写真家が監修したフォトグラファー向けPCが登場!

桃井一至監修!写真編集(RAW現像)PCがこの夏めでたくリニューアル

CPUとグラフィックが強化 BTOオプションもさらに充実

新スタンダードPCを前にご満悦の桃井一至さん。バランス重視のモデルながら、パフォーマンスにもこだわりを見せる! 写真のモニターは、アイ・オー・データ・機器の広色域モニターLCD-HC241XDB。色再現性にも満足。

TSUKUMOが展開するBTOブランド「eX.computer」。そのうち、昨夏に私が監修した写真編集(RAW現像)スタンダードモデルは、なんと(!)予定台数を完売。まずは御礼を申し上げます。

そのスタンダードPCをこのたびリニューアルすることになったので、ここで改めて紹介したい。

新しいスタンダードPCのスペックがこちらだ。

桃井一至監修
写真愛好家向けスタンダードPC
ブランドeX.computer
CPUCore i7-7700
(4コア/HT対応/3.6GHz、TB時最大4.2GHz)
メモリ16GB(8GB×2枚)DDR4 SDRAM PC4-19200
マザーボードIntel B250 Express チップセット MicroATXマザーボード
グラフィックNVIDIA GeForce GTX 1050/2GB
ストレージ240GB SSD+1TB HDD(ともにSATAIII接続/6Gbps)
光学ドライブDVDスーパーマルチ
カードリーダーCF、SDXC/SDHC/SD、メモリースティックなど
電源CWT製 GPT400S-A(最大450W、定格400W)
OSWindows 10 Home 64bit版
販売価格11万4,800円(税別)

主な強化点は、CPUがCore i7-6700からCore i7-7700になったことと、グラフィックカードがGeForce GTX750TiからGeForce GTX 1050へと強化されたこと。電源周りも強化されている。スタンダードPCの特徴であるバランス重視はそのままに、各所をパワーアップしたのが新スタンダードPCになる。

上位モデルの「プレミアムモデル」「マスターズモデル」より小型のミニタワータイプのケースを採用。

BTOで無線LANが選べるように

個人的にイベントなどで昨年のスタンダードモデルを購入された方にお話を伺ったところ、いろいろなご意見をいただいた。

「バランスの良いスペックでお買い得感がある」

「手持ちのモニターが流用できる」

「BTO(受注生産)だから、足りない部分はピンポイントで増強できる」

多くの方が単体パソコンやBTOのメリットをしっかり理解した上で購入されていたのがわかり、さらにカメラおよびパソコンのベテランにも満足度は高いようで一安心だ。

新スタンダードPCもツクモの担当者、森秀範さんとの相談をもとに再構成して、昨年モデルの良さを引き継いだ仕様変更になっている。

本体サイズはミニタワータイプ。大別するとデスクトップタイプと呼ばれ、側面を開けると内部空間にスペースがあり、電子機器の大敵である放熱がしやすく、内部パーツの交換や増設も容易なメリットがある。

正面にはカードスロットを装備。SD系やCFといったカメラユーザー必須のカードスロットは新旧主要メディアをカバーしている。一部の上級カメラに採用されているXQDやCFastは非対応だが、USB 3.0の接続端子は背面にも2ヶ所あり、カードリーダー(別売)を用意すれば接続は簡単だ。

フロントベイのカードスロット。USB 3.0端子も前面にあるので、外付けHDDへのバックアップなどで便利だ(USB 3.0端子は背面にもあり)。

処理スピードを左右するCPUには、第7世代のCore i7プロセッサを搭載して、先代よりも若干パフォーマンスを向上。数値はわずかでも処理するコマが多くなるほど、その差は如実に現れてくる。また電源部も効率の高いものにアップグレードされている。

記憶媒体には、スピード優先のSSD(240GB)と容量優先のHDD(1TB)の2系統を採用。森さんによれば、前モデルでは購入者の約7割の方が、SSD容量のアップグレードを選択したとのこと。そのため今回、大容量SSDの標準搭載も検討した。ただし販売価格が上昇することから、昨年モデルと同様の構成に落ち着いた。一方、HDDをアップグレードする購入者も多く見られたが、外付けHDDをバックアップ先に使用するケースを想定し、こちらも容量をはじめ、昨年モデルから変更はない。

新しいところでは、無線LANとグラフィックカード(Quadro P600)がBTOメニューに仲間入りした。

無線LANは編集用パソコンをネットワークから離れたところへ設置しているという意見に対応するもの。グラフィックカードのQuadro P600は、10bit表示対応モニターがお手頃価格で増えているのもあり、より色再現にこだわる方への対応だ。いずれも受注時のアップグレードに対応している。

例によってキーボードやモニターは別売だが、好みに合わせて選びたい方が多く、モニターも用途や予算、サイズなどで選択肢が変わるため、あえてキット販売はしていない。なおマルチモニター出力は標準で対応している。

十分な高速性能。バランスの良さにも着目

電源を入れると起動の速さに驚くが、ふたつある記憶媒体のうち、パソコンの基本OSはスピード優先のSSD(240GB)で作動。容量の多いHDDはデータ保存用に使い分けることで、両方のメリットを活かせるというわけだ。

試しにOLYMPUS PEN-F(約2,000万画素)で撮影したRAW+JPEG画像(約21.5MB+約9.3MB)、約1,000コマをSSD内に保存。純正ソフトのOLYMPUS  Viewer 3で展開してみたが、極めて快適なブラウジングが楽しめた。

続けて、試しに10コマをJPEGへRAW現像すると1分30秒ほどで完了。1コマあたり約9秒ならば、一般使用においてストレスを感じることは、ほとんどないだろう。

内部構成。CPU、メモリ、グラフィックカードが電源ユニットが新しくなっている。グラフィックカードのGTX 1050はQuadro P600へも変更が可能。

画像ソフトはメモリー容量が少ないと、ソフトの立ち上げやファイルを開くのに時間がかかり、最悪の場合、パソコンが止まる症状のフリーズを起こすこともあるが、本モデルではメモリが16GB搭載されているので、スピーディな動きはもちろん、いくつかの作業を同時に行っても、効率よく作業を進められる。

パソコン選びというと、頭脳に当たるCPUのスペックが目に留まりがちだが、実際にはSSDやHDDの読み書き速度やメモリ容量など、各パーツの複合的な能力で快適さに違いが現れる。

その点、本モデルであれば、このクラスに求められる要求をこなす実力をバランス良く備えており、少なくとも我慢を強いられるようなことは無いはず。

画像データの閲覧や保存はもちろん、画像処理もスムーズに行えれば、さらに作品作りも楽しくなることうけあい。初心者がデジタル写真を楽しむのに、最適な内容の1台に仕上がっている。

桃井一至

(ももいかずし)写真家・長友健二氏に師事の後、フリーランスフォトグラファー。撮影は人物・海外風景を中心に、カメラ関係書籍の執筆も行なう。NHK「趣味悠々/デジタル一眼レフ撮影術入門(2006)」「趣味悠々/シーン別デジタルカメラ撮影術入門(2008)」 など、テレビ、イベント出演も多数。公益社団法人日本写真家協会会員。