新製品レビュー

パナソニックLUMIX LX100(実写編)

フォーサーズセンサー+大口径ズームレンズの画質は?

フォーサーズセンサーをコンパクトデジタルカメラとして初めて採用したパナソニックLUMIX LX100。余裕あるセンサーサイズを活かし、3:2や16:9の画面比率に設定してもデフォルトの4:3と画角が変わらないマルチアスペクト機能を搭載する(1:1は切り出しとするため、同じ画角とはならない)。

光学3.1倍ズームレンズは開放F1.7-2.8と明るく、そのうえ光学式手ブレ補正機構を採用。もちろんレンズはライカブランドだ。鏡筒には絞りリングに加え、MF時にはフォーカスリングとなるコントロールリングを配置。シャッターダイヤルや露出補正ダイヤルも備え、直感的な操作が楽しめる。前回、機能編ではそれら諸々の詳細を見たが、今回は実写編としてLX100の描写を見ていくことにする。

遠景

ワイド端の焦点距離10.9mm(24mm相当)とテレ端の焦点距離34mm(75mm相当)で描写のチェックを行ってみた。

画面中央部分の解像感はワイド端、テレ端ともコンパクトデジタルカメラとして考えると十分なものだろう。ディストーションも作例等を見るかぎり小さく気になるようなことはない。

広角端(上)と望遠端(下)。絞り値は共にF2.8。クリックでオリジナル画像にリンクします

・広角端

以下のサムネイルは青枠部分の等倍切り出しです
F1.7
F2
F2.8
F4
F5.6
F8
F11
F16

・望遠端

以下のサムネイルは青枠部分の等倍切り出しです
F2.8
F4
F5.6
F8
F11
F16

ただし、画像を大きく拡大していくと解像感についてはそのかぎりでなく、特に画面周辺部の描写はワイド端、テレ端とも甘く、色のにじみや解像感の低下など見極めやすくなる。特にワイド端の描写は少々つらいところも。

マイクロフォーサーズ対応の交換レンズは鮮鋭度に重きを置いたカリカリとした描写のものが多いため、多分にこのカメラの描写も期待させるところがあるが、残念ながらそうはならない。記念写真レベルでの撮影や記録として使用する分にはさほど気になるものではないが、作品レベルの写真、特に風景のように精鋭度が必要とされるようなものでは厳しいことがあるかも知れない。さらなる描写特性の向上をメーカーには期待したいところである。

感度

LX100の感度設定範囲はISO200からISO25600までと、そのレンジは広い。ただし、このベース感度ではレンズの明るさを活かした撮影が厳しいこともあるかも知れない。あくまでも筆者個人の考えだが、ベース感度はやはりISO100のほうが何かと使い勝手がよいように思えてならない。

なお、高感度ノイズリダクションはデフォルトのほか、最も効果を弱くした場合と最も強くした場合の比較作例も掲載するので、併せて見てもらいたい。

以下のサムネイルは青枠部分の等倍切り出しです

高感度ノイズリダクション:標準

ISO200
ISO400
ISO800
ISO1600
ISO3200
ISO6400
ISO12800
ISO25600

高感度ノイズリダクション:弱

ISO200
ISO400
ISO800
ISO1600
ISO3200
ISO6400
ISO12800
ISO25600

高感度ノイズリダクション:強

ISO200
ISO400
ISO800
ISO1600
ISO3200
ISO6400
ISO12800
ISO25600
以下のサムネイルは青枠部分の等倍切り出しです

高感度ノイズリダクション:標準

ISO200
ISO400
ISO800
ISO1600
ISO3200
ISO6400
ISO12800
ISO25600

高感度ノイズリダクション:弱

ISO200
ISO400
ISO800
ISO1600
ISO3200
ISO6400
ISO12800
ISO25600

高感度ノイズリダクション:強

ISO200
ISO400
ISO800
ISO1600
ISO3200
ISO6400
ISO12800
ISO25600

描写に関しては、ISO800までならカラーノイズ、輝度ノイズとも気にならず、解像感の低下もほとんどない。ここまでがいわゆる実用域で、精神衛生上も安心して使える感度領域といってよいだろう。ISO1600になるとノイズが目立つようになってくる。合わせてシャープネスの低下がはじまり、被写体のディテールが損なわれ始める。ISO3200では画面全体がノイジーでエッジのにじみも際立つようになる。

このところマイクロフォーサーズカメラの高感度特性は向上してきおり、ISO3200でもそこそこの描写が得られるが、同じサイズのイメージセンサーながら本モデルの場合、それよりも高感度特性はわずかに低いように思える。

作品集

フォーカスは手前右にある岩に合わせている。絞りはF5.6。ワイド端での撮影であるため思いのほか深い被写界深度が得られる。WBはオートを選択しているが、強い青カブリはなくどちらかといえばニュートラルな印象だ。

LUMIX LX100・絞り優先AE(絞りF5.6・1/160秒)・−1EV補正・WBオート・ISO200・JPEG

焦点距離34mm、テレ端での撮影。絞りは開放より1段絞ったF4.0としている。描写のキレは甘いものの、コンパクトカメラとして考えるなら十分だろう。絞りを開いたときに発生しやすい周辺減光はよく抑えられている。

LUMIX LX100・絞り優先AE(絞りF4.0・1/60秒)・WBオート・ISO320・JPEG

ワイド端10.9mmで撮影を行っている。絞りはF4.0。水に濡れた岩の質感など美しい描写だ。同じ画角でも焦点距離がフルサイズやAPS-Cサイズにくらべ短いフォーサーズセンサーでは、ちょっと絞るだけで深い被写界深度が得られるため風景撮影などでは重宝する。

LUMIX LX100・絞り優先AE(絞りF4.0・1/160秒)・−1EV補正・WBオート・ISO200・JPEG

焦点距離は15.9mm。35mm判換算35mm相当の画角となる。絞りは開放F2.3。AFは速くストレスのようなものはない。露出補正ダイヤルの搭載で、直感的に画像の明るさが調整できるのも便利に思えるところだ。

LUMIX LX100・絞り優先AE(絞りF2.3・1/4,000秒)・+1/3EV補正・WBオート・ISO200・JPEG

明暗比の高い被写体だが、階調再現性は素晴らしく白い壁は階調を保持しており、シャドー部の潰れもよく抑えている。フォトスタイルはデフォルトのスタンダードであるが、適度にパッと見を重視した好感の持てる絵づくりだ。ワイド端10.9mm。

LUMIX LX100・絞り優先AE(絞りF2.8・1/2,000秒)・−1/3EV補正・WBオート・ISO200・JPEG

LX100のオートWBはなかなか優秀。特に晴天日陰や曇天など青かぶりすることがほとんどない。写真も晴天時の日陰だがナチュラルな色調に感じられる。焦点距離は22.7mm。フルサイズ換算で50mm相当であるが、開放絞りでもボケは写真のとおり。

LUMIX LX100・絞り優先AE(絞りF2.7・1/400秒)・WBオート・ISO200・JPEG

まとめ

LUMIX LX100は総じてバランスのとれたコンパクトデジタルカメラだ。ハード的にはフォーサーズセンサーに大口径の光学3.1倍ズームレンズとEVFを搭載し、ソフト的にも充実したフィルター機能の採用など、隙を見つけることは困難といってよい。まとまりのあるコンパクトデジタルカメラ、そういって差し支えないと思う。

ただ、それに水を差すのが、搭載するレンズの描写特性である。従来の安価なコンパクトデジタルというのであればガマンしてしまうところかも知れないが、このカメラに対する期待を考えると、今ひとつ物足りなく思えてしまう。もちろん、それは画像を拡大し厳密にチェックしたときのことであるが、カメラの格を考えれば、そこまで配慮されていたならと思わずにはいられない。

とはいえ、このカメラでの撮影は楽しい。高速でストレスのないAFや、接眼派にはうれしいEVFの採用など、写真を撮る気にさせる。普段使いのバッグに常時忍ばせておきたいコンパクトデジタルカメラである。

大浦タケシ

(おおうら・たけし)1965年宮崎県生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業後、二輪雑誌編集部、デザイン企画会社を経てフリーに。コマーシャル撮影の現場でデジタルカメラに接した経験を活かし主に写真雑誌等の記事を執筆する。プライベートでは写真を見ることも好きでギャラリー巡りは大切な日課となっている。カメラグランプリ選考委員。