デジタルカメラマガジン

小林哲朗さん入魂の1冊「夜の絶景写真 工場夜景編」が出ました

10年撮り続けた集大成 全国36カ所の絶景ガイドも収録

デジカメ Watch編集部のお隣、デジタルカメラマガジン編集部から"工場夜景"の本が出ました。12月5日発売の「夜の絶景写真 工場夜景編―誰でも幻想的な工場夜景が撮れるようになる」(小林哲朗 著)です。

日本全国の工場夜景を撮り続けている小林哲朗さんと1年間をかけて完成させた1冊。その入魂のポイントを担当編集者に聞いてきました。

——根強い人気の「工場夜景」ですが、何故このタイミングで書籍化したのですか?
2015年にデジタルカメラマガジンの特集で「工場夜景」を取り上げたときに、小林さんに「工場夜景の本を作りませんか?」という提案をしていました。しかしネタ出しを進めていくと、その時点ではまだ本1冊分のボリュームにするのは難しそうでした。

状況が変わったのは2016年の「全国工場夜景サミット」で、イベントやSNSを通じて工場夜景ファンの増加を実感し、自治体も工場夜景を観光資源としてアピールしていることがわかったんです。ちょうど小林さんが日本の工場夜景を全て撮影しきったタイミングだったこともあり、いよいよ本にしようと企画が動き出しました。

そのとき小林さんが仰ったのは、「出すなら1冊だけ!」という意向でした。つまり、掲載する作品も、撮影テクニックも、これまで自分が工場夜景を撮ってきた全てを出し切ろう!ということです。10年にわたって日本の工場夜景を撮り続けてきた小林さん入魂の1冊ですから、その思いに応えるべく、こだわって作りました。

編集者的には、小林さんの写真がとても綺麗だったので、本来こういう本には珍しい"作品ギャラリー"も収録しています。プラントの造形美、工場を照らす色、幻想的な世界、という3つのパートに分けて、ミニ写真集のようにも楽しめる構成です。

——工場夜景というジャンルの特徴は何でしょう?
季節に関係なくいつでも撮れて、天気も選ばず撮れるところです。また、工場夜景が盛り上がると自治体が喜ぶのもいいですね。日本で「工場」というと、どうしても公害のネガティブな印象が根強い部分がありました。しかし工場夜景が好きな方にとっては、工場が"カッコいいもの"になってきたんです。それを受けて、自治体や観光協会が誰でも気軽に参加しやすい「工場夜景ツアー」に力を入れたりもしていますね。

この本をきっかけに工場夜景を撮りに行きたくなる方々の事も考えて、今回は撮影場所から掲載作品を探せる索引も付けました。その撮影スポットが都道府県内のどのあたりにあるのか、実際に現場周辺のどこから撮れるのか、駅や道路の描かれた地図も掲載しています。

——「工場の種類」という解説ページが興味深いです。
どんな写真でも「相手のことを知る」のは大事です。例えば、工場夜景を撮ろうという人が「あのゲームに出てくるプラントのような写真を撮りたい!」と思っても、その雰囲気は化学工場じゃないと撮れないんだよな…、といったことがあるんです。

そして、たとえ同じ撮影スポットでも皆さんそれぞれの「いい」と思った部分を撮ってほしいですね。写真の撮り方は人それぞれで、撮影距離や切り取り方で全く違うものになってくるというのが、感じてもらえると思います。

——ようやく完成して、小林さんの反響などはどうですか?
印刷について、小林さんに「自分の写真集より良かった」とまで言ってもらえました。普通の雑誌は175線という目の細かさなのですが、印刷が美しいと定評のあるデジタルカメラマガジンはより細かい200線で刷っています。今回の本も同じく200線で刷っているので、解像度が高く、階調もよく出ていて、工場夜景の写真に合っています。

あとは実際に本を見ていただきたいのですが、小林さんの撮った綺麗な工場夜景を眺めて、その撮影テクニックを学んで、マナーに関する豆知識も紹介してますから、実際に撮りに行っていただくところまで含めて、長く楽しめます。工場夜景の決定版といえる1冊になったと思います。