デジタルカメラマガジン

丸ボケに埋め尽くされた夜景を撮るには?
ジャンプしている猫を撮るには?
カメラとレンズの疑問に答えます!

デジタルカメラマガジン8月号、特集「カメラとレンズの疑問 新108」より

明日発売「デジタルカメラマガジン2015年7月号」の特集1は、「いまさら人には聞けない カメラとレンズの疑問 新108」です。62ページにおよぶ総力特集で、人気写真家40名が、Q&A形式で作品とともに疑問に答えます。ここではその一部を紹介します。

QUESTION:ふわふわとした丸いボケに埋め尽くされた夜景を撮りたい

東京タワーを中心に周辺の住宅が放つ光彩を構図全体に広げた。ボケの大きさと主題の小ささを同時に表せるギリギリのポイントを探った。練馬区役所から撮影。ソニーα6000/シグマ35mm F1.4 DG HSM | Art/35mm(52mm相当)/マニュアル露出(F1.4、4秒)/ISO100/WB→オート

ボケを大きくするため明るいF値を選ぶ→F1.4

絞ると光源のボケが小さくなり、開放にするとボケが最大になる。明るいレンズほどボケが大きくなるので、できるだけ開放F値が明るレンズを選ぶ。ティルト撮影をするので撮像素子よりもイメージサークルが大きいレンズを選び、フォーカスは無限遠に合わせておく。

自作のフードでレンズとカメラを覆う→遮光フード

この撮影ではレンズとカメラを離して撮影する。離すと当然、周りから光が入ってきて写真が全体的に白くなる。そこで遮光カーテンの生地などで簡単な遮光フードを作って、レンズとカメラを覆うと黒がぐっと締まる。生地は専門店で必要な長さを購入可能だ。

レンズを手動で動かして撮影する→ティルト撮影

カメラとレンズをそれぞれ片手で持ち、液晶モニターで確認しながらレンズを寄せたり離したりしてピントを合わせる。ボケはレンズをティルトさせて作り出す。下にあるように、かなり上下に動かすので、イメージサークルが大きいレンズが必要なのだ。
窓の直前まで寄って撮影する
上半身を窓枠に乗り出して、窓の直前でレンズとカメラを持って撮影。ウェストレベルで構えると液晶モニターは下を向いてしまうため、上に向けておく。レンズのフィルター部に親指をおき、指を窓に接触させて距離を保つ。レンズの位置を決めたらカメラを前後に動かしてフォーカスを合わせる。
自作遮光フード
レンズとボディの隙間から光が入らないように自分で作った遮光フード。正面の光を遮るためにレンズ側をゴムなどで絞る。背後の光が入らないように気をつけて撮る。
ぼかす方向にレンズを傾ける

レンズは画面内でボケを作りたい方向に傾ける。下方向をぼかす場合、上の端の主題に焦点を合わせて下向きにレンズを傾ける。右方向をぼかすなら主題を左端に置いて右に傾ける。傾けるほどボケは大きくなるが、被写界深度が浅くなり、主題に焦点が合いにくくなる。

上側をぼかす場合
カメラにぶつけないようレンズ上端の位置を指で支えて、レンズの下側を上に持ち上げる
下側をぼかす場合
手のひらでレンズ下端を支えてレンズとカメラをへの字に曲げる。上の写真は左と同じ場所から撮影している

(写真・文:きたじまたかし)

QUESTION:猫がジャンプしている瞬間を撮りたい

屋根の上にいる猫が隣の家の屋根に飛び移ろうとしている瞬間を狙った。24mmの広角を使い、屋根へ飛び移っているのが分かるように周りの状況を入れた。逆光だったので太陽の一部を屋根で隠し、光条を出して画面内にアクセントとして加えている。キヤノンEOS 5D Mark II/EF24-105mm F4L IS USM/24mm/絞り優先AE(F11、1/2,500秒、-0.3EV)/ISO1600/WB→オート

広めの画角で猫を待ち構える→24mm

基本的に猫はどこから飛んで、どう着地をするのかは予測できない。そのため猫が飛ぶ場所を発見したらできるだけ広い画角で待ち構えておく。ただあまりにも広すぎると猫が豆粒のように小さくなってしまうので、3m先で猫が飛ぶのなら24mmくらいで待っているのが良いだろう

建物と猫の両方をシャープに写す→F11

屋根の上など少し遠くを飛んでいる猫を撮るときは、絞りをF11まで絞り、ピントの位置は無限遠のちょっと手前に合わせておく。これで手前から奥までシャープに写る。手前がぼけるからといってこれ以上絞ると回折現象で画質が落ちるので、F11までにしておくのがベストだ。

素早く動く猫の動きを止める→1/2,500秒

猫は多少ぶれていても動きが表現できるが、あまりぶれすぎると単なる失敗写真になる。飛んでいる猫の場合は1/2,500秒くらいに設定し、空中を飛んでいるときに撮ると浮遊している感じが出る。ジャンプをしたら連写をして撮ると成功率が上がる。
家の屋根を飛んでいる猫を狙う
この場所はよく猫がジャンプをする、地元では有名な猫の飛びスポット。高さ2m以上ある壁をジャンプして登ったり、屋根から屋根へ飛び移っていたりする。猫までの距離はおよそ3mほど。夏の暑い日には屋根には登らないので、涼しくなってきてから狙おう
キヤノンEF24-105mmF4L IS USM
猫の撮影でメインに使っているレンズ。広角から望遠まで撮れ、この1本でさまざまなシーンが撮れるから重宝している。手ブレ補正も良く効き、手持ち撮影でも安心できる
猫の動きに対応するために少し離れて撮る

飛んでいる写真の失敗する例として、猫が画面からはみ出してしまうことが良くある。猫のジャンプはかなり速い! 猫に近すぎると「ジャンプした」と思ってシャッターを切っても、画面からはみ出てしまうのだ。かわいいからといって近くでは撮らず、一歩離れて猫が飛ぶのを待つと成功率は上がる。

猫から離れて撮る
ジャンプしてからシャッターを切っても画面内に猫の全身は入る
近すぎると画面から猫が出る
タイミング良くシャッターを切っても、画面から猫がはみ出てしまう

(写真・文:五十嵐健太)

QUESTION:人物が浮かび上がって見えるスナップの撮り方が知りたい

フラッシュが雨粒を光らせ、被写体は光の輪郭で浮かび上がった。スローシャッターにより被写体が透けてショーウインドーと重なった。Leica M9/SUMMICRON-M F2/50mm/50mm/マニュアル露出(F8、1/4秒)/ISO160/WB→オート

動いている人物を止めるために光らせる→ストロボ

動いている被写体を逆光で瞬間的に止めて写す。被写体の向こう側にストロボを設置し、ワイヤレス・システムで発光。マニュアルで発光量を調整。発光量は1/4〜1/8位に設定する。定常光との関係で弱めがよいのと、必要なときに上下に変更できる幅を確保しておくためだ。

人物の明るさはF値で調整する→F8

ストロボ光の当たる人物の露出はF値で調整する。もっとも明るくなる光の輪郭部分が白飛びしないように設定する。あまり絞ると背景まで被写界深度内に入り、絵に立体感がなくなるのでF8にするのが良い。F8でも白飛びを抑えられないときにはストロボの発光量を落とす。

背景の明るさはシャッター速度で調整→1/4秒

背景の定常光をどれだけ見せるか、さらに被写体の透ける具合はシャッター速度で調整する。背景を明るくし、被写体を透かせて背景と重ねたいときには1/8〜1/4秒のスローシャッターにするのがポイント。定常光が弱く、光が足りない場合にはISO感度を上げる。
反対側にストロボを置いて人物の裏から発光
雨が降り始めた日の夕方、ショーウィンドーを背景として構図を決めた。フラッシュはスタンドを用いて顔の高さに設置。フラッシュの発光量は1/4。フォーカスは人の歩く位置を予想してマニュアルで合わせておき、歩道の反対側で撮影チャンスを待った。フラッシュとカメラの間に被写体が来たタイミングで撮影
キヤノン580EX II
ストロボはキヤノンの580EX IIと電波式ワイヤレス・システムYongnuo RF602を使っている。光学式ワイヤレス・システムだとストロボとカメラの間に遮蔽物があると通信できないので電波式ワイヤレス・システムを使う。580EX IIは背面ダイヤルで調整しやすく使いやすい
背景と人物のバランスが重要

このテクニックのキモは定常光で撮影される背景の明るさと、ストロボで照らされた人物の明るさのバランスになる。特にシャッター速度で調整する背景が暗いとのっぺりとしてしまう。シャドウからハイライトまで一様にとらえた露出になると立体感のある絵になり、後でソフトウェアで好みに仕上げるときの自由度も高い。

1/8秒
定常光が当たる背景がきちんと表現され、バランスの良い絵になる
1/30秒
背景が暗くなり、ディテールが分からず、立体感に欠ける

(写真・文:Nagata Satoki)

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本特集では、撮影現場の再現をイラストで示したほか、撮影のポイントを写真付きで解説。また、撮影手順を色分けしたアイコンで分かりやすく説明しています。

ぜひお気に入りの撮影テクニックを見つけてみてはいかがでしょうか。

(デジカメWatch編集部)