ミニレポート
カスタムボタンの割り当てを探る
ソニーα7 II
Reported by 曽根原昇(2015/1/22 11:55)
35mm判フルサイズセンサー搭載のミラーレス機といえばソニーのα7シリーズ。筆者はもともと同社のα7ユーザーだったのだけれども、2014年12月に登場したα7 IIは発売前の発表時から興味津々。
あらゆるレンズに効果を発揮してくれるというボディ内5軸手ブレ補正機構を搭載し、少し大きくなってくれたおかげでホールディング性も向上、いや、これはたまらない! すごくいいぞ!という思いが一気に湧き上がり、ついに買ってしまった。交換レンズの「Vario-Tessar T* FE 24-70mm F4 ZA OSS」とともに……。
とはいっても、決して衝動的に買ってしまった訳ではない。実は、毎年撮影に通っている海外の撮影地をテーマにして、今年中には写真展を開催したいと考えている。その撮影地で頭に思い描いた作品を撮るのに、このカメラは絶対必要と思ったから購入したのである。あくまで目的のための手段という訳だ(言い訳にしか聞こえないのは仕方ないとして)。
という訳で、出発予定の2月中旬までに、カメラを自分色に染めていくのが目下の作業なのであるが、購入後しばらく集中的に使っていてとても使いやすく気に入った点がα7 IIにあることに気付いた。シャッターボタンの直ぐ上、カメラ上面に並んだ「C1」と「C2」2つのボタンである。
ユーザーの方はもちろんご存知のことと思うが、α7 IIの前機種であるα7、α7R、α7Sには、α7 IIと同じように「C1」から「C3」の3つのカスタムボタンが用意されていた。α7 IIではさらに、ファインダーを覗いたままでも人差し指で操作しやすい、シャッターボタン近くのカスタムボタンが新たに追加されて計4つとなったことにより、従来よりカスタマイズ機能の自由度が大幅に向上。俄然、使いやすさがアップしているのである。
ここでいうカスタマイズ機能とは、特定のボタンに、ユーザーが実際に良く使う機能を自由に割り当てることができる機能のことだ。初期設定で割り当てられている機能ではなく、個人個人の好みに合わせてカメラの使いやすさをセッティングしていくことができる。
小さなボディであることが重要なミラーレス機にとって、ボタンカスタマイズは限られたボタン配列を有効に使うことができる非常に重要な機能といっていいだろう。
しかしながら、ボタンカスタマイズという機能があることは知っていても「設定がなんだか面倒臭そう……」、「どの機能を割り当てればいいのかイマイチわからない」という人は多いのではないかと思う。あるいは「そんな便利な機能知らなかった」という人もいるかも知れない。
そこで今回は、筆者が購入後しばらく使ってみて、「これは便利」と思ったカスタマイズを紹介していくので、よろしければ参考にしてもらいたい。これをきっかけにして、それぞれの使い方に合った、より便利なボタンカスタマイズを考えていってもらえれば幸いだ。
C1とC2の機能割り当て
カメラ上面、シャッターボタンのすぐ上に並び、ファインダーを覗きながらでも人差し指で用意に操作できる「C1」と「C2」の2つのカスタムボタン。「C1」には「フォーカスセット」を、「C2」には「再押しAF/MFコントロール」を割り当てている。
「C1」には「フォーカスセット」でなく「ピント拡大」を割り当てて、MF時のピント合わせに利用している人も多いと思う。しかし、ここは断然、「フォーカスセット」の方がオススメ。
なぜなら、「ピント拡大」はフォーカスモードをMFにした場合にしか有効にならないのであるが、「フォーカスセット」ならAF時はフォーカスエリアの方式選択および移動の設定画面となり、MF時はピントの拡大設定画面と、ひとつのボタンで2通りの機能を使い分けることができるからだ。
ここで、「C2」に「再押しAF/MFコントロール」を割り当てておけば、押すたびにAFとMFを切り換えることができるため、ファインダーを覗きながら人差し指を少し移動するだけで、フォーカスエリアの選択・移動またはピントの拡大→シャッターボタンを押して撮影、という一連の動作がスムースに行えるようになる。
なお、メニューで「ピント拡大時間」を「無制限」に設定しておけば、拡大画面はシャッターボタンの半押しで解除されるので、ピントを合わせた後に構図を作り直す作業に移るのも便利である。
「C2」に「再押しAF/MFコントロール」を設定してしまうと、せっかくの「AF/MF/AEL切換レバー」が無駄になってしまうが、やはり自分にとっての扱いやすさこそが大事なので、切換レバーは「AEL」側にセットしてAEロック専用として働いてもらうことにした。
C3の機能割り当て
「C3」には「フォーカスモード」を割り当てている。
α7 IIは、コントラストAF(ファストインテリジェントAF)と像面の位相差検出方式AFを併用したファストハイブリッドAFが搭載されているため、特にコンティニュアスAF(AF-C)での動態撮影が優れている。
普段はシングルAF(AF-S)に設定して撮影することが多いものの、素早くフォーカスモードをAF-Cに変更できるように考慮してのことである。ダイレクトマニュアルフォーカス(DMF)やマニュアルフォーカス(MF)に設定することも可能だ。
C4の機能割り当て
「C4」には「手ブレ補正」を割り当てている。これは手ブレ補正機構のON/OFFを切り換えるためのもの。
手ブレ補正の優秀さがウリのα7 IIではあるが、三脚使用時にはまれに誤作動を起こしてしまうことがあるのも確か。比較的三脚を使うことが多い筆者は、いちいちメニューに入ってON/OFFを切り換えるのは面倒なのでこのようにしている。
サードパーティー製のマウントアダプターで他社製レンズを装着することが多いという人なら、「C4」に「手ブレ補正焦点距離」を割り当て、ボディに内蔵された5軸手ブレ補正機構を有効活用するというのも手だろう。
中央ボタンの機能割り当て
カスタムボタンではないが、カメラ背面コントロールホイールの中に設置された大きな中央ボタン、ここには「C1」と同じく「フォーカスセット」を割り当てている。
同じ機能を2カ所に割り当てる意味がないと思われるかも知れないけれども、これは背面モニターでライブビュー撮影をするときにフォーカスエリアの移動やピント拡大をしやすくするため。
特に大型の三脚でカメラを高く固定したときなど操作がしやすく便利だ。
その他のボタンカスタマイズ
今回紹介したボタンカスタマイズは、ピント合わせの操作に関連した機能ばかりということに気づいてもらえたと思う。
カスタムボタンは56項目もの中から好きな項目を選んで割り当てることができるが、あまり無造作に機能を選んでいると、イザというときにどこに何を割り当てたか混乱してしまうことがあるため、機能をフォーカス関連に統一しているのである。
「ホワイトバランス」や「DRO/オートHDR」、「撮影結果プレビュー」など他のよく使う機能はファンクションメニューに登録。フォーカス関連以外でカメラの設定に迷ったら、とりあえず「Fnボタン」を押せば必要な機能が一覧表示されるようにしている。
α7 IIは、「C1」から「C4」のカスタムボタンだけでなく、「AF/MF/AELボタン」やコントロールホイールの上下左右ボタンなどにもカスタマイズすることが可能である。
ただ、最初から「DISP」や「ISO」などの機能名が印刷されているコントロールホイールの機能を変更するとわかりづらくなってしまうし、物覚えが良い方でない筆者はこれ以上の機能登録をすると逆に混乱してしまう。ボタンカスタマイズは、「覚えられる範囲で整然と」行うのがカメラを効率よく使うためのポイントだと思う。
もちろん、α7 IIを購入してまだ1カ月もたっていないので、今回設定したボタンカスタマイズがベストかどうかはまだ判断できない。今後さまざまな撮影条件でカメラを使い、必要ならば割り当てた機能を整理・変更していくことになるだろう。実戦を通して、自分だけの使いやすいα7 IIを育てていくつもりだ。