デジカメアイテム丼

三脚ケースと合体する画期的なカメラリュック

バンガード「ALTA RISE 48」「ALTA ACTION 70」

本格的な撮影シーズンを前にして

台風シーズンも過ぎて、ようやく秋晴れの日が訪れるようになった……と書きたいところだが、本稿を執筆しているいまも筆者の在住する首都圏はしとしと雨だ。

雨でも素敵な写真を撮ることはできるけれど、雨の絵柄ばかりをみなさんにお見せるするにもいかない。もっとも、この不安定な天候で野菜の不作に悩まされる農家のみなさんの苦労を思うと、筆者などがぼやくわけはいかない。

とにかく、これからやってくる紅葉のシーズンを前に、ガードフォースジャパンよりバンガードブランドのカメラバッグ新シリーズ「ALTA RISE」(アルタ・ライズ)シリーズ各製品が発表されたのは、本誌でも既報の通り。

本格的な撮影に用いることができる、バックパックの最大モデル「ALTA RISE 48」(税別での実勢価格1万8,500円前後)と三脚ケース「ALTA ACTION 70」(同5,500円前後)を試用する機会があったので、そのレビューを以下お伝えしよう。

収納力の高いALTA RISEカメラバッグ

まず、「ALTA RISE」カメラバッグシリーズについて。メッセンジャーバッグ、スリングバッグ、バックパックあわせて6製品が発表されたが、いずれもコンパクトなデザインで、中身を収納する際に6cm拡大できるマチを持つ。このうち、バックパックのALTA RISE 45と同48は「ALTA ACTION」三脚ケースをバッグ側面に装着する「ALTA LINK」に対応している。また、最大サイズの製品でも機内持ち込み可能という。

このうち、バックパックのALTA RISE 48は35mmフルサイズ一眼レフボディを最大2台、24-70mm F2.8クラスの交換レンズを3〜5本、15インチまでのノートPCを収納可能なバックパック。側面に三脚を装着できる。

マチを6cm拡大できるが、収容能力はそもそもかなり大きい。

上段と下段の2つの収納室を持ち、下段にはAPS-Cサイズミドルクラス一眼レフには80-200mm F2.8レンズを装着し、35mm F2、60mm F2.8マクロレンズ、高倍率ズームレンズの18-200mm F3.5-5.6とクリップオンストロボを入れてもごらんのようにゆとりがある。ボディにはバッテリーグリップを装着しても収納できる。35mmフルサイズ一眼レフでも問題なく収納できるだろう。

上段には300mm F4クラスの単焦点レンズを入れることができる。ゆとりがあるので、実際に撮影に持ち出す際にはタオルや上着でもさらに入れてクッションにしたいほどだ。もう1台のボディや、ミラーレス機などの別のレンズマウントのシステムを入れてもいいだろう。

もちろん、撮影機材ではなく着替えや食料などを入れてもいい。これからの時期の撮影には防寒具がほしくなるが、メンズのLサイズの綿のセーターをたたんで入れても余裕があった。

また、下段は側面からのアクセスが可能で、望遠ズームレンズをつけたままのボディを側面から出し入れできる。バッグを地面や床に置かないでも機材の出し入れができるのは便利だ。

15インチまでのノートPCも収納できる。雑誌や資料などを入れるにも便利。さらに、ポケットも多くある。7.9インチ型のタブレットをケース入りでフラップのポケットに収納したが、こちらももっと大きなサイズでも対応可能だ。フラップ内側からもアクセスできる。

さらに、背面にも「セーフティポケット」がある。こちらも大柄なメモリーカードケースを収納できた。

レインカバーも付属し、ふだんは側面のポケットに収納できる。

そして、三脚を側面に装着することもできる。掲載写真では「ALTA PRO 264AT」と自由雲台(SBH-100)を組み合わせたキット「ALTA PRO 264AB 100」を装着した。縮長625mmの4段式アルミ中型三脚だ。バッグ側面にある三脚ホルダーを引き出して使う。

三脚ケースも3種用意

一方、「ALTA ACTION」シリーズ三脚ケースはサイズ別に3種用意されている。

試用したのはミドルサイズの「ALTA ACTION 70」。収納時に雲台と脚部の長さが70cmに収まる組み合わせを収納できる。ほかにも50cmまでの「ALTA ACTION 50」と「同80」がある。

いずれも、開口部が広くて中身を取り出しやすいこと、ハンドルを備えること、内部にアクセサリーが収納可能なポケットがあること、斜めがけ可能なストラップを持つこと、底面に撥水性の高い素材が用いられていること、さらに指などをひっかけやすいダブルレイヤーの底面を持つことなどが共通した特徴だ。

三脚ケースがバッグに装着できる!

そして、もっとも特徴的なのは、ALTA RISEシリーズバックパックに三脚ケースごと装着できること。バンガードではALTA LINKと呼ぶ。三脚ケースに付属する延長用のストラップをバックパック側面のストラップに取りつけてから装着する。

三脚ケースに付属のストラップ。

三脚ケースについているタブ。これをリュック側のポケットに差し込む。

三脚ケースが見事合体した。

まとめ

三脚を装着できるカメラバッグ自体は数多くある。けれど、「三脚ケースごと装着できる」という例を筆者はいままで見たことがない。そして、実際に試してみても、なるほど三脚や雲台を傷めることがないし、公共交通で移動する際にもほかの乗客に迷惑をかけずにすむ(もちろん、三脚ケースであってもひとにぶつけないようにしたい)。

バックパック内の機材の量に応じて三脚の装着方法を使いわけられるために、撮影時や運搬時の自由度が高まるのは便利だと感じた。読者のみなさんのバッグ選びの参考になればさいわいだ。便利なバッグに機材をつめて、秋の風景をたくさん撮影してもらいたい。

協力:株式会社ガードフォースジャパン

秋山薫

(あきやまかおる)1973年生まれ。早稲田大学大学院文学研究科ロシヤ文学専修修士課程修了。月刊カメラ誌編集部、季刊カメラ誌編集長を経験。 Kindle電子書籍のカメラ本『ぼろフォト解決シリーズ』の撮影、執筆、編集を中心におもにカメラ・写真関連記事の編集者・写真家として活動している。