新製品レビュー
パナソニックLUMIX LX100(外観・機能編)
フォーサーズセンサー搭載のレンズ一体型コンパクト
大浦タケシ(2014/11/27 08:00)
マイクロフォーサーズ/フォーサーズのレンズ交換式カメラと同じセンサーを搭載するコンパクトデジタルカメラがあったなら。これまでそう願う読者も少なくなかったことだろう。このセンサーサイズなら、描写とボディサイズのバランスのとれたコンパクトデジタルカメラができそうに思えるからだ。
実際フォーサーズセンサーよりもちょっと小さい1インチや、反対にちょっと大きい1.5インチサイズのセンサーを積むコンパクトデジタルカメラは、いずれもそのボディサイズ、描写などから注目されることも多い。ましてマイクロフォーサーズ/フォーサーズのカメラをリリースするメーカーなら、そのセンサーの扱いにも熟れていることだろうから、大いに期待できそうに思える。
パナソニックLUMIX LX100は、写真愛好家のそのような期待に応えるフォーサーズセンサー搭載のコンパクトデジタルカメラだ。発売開始は11月13日。本稿執筆時点での実勢価格は税込11万1,020円前後である。
フォーサーズセンサーを搭載。マルチアスペクトにも注目
コンパクトデジタルカメラとして本機が初採用するフォーサーズセンサーは、有効1,280万画素(アスペクト比4:3時)。静止画用のカメラとして初めて4K動画撮影機能を搭載したLUMIX GH4や、オリンパスのフラッグシップモデルOM-D E-M1などが有効1,600万画素であることを考えると、いささか心細く感じられなくもないが、A3ノビサイズが一般的な最大プリントサイズと考えれば十分な有効画素数といってよい。
実は、本モデルに搭載されるセンサーの総画素数は1,684万画素。だったら有効画素数も1,600万前後になりそうなものだが、これは「マルチアスペクト」機能を採用し、4:3、3:2、16:9のいずれに設定した場合も同じ画角を得られる仕組みとしているからだ。(1:1は切り出しのため、同じ画角にはならない)。
レンズは実焦点距離で10.9-34mm。先のマルチアスペクトの関係から、マイクロフォーサーズ/フォーサーズのように単純に実焦点距離を2倍したのが35mm判に相当する画角とはならず、24-75mm相当の画角とする。開放値はF1.7-2.8と明るい。レンズは沈胴式だが、ワイド端でも思いのほか繰り出すのはちょっとビックリさせられる。
最短撮影距離は通常時で50cm、AFマクロモード時ではワイド端3cm、テレ端30cmとする。鏡筒先端には43mm径のフィルター用ネジが切られており、気の利いた部分だといえる。手ブレ補正機構は、パナソニックの伝統に沿ってレンズ駆動式を採用。効果も上々で、実に逞しく感じられる。描写については、後日の実写編を楽しみに待っていてほしい。
レンズ鏡筒部には絞りリングのほか、コントロールリング、アスペクト切換スイッチ、フォーカス切換スイッチが配置され、直感的な操作を可能としているのも好感の持てるところ。特に絞りリングはクリック感も良好で、値の張るレンジファインダーカメラ用の交換レンズを操作しているようである。
また、撮影モードの設定は、この絞りリングとトップカバーのシャッターダイヤルの組み合わせで行う。それぞれにはA(オート)ポジションがあり、絞りリングのみAポジションにあわせるとシャッター速度優先AEに、シャッターダイヤルのみをAポジションに合わせると絞り優先AEに、どちらもAポジションにセットするとプログラムAE(いわゆるPモード)に設定される。
これは、パナソニックの協業相手であるライカのコンパクトデジタルカメラ、Xシリーズにも採用される撮影モードの設定方法と同じであり、実に使い勝手がよい。願わくばAポジションにロック機能が備わっていると不用意に動くようなことがなく、より操作性が向上するように思える。
コントロールリングにはズームやMF、ISO感度、WBなどの機能が割り当てられる。デフォルトはステップズームだ。リングの存在自体はたいへん便利に思えるものだが、残念に思えるのは隣りの絞りリングもいっしょに回してしまいがちなことだろう。物理的にリングの幅が狭いことは致し方ないとしても、もう一工夫あってもよかったように思える。実に惜しい。ちなみに絞りリングは、ローレットのある部分が一段高くなっていて指に掛かるため、そのようなことはない。
絞りリングとシャッターダイヤルの搭載により、パナソニック機では定番ともいえる“クルポンダイヤル”は省略されている。なお、露出補正については、トップカバーに露出補正ダイヤルを備えており、こちらもより直感的な操作を可能としている。
柔軟なAF設定
AFエリアは49点。ほぼ画面全体をカバーする。そのなかの9点をひとつのフォーカスエリアとするAFエリアグループによる測距を可能とするほか、縦一列や横一列、好みのフォーカスエリアを作成できるカスタムマルチAFにも対応。柔軟性のあるAFエリアの選択が楽しめる。
また、AF追従での連写速度は約6.5コマ/秒を実現。キレのよい連続撮影が楽しめる。さらに、AF固定ならフル画素+メカシャッターで11コマ/秒。電子シャッターで記録画素数もSサイズとなるものの、超高速(SH)モードなら40コマ/秒の撮影まで可能としている。
高精細なEVF内蔵。ストロボは外付け
液晶モニターは3.0インチ、92万ドット。残念ながら可動タイプではない。ただし、視野角が広い上にコントラストも高く、ハイアングル撮影などでも視認性が大きく劣るようには感じられない。一方、EVFは0.38インチ、276万ドット。高精細でピントの状態など被写体の状況が把握しやすい。もちろんアイセンサーと視度調整機も搭載している。
デジタル一眼レフやEVFを搭載するミラーレス機を使用する接眼派(?)にとって、EVFの搭載はやっぱりありがたい。
なお、ストロボはスペースの都合と思われるが、内蔵は見送られている。必要であれば、別売のフラッシュライトDMW-FL70(カメラから電源供給できる小型ストロボ)などを用意したい。
4K動画・4Kフォトにも注目
注目の機能のひとつに4K動画機能があるだろう。フルハイビジョンの1,920×1,080ドットを大きく凌ぐ3,840×2,160ドットでの動画撮影が楽しめる。パナソニックはデジタルカメラの4K動画撮影機能の搭載に力を入れており、GH4、FZ1000に続き本モデルで3機種目。4K対応のテレビやモニターはまだまだ一般的とは言い難い状況だが、それでもラインナップの拡充を積極的に図ろうとするのは、動画にも強いLUMIXブランドというイメージを根付かせる意味合いもあるのだろう。
さらに「4Kフォト」機能を搭載していることも見逃せない。これは4K動画機能を使った静止画撮影機能で、4K動画から切り出した1枚の静止画は約800万画素と十分な解像度を誇る。4Kフォト撮影を楽しむにはメニューの同機能をONにするが、動画フォーマットの設定や輝度設定などを一括して行ってくれるので便利だ。
ちなみに輝度設定とは、通常の動画撮影の場合は暗部を明るく持ち上げるように画質の調整がなされるが、それを静止画撮影の場合と同じ輝度とするもの。輝度を調整していない動画から静止画を抜き出すと、締まりのない眠い写真となってしまうため、この機能が備わっている。また、4Kフォト撮影を行う場合、撮影モードはシャッター速度優先とし、なるべく速いシャッター速度に設定とすることでシャープでキレのある静止画が抜き出せるという。