デジカメドレスアップ主義
「少数生産のオリジナルレンズ」という新潮流
ライカM + 花影 S1 60mm F2.2
Reported by澤村徹(2014/8/28 08:00)
- ボディ:ライカMタイプ240
- レンズ:無一居 花影 S1 60mm F2.2
- マウントアダプター:レイクォール 新型L-Mリング 半欠きタイプ
- カメラケース:鳥井工房 ライカMタイプ240エバレディケースグリップタイプ(プエブロ/グリージオ)
- ソフトレリーズ:ジェイツジムラ New Premium Floral カメラソフトレリーズボタン シルバー925
- シューカバー:ジェイツジムラ New Premium Floral カメラホットシューカバー シルバー925
一般にカメラ用の交換レンズは、大きな会社が作る製品という印象が強い。純正レンズ、サードパーティー製レンズを問わず、メーカーの企業規模はけっして小さくない。
しかしその一方で、少数生産のオリジナルレンズというジャンルが細く長く続いてきたのも事実だ。MSオプティカルのオリジナルレンズは、カメラに精通した人なら一度は目にしたことがあるだろう。今回取り上げる無一居は、そうしたオリジナルレンズの新ブランドである。
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無一居のオリジナルレンズは、著名なオールドレンズをモチーフにしているのが特徴だ。第1弾となる花影 S1 60mm F2.2は、ライカのソフトフォーカスレンズ、タンバール90mm F2.2をモチーフにしている。フルサイズに対応したライカLマウント(距離計連動可)のレンズで、APS-Cミラーレス機でも使いやすいように焦点距離を60mmに変更した。レンズ構成は3群4枚となり、タンバールを意識した設計になっている。
コーティングはモノコートで、鏡胴はブラックとブラスの2色展開だ。ブラック鏡胴はあえて剥がれやすい低温黒色クロームメッキを施してあり、使いはじめると早々に地金の真鍮が顔を出す。きわめて趣味性の高いレンズであることをうかがい知ることができるだろう。
本レンズは無一居の依頼により、木下光学研究所が生産している。いわば日本製のレンズだ。木下光学研究所は富岡光学の出身者が起こした会社で、工業用レンズや特殊用途のレンズなど、高精度なレンズ製造に定評がある。日頃、高性能を追求する光学研究所が、花影のようなあえて収差を残したレンズを手がけた点がおもしろい。
実写してみると、輪郭部の豊富な滲みに加え、なめらかな前ボケがタンバールを彷彿とさせる。ただし、フルサイズ撮影だと開放近辺で周辺部の流れがきつく、シネレンズのようなアグレッシブな描写となる。F4まで絞ると中心部のシャープネスと絵画的な後ボケのバランスがよく、このレンズのスイートスポットと言えそうだ。タンバールのリメイクレンズというよりも、超弩級のクセ玉として楽しんだ方がこのレンズの良さが引き出せるだろう。
ドレスアップ面は鳥井工房のレザーケースとジェイツジムラのカメラジュエリーを合わせてみた。鳥井工房のライカMケースは「いまどき仕様のクラシックスタイル」でスタンダードタイプを紹介したが、今回はグリップ付きを選んでみた。ライカMはボディサイズのわりに重量があり、グリップ付きはホールド感向上に即効性がある。ほどよい厚みがあり、握りやすいグリップだ。
ジェイツジムラのNew Premium FloralはライカM専用アイテムだ。そもそもPremium Floralは同社が一番最初に手がけたカメラジュエリーで、当時はいろいろな機種に装着できるように設計し、汎用タイプとして販売された。しかしながら、ライカMタイプ240には装着できず、世界各国からリクエストが多数届いていたと言う。
今回のNew Premium FloralはPremium FloralをライカMタイプ240用に最適化した製品となる。装着がジャストフィットであることは無論、シューカバーの立体的な造形は圧巻だ。ライカMタイプ240用のPremium Floralを待っていた人には朗報だろう。