写真展

米山悦郎写真展「和紙を漉く」

(ニコンサロン)

新潟県柏崎市高柳町門出で和紙を漉く小林康生氏の工房で、コウゾの栽培から紙漉きに至る作業を、作者は足掛け3年間取材している。

小林氏はいったん廃れた門出部落の紙漉きを再興し、「越後 門出和紙」と命名し、和紙作りに励んでいる。

初夏、コウゾの苗作りから作業は始まり、夏の間はコウゾの畑の草取りなどの手入れ作業が続く。雪の降る前に、コウゾを刈り取り大釜で蒸してから皮を剥き、その後包丁で表皮を削り取って雪の上で晒す。この皮をソーダ灰か木灰で4時間ほどかけて煮た後、ビーターと呼ばれる機械にかけ、繊維状に溶かして紙を漉く。漉いた紙は水分をしぼり、ステンレス板乾燥機で乾燥する。上質のものは今でも杉の一枚板に貼って天日干しされる。

一連の写真の撮影をするうちに、工房で働く人たちの匠の技に作者は魅せられるばかりだった。特に雪深い冬、家の中でコウゾの皮を削ぎ、春とともに雪に晒して漂白する工程を興味深く取材した。

たまたま、取材の最中に本美濃紙、石州半紙、細川紙がユネスコ無形文化遺産に登録されるという報道が入り、日本の和紙の技術に対する評価がさらに高まっていることを、作者は印象深く感じた。

ニコンサロン bis 新宿 2016年9月 - 写真展 - ニコンサロン

会場・スケジュールなど

  • ・会場:ニコンサロンbis新宿
  • ・住所:東京都新宿区西新宿1-6-1新宿エルタワー28階
  • ・会期:2016年9月6日(火)~9月12日(月)
  • ・時間:10時30分~18時30分(最終日は15時まで)
  • ・休館:会期中無休
  • ・入場:無料

作者プロフィール

1935年生まれ。横浜国立大学工学部卒業。総合商社を退職後、写真作家活動に入る。日本写真作家協会会員、二科会写真部会友。写真展(個展)に、2007年「アッサラーム・アレイクム(あなたに平安を)」(ニコンサロンbis)、09年「伊那谷に生きる」(アイデムフォトギャラリー「シリウス」/新宿)、10年「風に吹かれて」(カラー)(トヨタハートフルプラザ横浜)、11年「風に吹かれて-モンゴルの草原から-」(モノクローム)(ニコンサロンbis新宿)、13年「INFINITE ROSE,光と影」(えすぱすミラボオ/神楽坂)、13年「フォト・コラージュ」(鎌倉ドゥローイング・ギャラリー/鎌倉)、15年「KINU「絹」-蚕から糸へ-」(えすぱすミラボオ/神楽坂)、15年常設展「KINU「絹」-蚕から糸へ-」(岡谷蚕糸博物館)、同年「「緑の蚕」天蚕」(同館)、16年「修行-ミャンマーの僧侶たち-」(えすぱすミラボオ/神楽坂)がある。