は女性モデルを使ったポートレート撮影でMONOSTAR C4の実力を試した。
まずは、ハウススタジオでのベージックなポートレート撮影だ。メイン光源としてカメラの右斜め前からビューティーデッシュを装着したMONOSTAR C4を1灯、背景用にスタジオ奥から1灯を使用している。奥のストロボ前にはリアルな光のムラを作るために植物を置いている。
モデルとメイン光源をここまで近づけると通常使用しているジェネレータタイプのストロボだと最低出力でもF5.6~F8になってしまうが、低出力が可能なMONOSTAR C4を使用することで、絞りをF2.8と狙った値に設定できた。実際にはもっと落とすことも可能だった。
背景は奥に設置したストロボで1/2段明るいF4に設定して、レンズの絞り値をF2.8に設定して撮影した。ストロボを使用しながらボケを活かして撮影できた。
次は、同じ場所で曇りガラス越しにストロボを当てるライティング。ここでも、離れた場所のストロボを手元のiPhoneでコントロールできて便利だ。
屋外に置いたストロボを屋内からコントロール
ハウススタジオは日が射してこそ真価が発揮されるわけだが、撮影当日は小雨の降る悪天候だった。そこで、雨の止んだ合間に外からストロボを流し込んだライティングで擬似的に晴れの状態を作り撮影することにした。
ライティング的には外から1灯、そして室内に拡散するように1灯使用している。
ここでとても重宝したのがiPhoneでの遠隔操作だ。今までなら高い位置のストロボを何度も下ろして設定を変えなければならないが、この機能によりストロボの角度を変えずに光量の設定ができる。何より助手が喜ぶのは言うまでもない。
ストロボを使ったカットの露出値そのままにストロボをOFFにして撮影してみると、外のグリーンがわずかに移る程度の真っ暗なシルエットになった。いかにストロボ光が効いているかよくわかる。
また、比較として自然光のみで露出調整で撮影してみると、明るさは得られるもののメリハリのない質感になり、肌も濁った。やはり光がなくては素敵な写真にはならないのだ。
モデルの背後から発光させて印象的な仕上がりに
スタジオ撮影に続いては、夜の屋外というシチュエーションで撮影した。ここでは、ミストが出てくるオブジェを利用した。
モデルの後方からカメラに向かって1灯、メインライトをカメラ左側からビューティーデッシュ(ソフトボックスタイプ)にボックス用のグリットを使用した1灯とした。光に指向性をもたせて柔らかくも陰影感を高める狙いだ。
夜間など足場が見えにくい現場での移動は極力控えたい。そんな現場だけに、MONOSTAR C4搭載のアプリによる調整機能は欠かせなかった。ライティング確認のモデルリングランプのON/OFF機能も役立った。あとはミストの流れに合わせて一気にシャッターを切るだけだ。素早いチャージはノーストレスでさらに撮影を加速させた。
現場でも活躍した折り紙付きの性能
今回のレビューにあたり、メーカーの協力もあってかなり前から試用させて頂いた。もちろん、現場に出向いて撮影する雑誌の表紙や、タレントのグラビア撮影など十分な撮影本数をこのMONOSTAR C4やCompleteOneを組み合わせて撮影してみたが、お世辞抜きで素晴らしいストロボであると断言できる。
MONOSTAR C4のパワフルで驚異的な機能や安定性は、シャッターチャンスを逃さず、iPhoneでの操作性もわかりやすく快適だ。プロフォトグラファーからオフカメラライティングを操る全ての写真愛好家にこのMONOSTAR C4を用いた個性的な作品を発表してもらいたい。
協力:株式会社サンスターストロボ
モデル:桑田彩