PENTAX Q【第1回】

愛らしさに惹かれて即予約!

Reported by水咲奈々


 バッグの中で迷子になってしまうほどミニミニサイズの、ペンタックス初のミラーレス機「PENTAX Q」のホワイトカラーを予約しました。

 6月の発表会ではステージから遠い場所に陣取ってしまったためその小ささが伝わってこなかったのですが、ステージ上の発表が終わって会場外のタッチ&トライコーナーで実機を手にすることができ、その小ささに『え? これってモックだよね?』というほど驚き(もちろんモックじゃありませんでした)、一度家に帰って冷静になったものの疼き出した物欲は抑えられずに即予約をしてしまいました。

 私が予約したのは「01 STANDARD PRIME」と「02 STANDARD ZOOM」の2本のレンズが付いたダブルレンズキットになります。ユニークレンズも気になるところですが、まずはこの高性能レンズシリーズから使い込んで行きたいと思います(今回の執筆時にはダブルレンズキットがまだ発売されていなかったので、ペンタックスからレンズキットをお借りして撮影しています)。

 また、本機を開発したペンタックスの開発チームの方々にいろいろとお話を伺うことができましたので、開発秘話などを織り交ぜなから、長期レポートをさせて頂きます!


Qの大先輩は「auto110」

 auto110(オートワンテン)とは、1979年に発売された世界初の110フィルム対応のレンズ交換式一眼レフカメラです。後継機のauto110スーパーと共に多くのユーザーから愛されたカメラでしたが、35mm判フィルムカメラの小型化と110フィルムの衰退という時代の影響を受けて、徐々に市場から姿を消していってしまいました。

Q(右)とauto110(左)を並べてみました。デザインはQのほうがかなり四角いですが、ほぼ同じ大きさということに今さらながらビックリしてしまいます!

 その後、カメラがフィルムからデジタルに移行していった2000年頃、ペンタックス内で「auto110 Digital」のプロジェクトチームが組まれ、auto110を分解してパソコンに画像を出せるようにした試作機まで作られましたが、なかなか企画・開発の実現には至らなかったそうです。

約11年ほど前に作られたauto110のボディを改造してCCDを貼り付けた試作機です。当時の開発チームはこの試作機とパソコンを繋いで画像を出していたのです

 そして、2009年にやっと「auto110 Digital」の開発がスタートし、2011年に約32年もの歳月をかけた「PENTAX Q」が誕生し、発売に漕ぎ付けられた訳です。

 本機はauto110がアナログからデジタルに生まれ変わった姿……ともいえそうですね。デザインが違うので受けるイメージは違いますが、そんなに昔のカメラが原型だと思うと、なんだかノスタルジックな気持ちになります。


オススメのホールド方法

 本機を手に持って感じたのは、見た目よりも横長のボディだなということです。カタログの製品写真などではもう少し縦のボリュームがあるように見えると思うのですが、レンズがほぼ中央に付いているせいで、縦がぽっちゃり気味に見えるのかも知れません。

 ホールド感ですが、グリップ部分は小さいながらも前へ自然に膨らんでいて滑りにくい素材なので、女性の手の小ささなら文句はない作りです。

 オススメのホールドの仕方は、右手の親指で後ろ面上部を、中指全体で前面のグリップを握って、薬指の側面でボディ前面の下部を支えるようにして小指をそこに添えると、背面液晶での操作もしやすいです。

 左手は普通の一眼レフのようにレンズに手を添えるよりも、コンデジのように親指と人差し指でボディの上下を押さえると、シャッターを押し込んだ時にボディがブレ難くなります。

こうして構えるのがおすすめです。レンズは「01 STANDARD PRIME」を装着

ボケコントロール

 本機の撮像素子は1/2.3型と小さいのですが、その弱点を補うため、大きなボケを作り出せる「ボケコントロール」モードが搭載されています。

 これは、ピント位置や被写体との距離をカメラが測って、ピントの合っている部分以外をボカす機能です。

 以前、開発途中の試作機でこのボケコントロールを試させて頂いたときは、その距離測定がうまくいっていないのか、変な所がボケたり不自然なボケがあったりした。しかし開発陣の頑張りの成果なのでしょうか、現在はその時とは段違いの精度で綺麗なボケが作り出されています。

 ただ、いわゆるデジタル一眼レフカメラのボケとはかなり趣の違ったものになりますので、好き嫌いの好みは別れるところだとは思います。

左手前のブタにピント。ちょうど下から2/3辺りからボケ始め、カップは3つすべてボケました。ボケコントロール:OFF / 絞り優先 / PENTAX Q / PENTAX-01 STANDARD PRIME / 約1.9MB / 3,000×4,000 / 1/50秒 / F1.9 / 0.0EV / ISO125 / WB:オート / 8.5mm右奥の緑のカップにピント。下から2番目の紫色の折り紙から下に向かってボケ始めています。中央奥の黄色いカップにもボケ味を感じられます。ボケコントロール:OFF / 絞り優先 / PENTAX Q / PENTAX-01 STANDARD PRIME / 約2.0MB / 3,000×4,000 / 1/50秒 / F1.9 / 0.0EV / ISO125 / WB:オート / 8.5mm
左手前のブタにピント。下から2番目の紫色の折り紙は大部分が溶けるようにボケています。一番手前のピンク色の折り紙も手前部分はボケているのが分かります。ボケコントロール:ON / PENTAX Q / PENTAX-01 STANDARD PRIME / 約1.2MB / 3,000×4,000 / 1/50秒 / F1.9 / 0.0EV / ISO125 / WB:オート / 8.5mm右奥の緑のカップにピント。ピントがブタに合っているときよりもボケの全体面積が少ないように見えます。セレクトしたピントの範囲(大きさ)は一番小さいものでこの4パターンとも同じです。ボケコントロール:ON / PENTAX Q / PENTAX-01 STANDARD PRIME / 約1.3MB / 3,000×4,000 / 1/50秒 / F1.9 / 0.0EV / ISO125 / WB:オート / 8.5mm

まとめ

 発表から待ち望んでやっと手にすることができた我が子は記憶の中よりもさらに小さくて、本当に気軽に持ち歩けるミラーレス機だと思いました。「01 STANDARD PRIME」のレンズを付けた状態なら、普段使っている化粧ポーチをカメラケース代わりにできるくらいですから(笑)。

 また、カタログを見てもいろいろな機能があることは分かるのですが、実際に使ってみると小さなボディに機能てんこ盛りで、操作ボタンの位置やメニューを覚えてすべてを使いこなせるようになるにはちょっと時間がかかるかなと思いました。さすが、デジイチの機能をできる限り盛り込みましたというだけあります。

 さて、今回はすべて「01 STANDARD PRIME」の単焦点レンズのみを使って撮影しましたが、次回からは「02 STANDARD ZOOM」もあわせまして、レンズ性能にも触れて行きたいと思います。


作例

かなり薄暗い店内での撮影。おめんの質感も損なわれていませんし、明暗部の気になるツブレも見られませんでした。PENTAX Q / PENTAX-01 STANDARD PRIME / 約1.8MB / 4,000×3,000 / 絞り優先 / 1/20秒 / F1.9 / 0.0EV / ISO125 / WB:オート / 8.5mm照明で全体に黄色っぽくなっていたので、逆に少しだけ赤味を強調して乗せました。単純に赤を抜き出すだけでなく赤でムードを作ってくれるので使いやすいエフェクトです。スマートエフェクト:ソリッドモノカラー(赤) / PENTAX Q / PENTAX-01 STANDARD PRIME / 約1.7MB / 4,000×3,000 / 1/6秒 / F1.9 / 0.0EV / ISO125 / WB:オート / 8.5mm
賑やかなお祭りの雰囲気をもっと賑やかにしたくて鮮やかさを強調。ボディ前面のクイックダイヤルで簡単に設定ができるので撮影の時も手間取りません。カスタムイメージ:ポップチューン / PENTAX Q / PENTAX-01 STANDARD PRIME / 約3.3MB / 4,000×3,000 / 1/6秒 / F1.9 / 0.0EV / ISO125 / WB:オート / 8.5mm全体があまり明るくない所で撮影したので、トンネル効果が見え難くなってしまいました。今度はどピーカンの青空の下であえて試してみたいです。デジタルフィルター:トイカメラ / PENTAX Q / PENTAX-01 STANDARD PRIME / 約2.4MB / 4,000×3,000 / 1/5秒 / F1.9 / 0.0EV / ISO125 / WB:オート / 8.5mm


(みさき なな)東京都出身。知り合いの写真家の作品撮りにモデルとして関わったことがきっかけで写真に興味が沸き独学で写真の勉強をし、作品を持ち込んだ出版社に編集として入社。2010年独立。現在はカメラ雑誌の編集やWebでのカメラレビュー、写真講座の講師として活動中。「Pentax+」でも記事を連載。 Twitter:@cosaruruブログ:http://misakinana.com

2011/9/15 00:00