ALBUM.team「ALBUM」

持ち運び可能な7型デジタルフォトアルバム

 今やデジタル家電の一ジャンルとして定着した感があるデジタルフォトフレーム。多様化も進み、無線LANへの対応や、PCのサブディスプレイとして使用できる製品なども登場している。このコーナーでは、デジカメWatchがピックアップしたデジタルフォトフレームについて、特徴的な機能や使用感を紹介する。

デジタルフォトアルバム「ALBUM」

 今回紹介するのは、チェコのALBUM.team社が手がけたデジタルフォトアルバム「ALBUM」だ。実勢価格は2万2,000円前後。浅沼商会が国内代理店を務める。

 外観は既存のデジタルフォトフレームと比べると薄く、フラットな印象。本革製カバーを備える点もほかに類を見ない斬新なデザインだ。「デジタルフォトアルバム」という呼称からもうかがえるように、デジタルフォトフレームというには少々毛色の違う製品といえそうだ。

 構造は見た目からもわかるように、とてもシンプル。表示部は7型(800×480ピクセル)の液晶パネルを採用しつつも、厚さ約14mmと薄く、操作ボタンは「上ボタン」、「決定ボタン」、「下ボタン」の3つしかない。この他のインターフェースも、電源スイッチや電源入力端子といった基本的なものを除けば、SDHC/SDメモリーカードとMMC対応のカードスロット(容量は16GBまで)と、デジタルカメラ、PC、USBメモリーを接続するためのUSB端子(A/B)、電源ランプのみだ。

液晶ディスプレイは7型操作ボタンは3つ。上下ボタンと決定ボタンがある
メモリーカードスロット電源スイッチやUSB端子など各種インターフェースは左側面に装備

 と、ココまではとっても薄いシンプルなデジタルフォトフレームといった趣きなのだが、ALBUMのユニークなポイントは別にある。なんと、この薄さとパネルの大きさで内蔵バッテリーを搭載しているのだ。たしかにこれまでも内蔵バッテリーを搭載したモデルはあったが、そのほとんどは小型のキーホルダータイプだったりと、パネルサイズが小さく、写真を見るというよりは、ちょっとしたアクセサリーというカラーが強かった。その点ALBUMは、7型の液晶ディスプレイを搭載し、満充電で約3時間の再生が行える本格的なデジタルフォトアルバムとなっている。

 さらに、“内蔵バッテリー+7型液晶ディスプレイ”を活かして、フォトビューワーとしても利用できる点も見逃せない。4GBの内蔵メモリーに保存した写真データを素早く再生することや、SDHC/SDメモリーカードなどの記録メディアを差し込むことで、簡単に撮影したデータを確認することができる。使っている記録メディアがSDHC/SDメモリーカード、もしくはMMCでなかった場合でも、USBケーブルを使ってカメラを接続すればOK。カメラに搭載された液晶モニターよりも大きなサイズで見ることができる。

 また持ち運べる分、自分だけで楽しむのではなく、写真資料を使ったプレゼンや友人との集まりなどで見せ合うという使い方も考えられる。ただし、再生できるのはJPEGのみなので、PDFなどのプレゼン資料を表示させたいのであれば、JPEG形式に保存し直す必要がある。PCと直接接続できるので、JPEGデータさえあれば簡単に保存することが可能だ。また欲をいえば、コンポジットなどの外部出力への対応や、BGM対応なども欲しかったところ。

厚さは約14mm本体背面には保護カバーを装着している。背面から前面に覆い被せるように利用する
保護カバーを被せたところ保護カバーは着脱が可能。マグネット式になっていて簡単に外すことができる

 持ち歩いて楽しむのが「ALBUM」の基本的な使い方だが、デジタルフォトフレームのような使い方である“据え置き”にも対応する。付属の保護カバーを折り目に沿って曲げることで、スタンドのように扱える。またこの保護カバーはマグネットを利用したもので、着脱が可能。見るのに邪魔なときはサッと外し、持ち運ぶ際は簡単に取り付けることができる。

 さらに、国内をはじめ、欧州、米国、英国、アジア諸国(一部を除く)で利用できるように、変換プラグが同梱されている。元々が海外製品なので、その関係で付属しているとも考えられるが、写真を撮る機会が増えるであろう海外でも利用できるというのは、嬉しいところだろう。

保護カバーはフォトスタンドのようにも使用できる海外でも変換プラグを付け替えることで充電が可能だ

 ALBUMは持ち運びをメインとした製品だが、据え置きのデジタルフォトフレームとしてもオーソドックスな機能を搭載している。

 電源を入れて表示される「スタート画面」は、内蔵メモリーに保存した写真データや接続している機器・記録メディア内の写真がサムネイル表示され(横一列に最大5枚)、上下ボタンと決定ボタンによって簡単にアクセスできる。

 筆者は、縦に並んだサムネイル表示から見たいアルバムを選ぶという“手軽さ”に感心した。というのも、この手の製品は友人や知人に見せながら操作するであろう性質の製品だと思うからだ。

 操作している間も、サムネイル写真を見せることでわくわく感を演出する、というのは言い過ぎかもしれないが、「どんな写真があるのだろう?」と興味をひくことができるというわけだ。特に起動が速いとは思わないが、サムネイルのおかげで遅さも気にならない感じだ。

電源を入れた直後の「スタート画面」SDメモリーカードやカメラを接続すると、写真を内蔵メモリにコピーするか、直接写真を確認するかを選択する画面が表示される
SDメモリーカード内の写真を表示する場合は、写真の入ったフォルダー名と写真の枚数を表示する詳細設定画面。言語切り替えや輝度調整を行なえる
写真データの表示中に決定ボタンを押すことでメニュー画面が表示されるスライドショー再生時に決定ボタンを押すとスライドショー用のメニュー画面が表示される。記録メディアなどに保存されたデータを直接スライドショー再生しているとき、お気に入りの写真があればすぐにデータをコピー可能だ
スライドショーの切り替えエフェクトは1つだけだが、表示間隔を1~60分の間で細かく設定できる

 さて、この「ALBUM」という製品は、持ち運んで使うという明確な使い方をイメージしている人にはとても便利で、使いやすい製品であり、強くオススメできる。写真を持ち運んで誰かに見せるという意味でいえば、ポートフォリオとしての使い方もアリだろう。むしろそのような場合でこそ、少ないボタン数とシンプルな操作性が活きてくるのではないだろうか。

 携帯性と実用性を兼ね備えたデジタルアルバムとしては高く評価できる製品であり、写真を楽しむという観点から言っても、持ち運びできるという点は強い。使い方によっては既存の製品とはひと味違った利用方法もあるかもしれない。デジタルフォトの持ち運びを考えているなら、是非とも一度店頭で操作して頂きたい製品だ。



(飯塚直)

2010/1/13 00:00