デジカメドレスアップ主義:純正マウントアダプターの真価とは!?

FUJIFILM X-Pro1 + Super-Elmar-M 18mm F3.8 ASPH.
Reported by澤村徹

  • ボディ:FUJIFILM X-Pro1
  • レンズ:ライカ スーパーエルマーM 18mm F3.8 ASPH.
  • マウントアダプター:富士フイルム Mマウントアダプター
  • ケース:Aki-Asahi X-Pro1用レザースナップケース(オリーブグリーン+オリーブグリーンステッチ)
  • ストラップ:BRATHESS ヌメ革カメラストラップ(ブラック)
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 ノンレフレックス機を発売したメーカーの多くは、自社一眼レフ用レンズや旧タイプのレンズを流用するために、純正マウントアダプターを用意している。オリンパスはフォーサーズ用とOM用、パナソニックはフォーサーズ用とライカM/R用(同社はライカと協業)、ソニーはAマウント用、ニコンはニコンF用といった具合だ。そうしたなか、富士フイルムは他社と動向が異なり、X-Pro1向けにライカMマウントアダプターを用意した。今回は純正のMマウントアダプターを軸に、X-Pro1をドレスアップしていこう。

 X-Pro1はノンレフレックス機としては大柄で、ライカM8/M9と同程度の大きさだ。ハイブリッドマルチビューファインダーが往年のレンジファインダーに似ていることもあり、ライカMレンズが似合うことは想像に難くない。純正Mマウントアダプターでライカファンを取り込もうという狙いは、理にかなったアプローチといえるだろう。

 この純正Mマウントアダプターは、電子接点搭載が大きな特徴になっている。レンズとボディが連携するわけではないが、このマウントアダプターを装着すると、レンズなしレリーズが自動的にONになる。また、マウントアダプター側面のボタンを押すと、一発でマウントアダプター設定を呼び出せるのがアドバンテージだ。このマウントアダプター設定ではOVFのブライトフレームに加え、周辺画質補正が設定できる。特に周辺画質補正機能は純正Mマウントアダプター装着時のみ動作する機能なので、本製品購入の大きな動機付けになるだろう。

 その一方で、電子接点搭載にともない、マウントアダプターの内周が小さくなっている。サードパーティー製ライカMマウントアダプターと比べ、明らかに内周が狭い。これは装着可能なレンズの種類に影響する。メーカーホームページに対応表が掲載されているので、手持ちのレンズが装着可能かどうか、事前に確認しておこう。また、対応表にないレンズに関しては、マウントアダプターに付属するレンズチェックカーで装着可能か判定できる。

Aki-Asahiのスナップケースは、軍艦部を隠さないデザインを採用している前面に穴を設け、フォーカスモード切替レバーにイージーアクセスできる
スナップケース背面はボタン操作を妨げないレイアウトになっている同社のケースではめずらしく、三脚穴固定式を採用した。ネジは付属している
富士フイルム純正のMマウントアダプターは、実勢価格2万3,000円前後だマウントアダプター側面にボタンがあり、このボタンでマウントアダプター設定が呼び出せる
純正は電子接点を搭載しているが、そのためサードパーティー製よりも内径は小さい樹脂プレートタイプのレンズチェッカーが付属する。チェッカーと干渉しなければ装着可能だ

 ドレスアップ面はAki-Asahiのレザースナップケースを合わせてみた。同社のケースはスナップボタンで吊り環にフックさせるスタイルが多いのだが、X-Pro1用は異なるデザインを採用し、付属のネジで三脚穴に固定する。オーソドックスなカラーレザーに加え、ブライドルレザー、ヌメ革の手染めなど、他機種のスナップケース同様にバリエーション豊富だ。また、カラーレザーとブライドルレザーについては、全7色からステッチカラーを選択することも可能だ。

 ストラップはBRATHESSのヌメ革ストラップを選んだ。金具はすべて真鍮製で、やわらかい光沢とヌメ革の素朴さが妙味といえる。ここではブラックをセレクトしたが、レッド、ブラウン、グリーン(手染め)などの種類があり、オーダー時に希望のアレンジを伝えると、その仕様で製作してくれるという。ハンドメイドならではの柔軟なオーダースタイルだ。

カラーレザーのスナップケースは9,900円。ステッチカラーはカラーオーダーできる手染めタイプ(左)とブライドルレザー(右)は、ともに1万900円だ
BRATHESSのヌメ革カメラストラップは8,000円。一眼レフ用なので耐重性は申し分ない真鍮製の金具がよい雰囲気だ。肩当ての幅は4センチで、ウエイトのあるレンズでも安心感がある

 純正Mマウントアダプター経由でオールドレンズを装着すると、歪曲収差補正、色シェーディング補正、周辺光量補正といった画質補正が使えるようになる。歪曲収差と周辺光量落ちは、レンズの味わいの部分でもある。そのため補正が必須というわけではない。やはり注目すべきは色シェーディング補正機能だろう。

 X-Pro1に限ったことではないが、APS-Cセンサー搭載のノンレフレックス機は、テレセントリック性を考慮していないレンズを付けると周辺部が色かぶりしやすい。ソニーNEXシリーズやデジタルライカMのマゼンタかぶりがその好例だ。X-Pro1の場合は、レンズによって周辺部の青みが強くなるケースが見受けられた。これを色シェーディング機能で補正するわけだ。

 今回スーパーエルマーM 18mm F3.8 ASPH.で撮影してみたところ、絞り値を問わず、周辺部の青みが強い。色シェーディング機能で青をマイナス(黄色をプラス)方向に補正すると、周辺の青みを解消できた。ただし、背景が空の場合は色かぶりがあまり気にならない。また、周辺の青みは写真表現的にも違和感が少なく、撮影シーンや好みに応じて補正するといったところだろうか。

純正アダプター装着時のみ、マウントアダプター設定の画質機能が有効になる各色9段階で補正できる。コーナーごとに個別のセッティングが可能だ
【実写サンプル】色シェーディングを使わずに撮影した。四隅がわずかに青かぶりしている【実写サンプル】各コーナーともシアン-3、青-2に設定して撮影した。四隅の青みが軽減している
  • 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなしの撮影画像(JPEG)を別ウィンドウで表示します。
X-Pro1 / Super-Elmar-M 18mm F3.8 ASPH. / 4,896×3,264 / 1/80秒 / F5.6 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 18mm / 色シェーディング補正なしX-Pro1 / Super-Elmar-M 18mm F3.8 ASPH. / 4,896×3,264 / 1/900秒 / F5.6 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 18mm / 色シェーディング補正なし
X-Pro1 / Super-Elmar-M 18mm F3.8 ASPH. / 4,896×3,264 / 1/180秒 / F8 / -0.67EV / ISO200 / WB:オート / 18mm / 色シェーディング補正:黄色+3X-Pro1 / Super-Elmar-M 18mm F3.8 ASPH. / 4,896×3,264 / 1/1,600秒 / F3.8 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 18mm / 色シェーディング補正:黄色+3
X-Pro1 / Super-Elmar-M 18mm F3.8 ASPH. / 4,896×3,264 / 1/280秒 / F8 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 18mm / 色シェーディング補正なしX-Pro1 / Super-Elmar-M 18mm F3.8 ASPH. / 4,896×3,264 / 1/105秒 / F8 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 18mm / 色シェーディング補正:黄色+3





(さわむらてつ)1968年生まれ。法政大学経済学部卒業。ライター、写真家。デジカメドレスアップ、オールドレンズ撮影など、こだわり派向けのカメラホビーを提唱する。2008年より写真家活動を開始し、デジタル赤外線撮影による作品を発表。玄光社「オールドレンズ・ライフ」シリーズをはじめ、オールドレンズ関連書籍を多数執筆。http://metalmickey.jp

2012/7/12 00:00