写真展告知

新井卓写真展「Bright was the Morning ― ある明るい朝に」

(横浜市民ギャラリーあざみ野)

本展は、シリーズともなっている現代の写真を紹介する「あざみ野フォト・アニュアル」企画展の第7回展です。今回は、写真史最初期の技法、ダゲレオタイプ(銀板写真)を使って制作し、2016年に第41回木村伊兵衛写真賞、日本写真協会賞新人賞(同協会主催)、神奈川文化賞未来賞を続けて受賞するなど、現在注目の写真家、新井卓(あらい・たかし)の写真を展示します。

現代社会がアナログからデジタルへと移行する中、カメラの機能もまた、フィルムを介在しない、そして、様々な状況にも即座に対応可能なデジタルのテクノロジーが搭載されたものとなっています。進化し続けるデジタル・カメラの時代にあって、新井は、写真の原点とでも言うべきダゲレオタイプの技法を選択します。複製技術の代名詞でもある写真ですが、ダゲレオタイプは一枚の原板が作品となります。銀板上に定着されたポジティブ画像を得るために、天候等の条件によっては長時間露光を必要とするダゲレオタイプは、事象の瞬間を捉えるというよりは、一定の時間の積層がイメージに含まれることになります。新井は、このダゲレオタイプの特徴を活かしながら、東北の震災や広島、長崎の原爆投下といった時間の幅を意識させる同時代的、歴史的な事象を作品の対象としてきました。

また、今回は、新作として若い次世代の人々のポートレイトが出品されます。多感な時期の若い人々との対話を通しながら撮影されたこれらのイメージは、ダゲレオタイプの技法を採用しつつもストロボを使用し、敢えて彼ら彼女らの一瞬を捉えようとしています。技法的にもあるいはモチーフとしても新たな試みがここには見られ、新井作品の今後の方向性の一つが示されたものとなっています。

あざみ野フォト・アニュアル新井卓 Bright was the Morning―ある明るい朝に ≪ 横浜市民ギャラリーあざみ野

会場・スケジュールなど

  • ・会場:横浜市民ギャラリーあざみ野 展示室1
  • ・住所:横浜市青葉区あざみ野南1-17-3アートフォーラムあざみ野内
  • ・会期:2017年1月28日(土)~2月26日(日)
  • ・時間:10時~18時
  • ・休館:会期中無休

アーティストトーク

・日時:2017年1月28日(土)13時~14時30分
・会場:横浜市民ギャラリーあざみ野3階 アトリエ
・定員:80名程度
・料金:無料

※要申し込み。託児所あり。

対談「ダゲレオタイプに現れる時間」

新井卓(企画展出品作家/写真家)、日比谷安希子(コレクション担当)の対談。

・日時:2017年1月28日(土)14時~15時30分
・会場:横浜市民ギャラリーあざみ野3階 アトリエ
・定員:50名程度
・料金:無料

※要申し込み。託児所あり。

学芸員によるギャラリートーク

・日程:2017年2月12日(日)、26日(日)
・時間:14時~14時30分
・会場:横浜市民ギャラリーあざみ野 展示室1
・料金:無料

アートなピクニック

視覚に障がいがある人とない人が共に楽しむ鑑賞会。

・日時:2017年2月18日(土)14時~16時30分
・会場:横浜市民ギャラリーあざみ野 展示室1
・定員:視覚に障がいがある人10名/視覚に障がいのない人15名
・料金:無料

※要申し込み。締切2月8日(水)まで。
※託児所あり。

対談 新井卓×石川真生

・日時:2017年2月25日(土)15時~16時30分
・会場:横浜市民ギャラリーあざみ野3階 アトリエ
・定員:80名程度
・料金:無料

※要申し込み。託児所あり。

作者プロフィール

1978年生まれ、神奈川県川崎市を拠点に活動する。写真の原点を探るうちダゲレオタイプを知り、試行錯誤ののち同技法を習得。対象に出会った時の感覚を、時間と空間を超えて、見るものに生々しく伝えることのできる<小さなモニュメント>として、自身のメディアとしてきた。核の歴史に興味を持ち始めた2010年から、第五福竜丸の船体や元船員に出会い、その後、福島、長崎、広島と撮るべき対象に自然にめぐり合ってきたという。これまで、ボストン美術館、サンフランシスコ近代美術館、森美術館、東京国立近代美術館ほか国内外の多数の展覧会に参加。2014年に英国ソースコード・プライズ、2016年には第41回木村伊兵衛写真賞、日本写真協会賞新人賞、神奈川文化賞未来賞を続けて受賞した。ボストン美術館、サンフランシスコ近代美術館、東京都写真美術館、エリセ美術館、ギメ美術館ほか多数の美術館に作品収蔵。単著に『MONUMENTS』(PGI、2015)などがある。