【新製品レビュー】キヤノンIXY 30S

“新世代”を予感させるフラッグシップIXY
Reported by 吉森信哉

 キヤノン「IXYシリーズ」の新たなフラッグシップモデル。連続曲面で形成するIXY伝統のカーバチャーデザインもとにした、滑らかで上質な流線型のボディフォルムと、力強い色合いの4色のカラーバリエーションが、従来のIXYシリーズと異なる印象を与えてくれる。

 撮像素子には、有効画素数1,000万画素の1/2.3型裏面照射型CMOSセンサーを採用。高感度に強いとされる裏面照射型CMOSセンサーと、キヤノンが誇る映像エンジン「DIGIC4」との組み合わせによって、高感度画質がどこまで変化したのかが見物だ。キヤノンでは高感度センサーとDIGIC4の連携による撮影領域の拡大を「HS SYSTEM」と銘打っているが、これはPowerShot S90やPowerShot G11で銘打たれていた「DUAL CLEAR SYSTEM」に替わる名称になる。

 搭載レンズには、新開発の「F2.0キヤノンレンズ」を採用。このクラスとしては、開放F値が抜群に明るい。ズーム倍率は3.8倍で、28〜105mm相当(35mm判換算)の画角をカバーする(開放F値はF2〜5.3)。F2レンズとHS SYSTEMにより、カメラブレと被写体ブレの両方に対応。暗い場所での統合的なブレ補正が可能になる。

 このほかにも、1,000万画素のフル画素での約3.7コマ/秒連写や、250万画素での約8.4コマ/秒ハイスピード連写などが可能。これらはCMOSセンサーの特徴を生かした機能である。

 そしてHD動画撮影に関しても、撮影中の光学ズームやオートフォーカスの使用が可能になり、さらにリニアPCMステレオ音声を採用するなど、いままで以上の進化が見られる。

 発売は5月27日。実勢価格は4万円弱。本体色はイエロー、レッド、ホワイト、ブラック、シルバーの5色。


連写性能が飛躍的にアップ

 最大の特徴は、何といっても「F2.0キヤノンレンズ」の搭載だろう。かつては、F2やさらに明るい開放F値のズームレンズを搭載したコンパクトデジカメが、いくつか発売されていた。例えばキヤノンでは、PowerShot G1からPowerShot G6までのGシリーズが代表格だ。最近のGシリーズだと、ズームレンジ(倍率や画角)や小型化を優先しているためF2.8にとどまってっているが……。

 しかし、2008年10月に発売されたPowerShot S90は、Gシリーズよりも小振りなボディにF2レンズを搭載。この点が、多くのカメラファンの注目を集め、また支持されている。そのPowerShot S90よりも格段にスリムなIXYボディに、F2のズームレンズを搭載してきた……。これには“感心”を通り越して“驚き”を覚えたほどだ。もちろん、IXYシリーズ最高の明るさである。

 レンズの開放F値が明るいメリットはいくつか挙げられるが、最も大きいのは「他の条件が同じなら、より速いシャッター速度で撮影できる」ということ。室内や夜間などの薄暗い場所での撮影に、絶大な威力を発揮してくれるのだ。ちなみに、ここでいう「ほかの条件」とは、主にISO感度の値を指す。

これまでのIXYと違い、鮮明で力強い色合い。ホワイトはコーティング層がレッドやイエローより1層多い4層コーティングになっている。ブラックは3層コーティングのマット仕上げ。シルバーは素材に細かいブラスト処理を施したお馴染みの質感

 撮像素子がCCDではなく、高感度タイプの裏面照射型CMOSセンサーである点も大きな特徴にあげられる。同様のCMOSセンサーは、開発メーカーであるソニーがサイバーショットDSC-WX1やDSC-TX1に搭載したのを皮切りに、現在ではカシオ、ニコン、富士フイルム、リコーなどから搭載モデルが発売されている。今回のIXY 30Sも、その裏面照射型CMOSセンサーの搭載によって、高感度撮影時のノイズが抑制されたり(DIGIC4の力もあるが)、高速連写が可能になったり、といったメリットが生まれている。

 また従来のIXYシリーズでは、連写機能のスペックに関して、ほとんど見るべき点がなかった。IXY 10S(2009年9月発売)の約0.7コマ/秒をはじめ、現行機種すべてが、秒間1コマに満たない数値である。また、記録画素数を落として連写速度をアップさせる高速連写モードなども搭載されていない。このあたりの連写の弱さが、IXYシリーズの泣き所であった。

 だがIXY 30Sは、1,000万画素のフル画素で約3.7コマ/秒の連写が可能。そして、250万画素で約8.4コマ/秒の連写ができるハイスピード連写(シーンモード)も搭載されている。これにより、従来モデルとはまったく違う「連写に強いIXY」へと変貌を遂げた。しかも、メモリーカード容量いっぱいまで連写でき、どんなに大量に撮影しても、シャッターボタンを離した瞬間には、メモリーカードへのデータ書き込みがほぼ終了している。このあたりのIXYらしいレスポンスの良さも、大きな魅力である。

 IXYシリーズの露出制御方式は、基本的にプログラムAEのみである(IXY DIGITAL 3000 ISはマニュアル露出を搭載していたが)。だが、IXY 30SにはTv(シャッター優先AE)とAv(絞り優先AE)も搭載されている。シャッタースピード優先AEで撮影する場合、前述のF2レンズの搭載が、大きなメリットとなる。つまり、光量が少ない場面でも、同じISO感度でより高速なシャッター速度で撮影できるのだ。絞り優先AEで撮影する場合も、明るい開放F値を生かして、背景をぼかしたマクロ撮影などが可能になる。シャッター速度も絞り値も、1/3段ステップで細かく設定できる点がウレシイ。

AvやTvは、ファンクション項目の中で切り換える。各種のシーンモードも項目内に含まれるが、AvとTvは一般的に多用されるPのすぐ上に配置されているので、迅速に切り換えることができるだろうAv時の撮影画面。画面下に絞り値と露出補正値が並び、コントローラーホイールを回転させると絞り値が変化。ホイール上を押すと露出補正に切り替わる。露出補正操作の快適さも、このカメラの特徴

 動画撮影機能に関しては、IXY 200Fを除く現行モデルと同様、1,280×720ピクセルのHD動画が撮影できる。しかも、前述のとおり、撮影中の光学ズーム使用やAF作動も可能。音声は現場の様子がリアルに伝わるステレオ方式である。これらの進化によって、従来モデルとは違う「動画にも強いIXY」へと変貌したのだ。

 肉眼ではとらえにくい高速な動きがスローで再生できる「ハイスピード動画機能」(320×240ピクセル/240fps、再生時30fps、音声なし)も、IXYシリーズとしては、かなり斬新に感じられる。

 シーンモードは16種類で、IXY 30Sのみに搭載されているのは、前述の「ハイスピード連写」である。そのほかのシーンモードでは、独特な描写が得られる「ジオラマ風」や「魚眼風」などが面白そう。特に「ジオラマ風」モードは、ピントが合う枠の位置や幅が調整できて、タテに構えた際には枠の方向が切り替わるので、とても使いやすくて応用範囲も広そうだ。

240fpsで最大30秒まで記録できるハイスピード動画を新搭載「ジオラマ風」モードも面白い。ピントが合う幅と位置を調整でき、縦位置では枠の方向が切り替わる

コントローラーホイールの操作性も○

 連続曲面で形成される「カーバチャーデザイン」は、IXYシリーズの外観上のポイント(魅力的な部分)であるが、操作上においては“ホールド時の不安定さ”につながる心配がある。これまでボクは、何台かのカーバチャーデザインのIXY(またはIXY DIGITAL)を使用してきたが、いつも「もう少しグリップ部が膨らんでいる、あるいは指をかけるパーツがあれば、もっと安定するんだけどなぁ」と感じていた。

 IXY 30Sもこれまでのモデルと同様、膨らみや指をかける部分のないツルンとしたボディだが、光沢感のあるコーティングが施された3色(ホワイト、レッド、イエロー)などは、手にした時にピタッと密着する感触がある。だから、従来のサラッとした感触の製品よりも、滑りにくくて安定感が増したような印象を受ける。

 ちなみに、カーバチャーデザインを採用したIXYだと、下側(三脚穴のある面)に向かって連続曲面で絞り込まれいくモデルが多い。こういうモデルは、底部のフラットな部分の面積が狭くなってしまう。その結果、テーブルなどに置いた際の安定度が悪い。まあ、ほかのスリムタイプのカメラも安定度が高いとは言えないが、特にIXYシリーズの場合は、テーブルなどに置く際には、できるだけ液晶モニター面を下にした方が安全だろう。

お馴染みのコントローラーホイール。操作感が向上した内部にHDMI端子と映像出力端子を備える
バッテリー室。記録メディアはSDXC/SDHC/SDメモリーカードに対応使用するバッテリーは、リチウム充電池の「NB-6L」。このバッテリーは、IXY 10SやPowerShot S90と共通だ

 従来のフラッグシップモデルにあたるIXY 10Sには、液晶モニター画面に触れて各種の操作・設定ができる「大画面タッチパネル」が採用されている。その流れを汲む製品名のIXY 30Sだが、こちらにはタッチパネルは採用されておらず、ごく普通のボタンやダイヤルによる操作になる。

 ただし、これがなかなか侮れない。液晶モニター右側に、IXYやパワーショットシリーズではお馴染みの「コントローラーホイール」が配置されているが、このホイールの操作フィーリングが絶妙なのだ。これまでもコントローラーホイールを搭載したIXYシリーズは存在したが、回転に節度がなくて不用意に設定値が変わったり、回転操作と設定量にズレが生じたり……といった不満を感じることが多かった。IXY 30Sのホイールは、適度なクリック感があり、そんな不満を感じさせないのだ。ちなみに、F2レンズや高機能ぶりが評価されているPowerShot S90でさえ、コントローラーホイールの操作感は、回転に節度がなく褒められたものではなかった。

 あと、動画撮影時の操作で気になった点をひとつ挙げておきたい。IXY 30Sは撮影中の光学ズームが可能になったが、その動き(画角の変化)にガタつきが感じられるのが惜しい。動きのある被写体を追いかけるなら問題ないかもしれないが、風景など静止した被写体だと少し気になってくる。


期待通りの高感度画質

 搭載ズームレンズの開放F値が明るいのは大きな魅力だが、描写性能はどうだろうか。

 まず、28mm相当の広角端でF2に設定した場合だが、露出レベルが少しアンダーぎみになる点を除けば(これは露出補正で改善できそう)、ピントを合わせた部分は、かなりシャープかつクリアに描写される。また、像が乱れやすい画面周辺部でも、さほど大きな乱れは感じないことが多い(絵柄や撮影距離などによって変わるだろうが)。ただし、このあたりの安定感は、同じF2ズームでもPowerShot S90には敵わない。それでも、スタイリッシュ路線のIXYシリーズとしては結構健闘していると思う。

 むしろ、明るい広角側よりも、暗い望遠側の方が気になった。画面全体がややフレアっぽくて、ヌケの悪さが感じられるのだ。解像感の低下や周辺部の乱れは目立たないだけに、ちょっと残念な点である。ちなみに、画面周辺部の歪曲収差は、広角側も望遠側も、さほど目立たなかった。

 裏面照射型CMOSセンサーの搭載によって期待されるのが、何と言っても高感度画質の向上である。こちらに関しては、ほぼ期待時の結果が得られた。最低感度がISO125と少し高めなこともあり、あまりきめ細かい描写は期待していなかった。だが、同様のセンサーを搭載する他メーカーの製品と比べると、けっこう上質な描写を得ることができた。これぞDIGIC4のパワーだろうか。

 さらにISO400以上へと感度を上げていくと、1/2.3型センサーのコンパクトデジタルカメラとしては、かなり優秀な描写を得ることができた。ISO400くらいならノイズ感は目立たず、細部の解像感や質感も良好である。ISO800になると少し細部の描写がアマくなるが、ノイズ感はそう目立たない(ただし、絵柄や撮影条件によっても印象は変わってくるだろう)。

 そして、通常モードでの最高感度「ISO3200」でも、かなり良好な描写を得ることができた。最低感度から最高感度まで、色調や彩度のバラツキがあまり見られない点にも感心した。明言はできないが、ISO3200などの描写を見る限り、このIXY 30Sの高感度画質は、現在の1/2.3型クラスの撮像素子を搭載するコンパクトデジカメの中ではトップクラスかもしれない。同様に高感度性能の良さをウリとしているPowerShot S90やPowerShot G11に引けをとらない高感度性能かもしれない。


世代が変わった印象。撮る楽しさを味わえるIXY

 キヤノンのIXY(IXY DIGITAL)と言えば、スタイリッシュコンパクトの代名詞のようなシリーズである。2000年5月に発売された初代「IXY DIGITAL」が、それを鮮明に印象づけてくれた。その後も、色んなタイプのIXYが発売されたが、中でも「これまでのIXYとは違う!」という印象を与えてくれたのが、2005年3月に発売された「IXY DIGITAL 600」だろう。初めてカーバチャーデザインを採用したそのボディラインだけでなく、液晶モニターの大型化(1.5型から2型に)や、メインストリームモデルで初めてSDメモリーカードを採用した点など、機能や仕様の面においてもインパクトの強いモデルだったのである。

 今回のIXY 30Sにも、どこか同じような印象を覚える。ボディデザインも、初期のカーバチャーデザインを彷彿とさせるし、シリーズ初のF2レンズの搭載や、これまで苦手としてきた連写なども、従来のIXYからの飛躍を感じさせるに充分な装備だ。事実、大量に連写できて書き込みも瞬時に終了する連写機能などは、これまでのIXYにはなかった大きな魅力である。「人物など動きのある被写体は、すべて連写モードで撮ってもイイかも」と思わせてくれる目からウロコ的な機能なのである。

 まあ、IXY 10Sのようなタッチパネル液晶モニターではないし、液晶モニターのサイズやドット数もIXY 10Sには及ばない(IXY10Sは3.5型ワイドで約46.1万ドット。IXY 30Sは3型ワイドで約23万ドット)。IXY10Sの24〜120mm相当に比べれば、搭載するズームレンズの画角も平凡である

 それでも、F2レンズや裏面照射CMOSセンサーの搭載によって「多くの光を得る」という根本的かつ重要な点を重視した設計は高く評価できる。また、その光を「自在に操る術」となるシャッタースピード優先AEと絞り優先AEを搭載した点も見逃せない。そう、IXY 30SはIXYらしいスタイリッシュな外観と気軽な撮影スタイルだけでなく、クリエイティブな撮影も楽しめるデジタルカメラなのである。


実写サンプル

  • 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像を別ウィンドウで表示します。

・画角

広角端
IXY 30S / 約2.4MB / 3,648×2,736 / 1/1,600秒 / F2.8 / 0EV / ISO125 / WB:オート / 4.9mm
望遠端
IXY 30S / 約2.0MB / 3,648×2,736 / 1/500秒 / F5.3 / 0EV / ISO125 / WB:オート / 18.6mm

・歪曲収差

広角端
IXY 30S / 約2.4MB / 3,648×2,736 / 1/1,250秒 / F2 / 0EV / ISO125 / WB:オート / 4.9mm
望遠端
IXY 30S / 約2.1MB / 3,648×2,736 / 1/800秒 / F5.3 / 0EV / ISO125 / WB:オート / 18.6mm

・マイカラー

※共通設定:IXY 30S / 約2.5MB / 3,648×2,736 / 1/250秒 / F5 / 0EV / ISO125 / WB:オート / 12.5mm
オフくっきりカラーすっきりカラー
セピア白黒ポジフィルムカラー
色白肌褐色肌あざやかブルー
あざやかグリーンあざやかレッド 

・感度

※共通設定:IXY 30S / 約2.8MB〜約3.8MB / 3,648×2,736 / F4.5 / -0.3EV / WB:オート / 8.2mm
ISO100ISO200ISO400
ISO800ISO1600ISO3200

絞り値による描写変化(広角端)

※共通設定:IXY 30S / 約1.9MB〜約2.0MB / 3,648×2,736 / 0EV / ISO125 / WB:オート / 4.9mm
F2F2.8F4
F5.6F8 

絞り値による描写変化(望遠端)

※共通設定:IXY 30S / 約2.0MB〜約2.2MB / 3,648×2,736 / 0EV / ISO125 / WB:オート / 18.6mm
F5.3F8

・連続撮影

 目の前を通過する電車を約3.7コマ/秒で撮影した。実際には前後にもっと多く撮影したが、その中から連続する4コマを抜粋している。できるだけシャープに描写したかったので、シャッター優先AEを選択して、ズーム位置を広角端にして最も速いシャッターに設定したが、開放F値の明るさに助けられ、ISO感度はあまり上がることはなかった。こういった撮影でも明るいレンズの恩恵を受けることができる。

※共通設定:IXY 30S / 約2.6MB / 3,648×2,736 / 1/1,250秒 / F2 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 4.9mm

ジオラマ風モード

 シーンモードの「ジオラマ風」では、指定した範囲(横方向)以外を大きくぼかして撮影できる。指定範囲は3段階から選択可能。そのときコントローラーホイールを上下方向に押すと、指定範囲が上下に移動できる。

ジオラマ風
IXY 30S / 約1.0MB / 3,648×2,736 / 1/160秒 / F4 / 0EV / ISO125 / WB:オート / 9.3mm

「ジオラマ風」モードでカメラを縦位置に構えたら、指定範囲もそれに合わせて方向が自動的に変わる。もちろん、指定範囲の幅や位置調節も横位置と同じように行なえる。ここではジオラマ風の描写よりも、「大口径望遠レンズで撮ったような大きなボケ」を再現しようとした。ジオラマ風モードにすると自動的に彩度がアップするようなので、こういった被写体では好ましい結果になることが多いだろう。

ジオラマ風モード
IXY 30S / 約1.5MB / 2,736×3,648 / 1/100秒 / F4.5 / 0EV / ISO500 / WB:オート / 11.0mm
通常撮影
IXY 30S / 約3.6MB / 2,736×3,648 / 1/80秒 / F4.5 / 0EV / ISO400 / WB:オート / 11.0mm

・魚眼風モード

効果は切、弱、中、強から選べる。これは中の効果。魚眼レンズというより「強烈な陣笠タイプの歪曲収差」に近い
IXY 30S / 約1.9MB / 3,648×2,736 / 1/60秒 / F2 / 0EV / ISO125 / WB:オート / 4.9mm
黒猫の像や、周囲の丸い枠が不自然に歪まないよう、注意しながら構図を決めて撮影した。効果レベルは中
IXY 30S / 約2.4MB / 3,648×2,736 / 1/200秒 / F2 / 0EV / ISO125 / WB:オート / 4.9mm

・i-コントラストの有無

 画面内に明るい部分や暗い部分があると、自動的に適切な明るさに補正するのが「i-コントラスト」機能。必要に応じて使用するといいだろう。なお、この機能は撮影後の画像にも適応でき、その際には効果を「自動、強、中、弱」の中から選択できる。撮影時は、切と自動のみしか選択できない。

i-コントラスト:切
IXY 30S / 約1.4MB / 3,648×2,736 / 1/1,250秒 / F2.8 / 0EV / ISO125 / WB:オート / 4.9mm
i-コントラスト:自動
IXY 30S / 約1.5MB / 3,648×2,736 / 1/1,250秒 / F4 / 0EV / ISO250 / WB:オート / 4.9mm

・望遠端のレンズ描写

 観覧車のフレームを105mm相当の望遠端で切り取ってみた。解像感は悪くないし、画面周辺部の乱れも少ないが、全体的に少しフレアっぽくてメリハリに欠ける印象。逆光でもないんだけどなぁ……。このあたりの描写が“惜しい点”である。

IXY 30S / 約3.0MB / 3,648×2,736 / 1/1,000秒 / F5.3 / 0EV / ISO125 / WB:オート / 18.6mm

・逆光での描写

 広角寄りの画角で、画面内に太陽を入れて撮影してみた。ゴーストやフレアも目立たず、なかなかクリアな描写が得られた。

IXY 30S / 約2.2MB / 3,648×2,736 / 1/1,250秒 / F3.5 / 0EV / ISO125 / WB:オート / 6.3mm

・広角マクロ

 マクロモードに切り換えると、広角端でレンズ先端から3cmまでの被写体にピントが合う。同じマクロモードの状態で、Powershot S90は5cmまで。この2cmの差、意外と大きく感じられるんだよねぇ。

IXY 30S / 約2.2MB / 3,648×2,736 / 1/1,600秒 / F2 / 0EV / ISO125 / WB:オート / 4.9mm

・フォーカスゾーン/遠景撮影

 夜景撮影などでは、暗さや光源の影響などで、AFが正しく機能しない(ピンボケになる)こともある。そういう状況では、フォーカスゾーンを「遠景撮影」に設定して撮るといいだろう。

IXY 30S / 約3.3MB / 3,648×2,736 / 1/4秒 / F2 / -0.3EV / ISO800 / WB:オート / 4.9mm

・HD動画

1,280×720 / 30fps / H.264

・そのほか

IXY 30S / 約1.7MB / 3,648×2,736 / 1/1,000秒 / F5 / -1EV / ISO125 / WB:オート / 13.8mm(ポジフィルムカラー)IXY 30S / 約1.9MB / 3,648×2,736 / 1/160秒 / F2 / 0EV / ISO125 / WB:オート / 4.9mm
IXY 30S / 約1.8MB / 3,648×2,736 / 1/640秒 / F2 / 0EV / ISO125 / WB:オート / 4.9mm(ポジフィルムカラー)IXY 30S / 約2.2MB / 3,648×2,736 / 1/1,250秒 / F2 / 0EV / ISO125 / WB:曇り / 4.9mm(ワンポイントカラー)
IXY 30S / 約1.8MB / 3,648×2,736 / 1/1,600秒 / F2.8 / 0EV / ISO125 / WB:オート / 4.9mm(i-コントラスト自動)IXY 30S / 約1.9MB / 2,736×3,648 / 1/160秒 / F2.8 / 0EV / ISO125 / WB:オート / 4.9mm
IXY 30S / 約2.0MB / 3,648×2,736 / 1/125秒 / F2 / 0EV / ISO125 / WB:曇り / 4.9mm(くっきりカラー)IXY 30S / 約2.3MB / 2,736×3,648 / 1/125秒 / F5 / -0.7EV / ISO800 / WB:オート / 14.2mm(くっきりカラー)
IXY 30S / 約2.0MB / 3,648×2,736 / 1/25秒 / F2 / 0EV / ISO800 / WB:オート / 4.9mmIXY 30S / 約1.7MB / 3,648×2,736 / 1/40秒 / F2 / 0EV / ISO800 / WB:蛍光灯 / 4.9mm
IXY 30S / 約2.3MB / 3,648×2,736 / 1/60秒 / F2 / -0.7EV / ISO400 / WB:オート / 4.9mm




吉森信哉
(よしもりしんや)1962年広島県庄原市出身。東京写真専門学校を卒業後、フリー。1990年からカメラ誌を中心に撮影&執筆を開始。得意ジャンルは花や旅。1970年代はカラーネガ、1980年代はモノクロ、1990年代はリバーサル、そして2000年代はデジタル。…と、ほぼ10年周期で記録媒体が変化。でも、これから先はデジタル一直線!? 自他とも認める“無類のコンデジ好き”

2010/6/10 00:00