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【新製品レビュー】サムスンNX10

〜初のAPS-Cレンズ交換式ミラーレス機の実力は?
Reported by 河田一規

 デジカメWatch編集部が購入したサムスンNX10を借りて撮り歩く機会を得た。NX10は韓国のサムスンが作ったAPS-Cサイズ撮像素子を搭載するミラーレス機で、今年1月に韓国で先行発売されたが、残念ながら日本での発売予定はない。日本でもソニーからNEX-5/NEX-3が先日発表されたが、レンズ交換可能なAPS-Cサイズ撮像素子搭載ミラーレス一眼というカテゴリーでは、サムスンNX10が世界初となる(ユニット交換式のリコーGXRを除くと)。

 なお、NX10のパッケージングやボディの各部画像、メニュー表示、マイクロフォーサーズやフォーサーズ一眼レフとの大きさ比較、ファーストインプレッションなどについては、2月18日に掲載された「ミラーレスAPS-C機『サムスンNX10』を購入してみた」に詳しいのでそちらを参照して欲しい。

 ここではNX10を使ってみて筆者なりに感じたことや、今後のミラーレス機全般の展望について考察してみたい。


薄くて携帯性のいいボディ

 NX10のボディは強化プラスチックと思われる樹脂製だが、細かなザラつきのある表面加工のおかげで決して安っぽくはない。手にしたときの剛性感も高く、全体の建て付けは非常にしっかりとしている。オリンパスPEN E-P1/P2のような素材の異なる金属パーツをキッチリと作り込んだような緻密感は味わえないが、日本製のエントリークラス一眼レフと比べても、まったく見劣りしないボディフィニッシュだ。

 デザインは見て分かるとおり、一眼レフライクな形状で、どちらかというとコンサバなスタイリング。デザイン部門が充実しているサムスンのことだから、もっと別なデザインの選択肢もあったと思われるが、パナソニックのLUMIX DMC-G1と同じように、シリーズ1号機は多くの人が受け入れやすい形状にしたのだろう。

 APS-C撮像素子を搭載しながら超小型ボディを実現したソニーのNEX-5を見てしまった今となっては、大きさ的なインパクトは感じないかもしれないが、最初にNX10を見たときにはマイクロフォーサーズ各機とさして変わらない体積を実現していることに驚いた。また、APS-Cサイズ撮像素子を搭載した一眼レフの場合、どれだけボディを小型化しようとも、いや、小型化すればするほど、逆にボディの厚みが目立ってしまい、それがボディデザインを微妙にアンバランスなものにしていた。しかし、ミラーレスのNX10にはそういったアンバランスさはなく、カメラの全幅に対してバランスのよい薄さを実現していると思う。

APS-Cサイズ相当の有効1,460万画素CMOSセンサーを搭載。レンズマウントはもちろん新規格だ 記録メディにはSDHC/SDメモリーカードを採用
上からDC IN、HDMI、リモコン、AV OUT 充電器とバッテリー

実用本位の操作性

 操作性に関しては基本的には実用性本位であり、入力デバイスを含めて特に「飛び道具」的な目新しさはない。ただし、表示方法などは非常によく考えられていて、例えば露出補正ボタンを押すと同時に、ライブビュー下部にある露出スケールが白から青に変わるあたりはとても上手い見せ方だ。同様の機構は国産モデルでもよくあるのだが、NX10の場合はスケールの見せ方がもっとアナログチックな感じで、単純にスケールの色が白から青に変わるのではなく、青いバックライトが点灯したようなエフェクトなのだ。これは操作していても楽しいし、見やすさの面でも効果的だ。

 他にもホワイトバランスやAF測距モード、解像度などの設定を変えたときに画面中央に船の丸窓のようなサークルが表示され、そのサークル内で選択肢のアイコンが、十字キー操作に合わせて連続的に移動するようになっているなど、ユーザーインターフェースは適度にエンターテイメント化されているのだが、そういった表示ギミックが決してアイデア倒れになっていないのがすごい。簡単な操作でAFフレームの大きさを4段階から選べるのもいい。指を相当立てないと露出補正ボタンを押しながら電子ダイヤルを回せない等々、小さな難点もあるにはあるが、全体的にはよく練られた操作系と感じた。

 AFはコントラストAFだが、同方式で速さに定評のあるパナソニックに遜色ないスピードであり、マイクロフォーサーズに比べると同じ画角でも実焦点距離が長いことを考え合わせると、現時点ではかなり優秀。今回使ったレンズで見る限り、精度も問題なかった。

操作ボタンのレイアウトなどはオーソドックスで、操作するに当たって戸惑うことはほとんどなかった。EVF下部には赤外線の接眼センサーがあり、EVFに目を近づけると有機ELモニターがオフになって、自動的にEVFに表示が切り替わる仕組みだ
操作画面の例。適度にエンターテイメント化され、それでいてアイデア倒れになっていない

バランスの取れた描写チューニング

 画質は特に解像感があるとか、ずば抜けてダイナミックレンジが広いという印象はないものの、相応の描写性能は備えている。デフォルトでは解像感、階調、彩度のすべてにおいて中庸なチューニングなので、とくに目を引くような印象はないのだが、下手に高彩度方向へ振っていないのは好感が持てる。

 ただ、背面モニターと記録される本画像では少し彩度に差があり、背面モニターの方が記録画像よりもやや地味に見える傾向があった。NX10の背面モニターは有機ELだが、この傾向は背面モニターの構造云々ではなく、背面モニターをドライブするエンジン側の傾向ではないかと思う。

 なお、シャープネスや彩度、コントラストなどは個別のパラメータで調整可能なほか、「Picture Wizard」という各種カラープリセットを利用することも可能。さらに「Picture Wizard」の各設定ごとにパラメータを微調整することもできるし、それとは別にカスタム設定を「Picture Wizard」項に3種類まで保持することも可能だ。

「Picture Wizard」にはデジタルフィルター、もしくはアートフィルター的な強力なエフェクトはないが、グリーンを強調する「Forest」や、極端に彩度を落とした「Calm」などは日本のデジカメではあまり見かけないカラーモードで興味深い。

  • 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像を別ウィンドウで表示します。

・Picture Wizardを変えて撮影

※共通設定:NX10 / SAMSUNG ZOOM LENS 18-55mm F3.5-5.6 OIS / 約4.8MB〜約6.8MB / 4,592×3,056 / 1/180秒 / F7.1 / 0EV / ISO200 / WB:Auto / 18mm
Standard Vivid Portrait
Landscape Forest Retro
Cool Calm Classic

あなどれない高感度性能

 設定可能な感度はISO100から3200まで。ノイズリダクションはONかOFFの二択だけだ。高感度ノイズはかなり優秀で、例えば同じくらいの画素数であるペンタックスK-7に比べてもISO800以上ではNX10の方がカラーノイズが圧倒的に少なかった(共にノイズリダクションOFFで比較)。ただ、NX10はノイズリダクションOFFでも、元々のノイズリダクションがそれなりに掛かっているようで、輪郭などのディテールはK-7の方がシャープに描写されていた。このあたりはノイズとシャープネスのどちらを取るかということなので、一概に優劣は付けられないだろう。

 蛇足だが、NX10ではメニューでノイズリダクションを選ぶと「High ISO NR」と「Long Term NR」の二択画面になる。これは分かりやすい。

・感度(ノイズリダクションOFF)

※共通設定:NX10 / SAMSUNG ZOOM LENS 18-55mm F3.5-5.6 OIS / 約4.5MB〜約6.0MB / 4,592×3,056 / F5.6 / 0EV / WB:Tungsten / 45mm
ISO100 ISO200 ISO400
ISO800 ISO1600 ISO3200

・感度(ノイズリダクションON)

※共通設定:NX10 / SAMSUNG ZOOM LENS 18-55mm F3.5-5.6 OIS / 約4.4MB〜約5.4MB / 4,592×3,056 / F5.6 / 0EV / WB:Tungsten / 45mm
ISO100 ISO200 ISO400
ISO800 ISO1600 ISO3200

カメラ史におけるエポックメイクな存在

 NX10を使ってみて驚いたのは、実使用において大きな問題となる点がまったくないということだ。操作性は標準以上の快適さを備えているし、画質も最高ではないが、必要十分なレベルには確実にある。もちろん、いまやサムスンは世界第3位のデジカメメーカーだから、NX10が問題なく使えるのは当たり前なのだが、ことレンズ交換式カメラにおいては、ここ50年以上、日本メーカーの寡占状態(中判カメラなどを除くと)であったことを考えると、日本以外の国からここまで実用性の高い優れたカメラが登場したことは、カメラ史におけるちょっとした、いや、かなりな「事件」である。

 このNX10の登場を受けて、日本のメーカーがどんな手で出てくるのか。まずはソニーがNEX-5とNEX-3で応えたカタチだが、残るニコンやキヤノン、そしてペンタックスがどういう解を用意しているのかが、大いに気になる。もちろんマイクロフォーサーズでミラーレス機に先鞭を付けたパナソニックやオリンパスが先行の利を活かせるかどうかも見逃せない。


レンズ別作例

・SAMSUNG LENS 30mm F2

NX10 / SAMSUNG LENS 30mm F2 / 約4.3MB / 3,056×4,592 / 1/640秒 / F8 / 0EV / ISO200 / WB:Auto / 30mm NX10 / SAMSUNG LENS 30mm F2 / 約3.8MB / 4,592×3,056 / 1/320秒 / F2 / 0EV / ISO200 / WB:Auto / 30mm
NX10 / SAMSUNG LENS 30mm F2 / 約4.9MB / 4,592×3,056 / 1/60秒 / F5.6 / +0.6EV / ISO200 / WB:Auto / 30mm NX10 / SAMSUNG LENS 30mm F2 / 約6.0MB / 4,592×3,056 / 1/1,000秒 / F5.6 / 0EV / ISO200 / WB:Auto / 30mm
NX10 / SAMSUNG LENS 30mm F2 / 約3.5MB / 3,056×4,592 / 1/250秒 / F5.6 / +1.6EV / ISO800 / WB:Auto / 30mm NX10 / SAMSUNG LENS 30mm F2 / 約5.7MB / 3,056×4,592 / 1/1,600秒 / F5.6 / -0.3EV / ISO800 / WB:Auto / 30mm
NX10 / SAMSUNG LENS 30mm F2 / 約4.8MB / 3,056×4,592 / 1/640秒 / F8 / -0.3EV / ISO200 / WB:Auto / 30mm NX10 / SAMSUNG LENS 30mm F2 / 約6.0MB / 3,056×4,592 / 1/320秒 / F8 / -0.3EV / ISO200 / WB:Auto / 30mm

・SAMSUNG ZOOM LENS 18-55mm F3.5-5.6 OIS
NX10 / SAMSUNG ZOOM LENS 18-55mm F3.5-5.6 OIS / 約3.6MB / 4,592×3,056 / 1/250秒 / F11 / 0EV / ISO200 / WB:Auto / 45mm NX10 / SAMSUNG ZOOM LENS 18-55mm F3.5-5.6 OIS / 約4.1MB / 4,592×3,056 / 1/400秒 / F11 / 0EV / ISO200 / WB:Auto / 19mm
NX10 / SAMSUNG ZOOM LENS 18-55mm F3.5-5.6 OIS / 約3.4MB / 4,592×3,056 / 1/1,250秒 / F8 / -0.3EV / ISO200 / WB:Auto / 33mm NX10 / SAMSUNG ZOOM LENS 18-55mm F3.5-5.6 OIS / 約6.3MB / 3,056×4,592 / 1/350秒 / F9.5 / -0.3EV / ISO200 / WB:Auto / 18mm
NX10 / SAMSUNG ZOOM LENS 18-55mm F3.5-5.6 OIS / 約5.9MB / 4,592×3,056 / 1/320秒 / F8 / +0.6EV / ISO200 / WB:Auto / 18mm NX10 / SAMSUNG ZOOM LENS 18-55mm F3.5-5.6 OIS / 約6.7MB / 4,592×3,056 / 1/125秒 / F20 / +0.6EV / ISO200 / WB:Auto / 18mm
NX10 / SAMSUNG ZOOM LENS 18-55mm F3.5-5.6 OIS / 約6.3MB / 4,592×3,056 / 1/350秒 / F9.5 / 0EV / ISO200 / WB:Auto / 18mm NX10 / SAMSUNG ZOOM LENS 18-55mm F3.5-5.6 OIS / 約4.7MB / 3,056×4,592 / 1/90秒 / F10 / -2.0EV / ISO200 / WB:Auto / 37mm
NX10 / SAMSUNG ZOOM LENS 18-55mm F3.5-5.6 OIS / 約6.0MB / 4,592×3,056 / 1/160秒 / F13 / 0EV / ISO200 / WB:Auto / 18mm NX10 / SAMSUNG ZOOM LENS 18-55mm F3.5-5.6 OIS / 約6.3MB / 3,056×4,592 / 1/320秒 / F13 / 0EV / ISO200 / WB:Auto / 18mm
NX10 / SAMSUNG ZOOM LENS 18-55mm F3.5-5.6 OIS / 約6.5MB / 3,056×4,592 / 1/200秒 / F11 / 0EV / ISO200 / WB:Daylight / 55mm NX10 / SAMSUNG ZOOM LENS 18-55mm F3.5-5.6 OIS / 約6.6MB / 4,592×3,056 / 1/350秒 / F9.5 / 0EV / ISO200 / WB:Daylight / 18mm
NX10 / SAMSUNG ZOOM LENS 18-55mm F3.5-5.6 OIS / 約5.7MB / 4,592×3,056 / 1/320秒 / F9.5 / 0EV / ISO200 / WB:Daylight / 18mm

・SAMSUNG ZOOM LENS 50-200mm F4-5.6 ED OIS
NX10 / SAMSUNG ZOOM LENS 50-200mm F4-5.6 ED OIS / 約4.5MB / 3,056×4,592 / 1/500秒 / F8 / -0.3EV / ISO200 / WB:Auto / 200mm NX10 / SAMSUNG ZOOM LENS 50-200mm F4-5.6 ED OIS / 約4.4MB / 3,056×4,592 / 1/400秒 / F5.6 / -0.3EV / ISO200 / WB:Auto / 64mm
NX10 / SAMSUNG ZOOM LENS 50-200mm F4-5.6 ED OIS / 約3.2MB / 4,592×3,056 / 1/640秒 / F5.6 / 0EV / ISO200 / WB:Auto / 200mm NX10 / SAMSUNG ZOOM LENS 50-200mm F4-5.6 ED OIS / 約3.4MB / 4,592×3,056 / 1/750秒 / F5.6 / 0EV / ISO200 / WB:Auto / 150mm
NX10 / SAMSUNG ZOOM LENS 50-200mm F4-5.6 ED OIS / 約3.3MB / 4,592×3,056 / 1/250秒 / F5.6 / 0EV / ISO200 / WB:Auto / 130mm NX10 / SAMSUNG ZOOM LENS 50-200mm F4-5.6 ED OIS / 約4.6MB / 4,592×3,056 / 1/180秒 / F5.6 / 0EV / ISO200 / WB:Auto / 145mm
NX10 / SAMSUNG ZOOM LENS 50-200mm F4-5.6 ED OIS / 約6.2MB / 4,592×3,056 / 1/180秒 / F5.6 / 0EV / ISO200 / WB:Auto / 59mm NX10 / SAMSUNG ZOOM LENS 50-200mm F4-5.6 ED OIS / 約3.5MB / 4,592×3,056 / 1/500秒 / F5.6 / 0EV / ISO200 / WB:Daylight / 130mm
NX10 / SAMSUNG ZOOM LENS 50-200mm F4-5.6 ED OIS / 約6.5MB / 3,056×4,592 / 1/180秒 / F10 / 0EV / ISO200 / WB:Daylight / 55mm NX10 / SAMSUNG ZOOM LENS 50-200mm F4-5.6 ED OIS / 約3.5MB / 4,592×3,056 / 1/350秒 / F5.6 / +0.6EV / ISO200 / WB:Daylight / 185mm




河田一規
(かわだ かずのり)1961年、神奈川県横浜市生まれ。結婚式場のスタッフカメラマン、写真家助手を経て1997年よりフリー。雑誌等での人物撮影の他、写真雑誌にハウツー記事、カメラ・レンズのレビュー記事を執筆中。クラカメからデジタルまでカメラなら何でも好き。最初に買ったデジカメはソニーのDSC-F1。

2010/5/24 00:00