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Nik Software「Silver Efex Pro 2」

〜さらなる進化を遂げたモノクロ画像編集プラグイン

 アドビPhotoshopシリーズやアップルAperture用のプラグインソフト、Nik Softwareの「Silver Efex Pro」。デジタルによる本格的なモノクロ作品が作れるツールだ。

Silver Efex Pro 2。発売は4月で、価格は1万9,950円。国内ではソフトウェア・トゥーが扱う

 独自の「U POINTテクノロジー」を搭載し、コントロールポイントによる部分的な調整が思いのまま行なえる。また粒状性エンジンで、デジタルのノイズとは異なる、フィルムライクな粒状感が得られる。さらにワンクリックでモノクロ作品に仕上がるビジュアルプリセットや、セピア調、セレン調などのトーニングなど、豊富な機能を備えている。筆者自身にとっても、モノクロ作品に欠かせない存在だった。そのSilver Efex Proが「Silver Efex Pro 2」に進化した。

明るさやコントラストの調整がより自然に

 Silver Efex Pro 2には、いくつか機能が追加された。まずは「ダイナミックブライトネス」。ブライトネス、つまり明るさの調整だ。通常の明るさ調整は、画面全体を明るく、あるいは暗くする。そのため、場合によっては不自然な仕上がりになってしまう。ところがダイナミックブライトネスは、明るい部分はそのままに、暗い部分だけを明るくする。または暗い部分はそのままに、明るい部分だけを暗くする。おかげで自然な雰囲気を残したまま、明るさの調整ができるのだ。

ここではAdobe Photoshop CS5から起動した。元は16bit TIFFのカラー画像。もちろんJPEGでも処理が行なえる。旧Silver Efex Proと同様、起動すると画面はすでにモノクロ化されている。画面左はビジュアルプリセット、右がツールだ。この先は、ビジュアルプリセットは隠して作業を行なう 「明るさ」スライダーで画面全体の明るさを調整できる。これは明るさを50%にした状態。しかし明るい、というより画面が薄くなった印象だ
こちらはダイナミックブライトネスを50%にした状態。自然なコントラストを保ったまま明るくなったのがわかる

 そしてアンプリファイホワイトとアンプリファイブラックも新搭載された。白飛びや黒つぶれを防ぎながら、コントラスト調整ができる機能だ。しかも画面全体だけでなく、コントロールポイントで部分的な調整も可能。スライダーで調整するだけなので、トーンカーブより簡単に、しかも確実に力強い仕上げが行なえる。なお筆者は主に、空のトーンを落とし、雲のハイライトを強調させたい時に使用している。

これは何も調整していない状態。アンプリファイホワイトやアンプリファイブラックを使用した画像と見比べてみよう
これはアンプリファイホワイトを50%にした画像。ハイライトが明るくなった。しかも白飛びせず、不自然さも感じない こちらはアンプリファイブラックを50%にした画像。オリジナルの印象は保ったまま、シャドー部が濃くなり、画面が引き締まった
アンプリファイホワイトやアンプリファイブラックは、コントロールポイントで部分的に調整することも可能。筆者は、主に空のトーンを調整するのに使っている。これは青空の部分だけアンプリファイブラックを50%にした 次に雲の部分だけ、アンプリファイホワイトを50%にした。青空が落ちて、雲が明るくなったことで、空にメリハリがついた

 コントラストには、ソフトコントラストも新たに装備された。通常のコントラスト調整と異なり、自然なコントラストを維持しながらコントロールできる。通常のコントラスト調整では効果が極端に強く、不自然な仕上がりになる場合に有効だ。

「コントラスト」を-50%にして、画面全体のコントラストを下げてみた。立体感がなく、眠い画像になってしまった 新機能のソフトコントラストを-50%にすると、自然な印象のままコントラストが下がった。アンプリファイホワイト、アンプリファイブラック、ソフトコントラストを駆使することで、モノクロ写真のキモともいえるトーンコントロールが快適に行なえる

 被写体のディテールをコントロールするストラクチャには、ファインストラクチャが追加された。スライダーを右に動かすと、被写体のエッジが強調され、はっきりしたディテールになる。しかもアンシャープマスクのシャープ感とは異なる、精密感のある仕上がりだ。逆にスライダーを左に動かすと、滑らかなディテールになり、しっとりした仕上がりになる。このファインストラクチャも、コントロールポイントから部分的な調整が可能だ。

ズームボタンで100%表示した。これは何も調整していない状態
ファインストラクチャを100%にした状態。窓枠や手すり、壁のディテールが鮮明になったことがわかる こちらは逆に、ファインストラクチャを-100%にした状態。画面全体が滑らかな印象になった
ファインストラクチャもコントロールポイントで部分的に調整することが可能。ここでは窓枠や手すり周辺のみ、ファインストラクチャを100%にした

一部のカラー化も自在に

 ユニークな新機能としては、部分カラー化がある。その名の通り、画面の一部分だけをカラーに戻す機能だ。カメラによっては部分カラー化ができる機種もあるが、カラーにできる色は限られている。しかしSilver Efex Pro 2なら、どんな色でもコントロールポイントで指定した部分だけをカラーにできる。もちろん面倒なマスキングなどは必要ないので、スピーディーな作業が可能だ。ファッションや広告、ファインアートなどで使われることが多い部分カラーは、より手軽にできるようになり、表現力が増したといえるだろう。

コントロールポイントの部分カラー化で、路面電車の黄色い部分だけをカラーにした こちらは青空だけをカラー化した。Photoshop等のマスキングなどで行なうと、建物や雲の境目の処理が難しいが、Silver Efex Pro 2なら簡単に部分カラー化が楽しめる

銀塩プリントのようなフレームも付けられる

 さらにSilver Efex Pro 2では、画像フレームが付けられるようになった。画像フレームとは、画像の周囲に付ける黒フチだ。これは銀塩モノクロプリントの経験がある人ならご存知だろう。引伸機のネガキャリアを削って(あるいは画面サイズが変更できるユニバーサル式のネガキャリアを使用して)、ネガの画面より少し広くすることで、画面周囲も焼き込まれ、黒フチが出来上がる。ネガの画面すべてがプリントされることで、ノートリミングが主張できるのだ。また黒フチが付くことで、プリントのアクセントにもなる。

画面にフレームを付けた。フレームは14種類あり、これはタイプ3 こちらのフレームはタイプ11。かすれた雰囲気で、味わい深い仕上がりになる
タイプ11のフレームをベースに、サイズを-50%、フレーム幅を50%にカスタマイズ

 デジタルでフレームを再現するには、これまでPhotoshopなどで黒フチ(フレーム)を自作する必要があった。だがSilver Efex Pro 2なら簡単にフレームが付けられる。しかも14種類のフレームを搭載。サイズやフレーム幅、なめらかさの調整も可能だ。

 しかし、この画像フレームは気を付けることがある。それはフレーム幅が広くなるほど、画面周囲の画像が削られてしまうということ。画像自体のサイズは変更できないので、画像内にフレームを入れることになる。そのため完全なノートリミングは不可能なのだ。もともとはノートリミングを主張するためのフレームだったが、フレームを入れたためにノートリミングではなくなる、というのはやや腑に落ちない気分になるが、現状では仕方がない。気になる人は、フレーム幅をできるだけ細くするのがベストな方法だ。またはPhotoshopの扱いに慣れている人なら、フレーム分のスペースをあらかじめ作ってからSilver Efex Pro 2を起動する、という方法もある。

 その他にも調整した履歴が確認できるヒストリーブラウザや表示速度を最適化できるGPUプロセッサなど、最新機能が満載だ。

画面左にヒストリーブラウザを表示した。オリジナルからどのような処理をしてきたのかがひと目でわかる。また前の処理をクリックすれば、自分が行なった過程を確認することもできる

 Silver Efex Pro 2は、旧Silver Efex Proのインターフェースを踏襲しながら、進化したアルゴリズムにより、さらに高機能化を果たしている。しかも、その高機能化は、自然な仕上がりを目的としたものが多い。これまで手間がかかっていたコントラスト調整やストラクチャの調整が、スムーズに行なえるようになったのは嬉しい。

ここでPhotoshop CS系ユーザーの使いこなし術を1つ紹介しよう。Silver Efex Proシリーズは、モノクロ化すると、それがレイヤーとして保存できる。つまり気に入らなかったら、そのレイヤーを削除して、また作り直すことができる。だがそのままでは、コントロールポイントなど調整した部分は残らない。そこで、まず「フィルター」から「スマートフィルター用に変換」してからSilver Efex Pro 2を起動してみよう。コントロールポイントやコントラストなど、調整した部分も保存ができるのだ これがスマートフィルターに変換してから作業した状態。「Silver Efex Pro 2」の表示をダブルクリックすれば、再びSilver Efex Pro 2が起動し、変更や微調整が行なえる。なおレイヤーは統合せずに保存すること

まとめ

 もともと高機能だった上に、調整できる項目がさらに増えた分、調整すればするほど、どれが最適なのかわからなくなる“泥沼化”に陥る可能性がある。それではいつまでたっても作品は完成しない。ポイントは、どんな仕上がりにしたいのか、明確なイメージを持つことだ。

 例えば狙ったコントラストになるなら、ソフトコントラストを使ってもいいし、トーンカーブを使ってもいい。最終的にイメージした仕上がりになればいいのだ。よくわからなかったら、あらかじめ搭載されているビジュアルプリセットからイメージに近いものを選び、そこから自分好みに追い込んでいく方法もある。そして好みのセッティングを見つけたら、それをビジュアルプリセットに登録すると、次からの作業が効率よく行なえるだろう。

 標準価格が1万9,950円と決して安価とはいえず、プラグインソフトなのでAdobe Photoshop CS3〜CS5、またはPhotoshop Elements 6.0〜9.0、Photoshop Lightroom 2.3〜3.0以上、Apple Aperture 2.1〜3.1以上のいずれかを所有する必要があるなど、とても“お気軽”とはいえない。だが本気でデジタルのモノクロ作品を仕上げたい人には、実に強力なツールだ。モノクロの世界の奥深さを堪能できること、間違いない。

エフェクトのサンプル

・作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなしの画像をダウンロード後、800×600ピクセル前後の縮小画像を表示します。その後、クリックした箇所をピクセル等倍で表示します。

元のカラー画像。M9 / エルマリート21mm F2.8 / 約.12.0MB / 5,212×3,468 / 1/250秒 / F9.5 / -0.3EV / ISO160 / マニュアル露出 / WB:オート / 21mm Silver Efex Pro 2でモノクロにした画像。ソフトコントラストでコントラストを調整し、アンプリファイホワイトとアンプリファイブラックで空のトーンを調整。ファインストラクチャでディテールの調整をしたあと、フレームをつけた
元のカラー画像。M9 / ズミルックスM 50mm F1.4 ASPH. / 約.12.3MB / 5,212×3,468 / 1/500秒 / F9.5 / +0.3EV / ISO160 / 絞り優先AE / WB:オート / 50mm アンプリファイホワイトとアンプリファイブラックで雲を強調した。カラーフィルタの黄色やオレンジ、赤などで青空を落とすこともできるが、建物のトーンも変わってしまうため、アンプリファイホワイト/ブラックを使用した
元のカラー画像。D7000 / AF-S DX NIKKOR 16-85mm F3.5-5.6G ED VR / 約.9.3MB / 4,928×3,264 / 1/50秒 / F8 / -1EV / ISO400 / 絞り優先AE / WB:オート / 48mm ビジュアルプリセットの「古色2」を選択した。ワンクリックでアンティークな雰囲気に仕上がった。ビジュアルプリセットは30種類以上搭載されている。このまま完成でも構わないが、さらに自分好みに追い込むことも可能だ
元のカラー画像。D7000 / AF-S NIKKOR 50mm F1.4 G / 約.6.8MB / 4,928×3,264 / 1/400秒 / F1.4 / -1EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート / 50mm 部分カラー化で、花びらだけカラーに戻した。Silver Efex Pro 2は、よりクリエイティブな作品創りをサポートしてくれる




(ふじいともひろ)1968年、東京生まれ。東京工芸大学短期大学部写真技術科卒業。1996年、コニカプラザで写真展「PEOPLE」を開催後フリー写真家になる。現在はカメラ雑誌での撮影、執筆を中心に、国内や海外の街のスナップを撮影。公益社団法人日本写真家協会会員。

2011/9/9 00:00