2011年12月8日、ヨドバシ.comで予約していたPowerShot S100がオフィスに届いた。色は新顔のシルバーだ。予約した時点で5万4,800円(10%還元)というコンパクトデジカメにしては多少覚悟のいる金額だったが、仕事で事前に実機を触ったところ気に入ってしまい、購入を決意した。
発売日に届いたPowerShot S100 |
私にとってのコンパクトデジカメの目的は、バッグにいつも入っている常備カメラ。取材で使うデジタル一眼レフカメラの予備としたり、休日に持ち出すライカM8.2をズームや高感度などの面でフォローする狙いだ。PowerShot S100に目をつけた理由は、その役割において前モデルPowerShot S95の働きぶりが実に優秀だったからである。
もちろん近年のSシリーズということで手放しに期待していた部分もあったが、レンズと撮像素子が変わったとなれば、カタログスペックの“うまい話”が並んでいても、実際のところは不安な部分もあった。そこで実際に試用してみたところ、特にがっかりポイントも見当たらなかったので飛びついたというわけだ。
新旧モデルの図。右のS95には社外製のS90用グリップを流用している | S100のほうがわずかに薄い |
最新モデルではなくなったが、S95のブラックボディも無骨でいい。S100のブラックは少し印象が変わった気がした |
■“ミラーレス”の存在感が気になって
私は昨年、旅行などにミラーレスカメラを持ち出して愛用していた。交換レンズを含めたシステム全体の小ささに惹かれたのだ。しかし、私の通勤時の荷物に加えるには幾分かさばることと、スナップ撮影ではフォーカルプレーンシャッターの動作音に気が引けるシーンもあり、次第に持ち出すシーンは限られていった。
そのため、高級コンパクトデジカメに気持ちが移ったのは自然な成り行きだった。画質に満足できそうな機種のうち、カスタマイズ性が秀逸なリコーGR DIGITAL IIIをしばらく使い、やはりサブ機としてはズームレンズが便利だと思い“優等生”PowerShot S95に落ち着いた。雑に片手撮りしても手ブレ補正が強力で、何気なく撮った1枚の画質にハッとさせられたり、今でもしみじみ良いカメラと感じている。先にも述べたが、それらのPowerShot S95で良いと感じたポイントはS100にもほぼ継承されている。
画質については新製品レビューで大浦タケシ氏が述べているように「従来同様の高いレベルにある描写特性」と感じられ、新レンズ・新センサーにネガティブな印象はない。私も試用した際に実写してみたが、画質の満足感はそのままに、ズームレンズが28-105mm相当から24-120mm相当となったことで更に広角らしい・望遠らしい効果を狙え、表現の幅が広がったという印象だ。
■地道な改良が嬉しい
画質に続いて気になる操作性も、従来モデルから安心して移行できる仕上がり。写真で見るキヤノンPowerShot S100でも熱く語ってしまったが、S90の頃から話題になっていた背面コントロールダイヤルのクリック感はS95も含めた3台で最も良くなっており、S95では固すぎて回しづらいと感じていたモードダイヤルも適度なトルクに調節されている。OSアップデートのような改良点が使っていて実に心地よい。
掲載済みの「写真で見る」より、左がS100、右がS95。S95のモードダイヤルはカッコ良かったが、固くて多少回すのに苦労する時もあった | ブラック同士を比較した図。左のS100はシャッターボタンが鏡面仕上げで目立つ |
ひとつだけハッキリと好みが分かれそうなポイントとしては、グリップ部のデザインだろうか。フラットボディにレンズ部が主張するS90やS95と並べて見ると、なにか「余計なものが付いてしまった」と感じる向きがあっても致し方ないかもしれない。ただ、実際に使ってみると機能的で悪くなく、それこそ“3日で慣れる”ポイントといえる。
賛否あるグリップ。特にシルバーボディでは良いアクセントかもしれない |
個人的な位置づけとして、近年のPowerShot Sシリーズは飾りっけのない実用機だ。S100においてもボディへの野暮ったいスペック表記などを意識的に抑えているところに好感が持てる。そうした中での「グリップを設ける」という決断だろうから、ここは素直に受け入れることにした。
というわけで、早くも愛機となったPowerShot S100。初値のモトをいち早く取るべく、快適な操作設定や撮影のアイデアについて今後さらに探っていきたい。
- 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像をダウンロード後、800×600ピクセル前後の縮小画像を表示します。その後、クリックした箇所をピクセル等倍で表示します。
- 縦位置で撮影した写真のみ、無劣化での回転処理を施しています。
- 今回の作例は発売前にお借りした個体で撮影したものです。
2011/12/8 15:45