デジカメアイテム丼

ソニーの電子タグ「MESH」で、"IoT時代"のおもしろ撮影術

OLYMPUS AIR A01と連携

OLYMPUS AIR A01とMESH

オリンパスのOLYMPUS AIR A01という個性的なカメラがある。マイクロフォーサーズセンサーを搭載したレンズ交換式のファインダーレス・スマートフォン連動カメラとなっており、リリース時はその特殊な形状に注目が集まった。この形状からは予想できない描写能力が高さが気に入り、筆者は発売以来愛用している。パンフォーカスで撮影できるボディキャップレンズで気軽に撮影したり、マウントアダプターを介してオールドレンズ撮影など、その楽しみ方は幅広い。

そんなOLYMPUS AIR A01に、さらに新しい楽しみ方が加わった。ソニーの電子タグ「MESH」との組み合わせだ。

MESHは、無線でつながる小さなブロック形状の"電子タグ"を組み合わせる製品。MESHの電子タグを制御するスマホアプリ上にて、MESHから送られた信号をきっかけに、様々な動作を組み合わせることができる仕組みになっている。このMESHアプリにOLYMPUS AIR A01のシャッターと連携するアイテムが追加されているので、MESHの電子タグの操作で、OLYMPUS AIR A01のシャッターを制御することが可能になる。

レンズスタイルの小さなOLYMPUS AIR A01と親指サイズの電子タグMESHと何とも可愛い組み合わせは、ユーザーの心をくすぐるものがある。まさに、IoT時代の新しい楽しみ方だ。今回はMESHをお借りして、OLYMPUS AIR A01と組み合わせて活用した。

MESHの基本機能

MESHには7種類の製品がある。LEDタグ(タグ上部のLEDが光る)、ボタンタグ(ボタンを押すとアプリに伝える)、人感タグ(人がタグに近づくとアプリに伝える)、動きタグ(タグを動かすとアプリに伝える)、明るさタグ(明るさの変化を検知するとアプリに伝える)、温度・湿度タグ(温湿度の変化を検知するとアプリに伝える)、GPIOタグ(タグの底にある10個のピンを電気コードで入出力を検知するとアプリに伝える)という機能だ。

MESHは7種類(上段左から、動きタグ、ボタンタグ、明るさタグ、人感タグ。下段左からLEDタグ、温度・湿度タグ、GPIOタグ)。7種類セットは税込4万2,980円

MESHアプリは、iOS用Android用が用意されている。

MESHアプリの画面

MESHはその電子タグをBluetooth経由でペアリングして使う。アプリ上で認識したMESHタグが画面下部に表示されるので、ドラッグして方眼状のレシピ画面に並べる。そのMESHタグの入力で何を行うかを、他のMESHタグを並べて指定し、どんな動作をさせるかはMESHタグの詳細設定にて行う。

タグとしては、モバイルタグ(アプリ機能を利用)、ロジックタグ(カウンターなどを利用)、連係タグ(他アプリの連係)があり、入力につなげることができる。例えば簡単な使い方としては、MESHの「ボタンタグ」を押すことで、スマートフォンの内蔵カメラのシャッターボタンの代わりにすることができる。

MESHの「ボタンタグ」とスマートフォン内蔵カメラの連携例

MESHとOLYMPUS AIR A01の連携方法

MESHとOLYMPUS AIR A01を連携させるためには、まずMESHアプリ上で連携タグの「新しいタグを追加する」にて「OLYMPUS AIR」を追加。スマートフォンとOLYMPUS AIR A01の連携ができている状態であれば、これでMESHとOLYMPUS AIR A01の連携が可能となる。

MESHアプリの「新しいタグを追加する」

OLYMPUS AIRタグのタグ情報を編集することで、OLYMPUS AIR A01の基本設定が可能だ。電池残量の確認、保存先、撮影画像サイズといった基本設定ができる。

MESHアプリの「OLYMPUS AIR」タグ情報

レシピ上に配置したOLYMPUS AIRタグは、基本的に2つの機能がある。撮影設定と撮影だ。OLYMPUS AIRタグをタップして、どちらかの機能を選択する。まず撮影設定だが、露出補正、顔認識AFのオンオフ、アートフィルターの選択が可能だ。それぞれを設定した後にMESHタグから信号を送ることで、撮影設定が完了する。

MESHアプリのOLYMPUS AIRタグの撮影設定

撮影設定が完了したら、OLYMPUS AIRタグをタップして「写真を撮る」にモードを変更する。MESHタグから信号が送られることで、シャッターが切られる仕組みだ。

MESHアプリのOLYMPUS AIRタグの「写真を撮る」
MESHタグとOLYMPUS AIRを、MESHアプリ経由で連携

自転車とMESHとOLYMPUS AIR

MESHとOLYMPUS AIR A01は、Webサイトでも紹介されているようにいろいろな連携が可能だ。人感タグを使ってブランコが一番高い位置に来たら撮影、明るさタグを使ってビックリ箱を開けたら撮影、GPIOタグを使って乾杯したら撮影など、いろいろな使い方ができる。

今回は自転車走行中のハンズフリー撮影を試してみることにした。利用したのは「動きタグ」。動きタグには「振動を感知したら」「ひっくり返されたら」「向きが変わったら」「振られたら」という動きを感知するモードがある。今回は「振動を感知したら」を選択し、自転車走行中にMESHタグが揺れたら撮影する、という使い方をしてみた。設定は、初期設定のまま感度「20〜100」、間隔「0.1秒」で利用した。

動きタグの設定

自転車走行中の撮影といえば、ハンドルやヘルメットにカメラをマウントして、アクションカム的な動画撮影や、静止画なら一定間隔で自動撮影するのが一般的。しかし、せっかくMESHを利用するのだからと、このような「動きタグ」を用いたユニークな方法にトライしてみた。

MESHアプリの設定としては、動きタグとOLYMPUS AIRタグをつなぐだけのシンプルな設定だ。これで、動きタグが振動を感知する度にシャッターが切れることになる。大量に撮影されることが予想されるため、OLYMPUS AIRの記録サイズを最小の640×480に設定した。

動きタグとOLYMPUS AIRタグを繋いだ例

続いて、OLYMPUS AIR A01を自転車のハンドルに固定した。カメラが小型軽量なため、簡易なマウントでも対応できる。

自転車にOLYMPUS AIR A01をマウント

OLYMPUS AIR A01には、ボディキャップレンズBCL-0908を装着した。このレンズは、焦点距離9mm(35mm判換算18mm相当)、絞りF8というボディキャップ状のレンズで、非常に小型。パンフォーカス撮影が可能なため、自転車のマウントに最適だ。

OLYMPUS AIR A01とボディキャップレンズBCL-0908

MESHアプリはバックグラウンドで動作可能なため、MESHタグとOLYMPUS AIR A01の連携ができてしまえば、スマートフォンはスリープさせておいて構わない。あとは、自転車を運転するだけだ。

MESHタグとOLYMPUS AIR A01を連携

実際に自転車から撮影されたデータがこちらだ。途中、自転車を押して歩くシーンもあるが、そこでも撮影されていた。また途中で、カメラを自分に向けた状態でも走行してみた。自転車走行中ではカメラを手にして撮影することはできないが、このような自動撮影はなかなか楽しく感じた。例えば、観光地で借りたレンタサイクルなどで利用すると良いかもしれない。利用したのが「動きタグ」のため撮影タイミングは制御できないが、かえって意外なシーンが撮れており、走行中に記録された数十枚うち数枚、ユニークな写真があった。

商店街で撮影。640×480ピクセル / F8 / 1/250秒 / ISO500
信号待ちで撮影。左足を付けているので左に傾いている。640×480ピクセル / F8 / 1/250秒 / ISO200
ガード下走行(段差の振動で撮影)。640×480ピクセル / F8 / 1/200秒 / ISO6400
走行中の自撮り例。640×480ピクセル / F8 / 1/200秒 / ISO1000

ファインダーレスの小型形状だからこそ、自転車マウントという活用もできるOLYMPUS AIR A01の面白さを再発見した。オリンパスとソニーというメーカーの垣根を超えたコラボは、どちらも新しいジャンルに挑戦するスタートアップ精神に基づく製品だからこそ実現した組み合わせだ。OLYMPUS AIR A01とMESHの組み合わせによる活用方法が、今後もいろいろと生み出されていくことに期待したい。

伊藤浩一

モバイル情報ブロガー、ITライター。ブログ「伊藤浩一のWindows Phone応援団(旧W-ZERO3応援団)」やIT系WEB連載にてモバイル端末などのレビューを執筆。カメラは、ソニーα7を中心にオールドレンズの活用をしている。