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「FUJIFILM X100T」などの発表会レポート
デジカメ事業が黒字に。APS-C機と交換レンズに注力
Reported by 本誌:武石修(2014/9/10 18:52)
富士フイルムは9月10日、デジタルカメラ「FUJIFILM X100T」など新製品の発表会を都内で開催した。ここでは発表会の模様をお伝えする。製品個別の詳細は記事末のリンクを参照されたい。
デジタルカメラ市場について富士フイルム 取締役 常務執行役員 光学・電子映像事業部長の高橋通氏(高橋氏の“高”は、正しくは「はしごたか」)は、「2010年をピークに年々縮小を続けているが、レンズ交換式カメラは順調に2桁成長となっている。しかし内訳を見るとデジタル一眼レフカメラが-19%なのに対して、ミラーレスカメラは+41%となった。これはミラーレスカメラが、性能においても一眼レフに匹敵するということが認識されてきた結果と考えている」とし、これまでミラーレスカメラのシェアが低かった欧米でもミラーレスカメラのシェアが増える傾向が強まっていると説明した。
また、「小形軽量でも性能を第一に考える欧米でも、2014年に入ってからはミラーレスカメラが伸びており、機能優先のユーザーにもミラーレスカメラが優位と認知されている。今まさに、一眼レフカメラからミラーレスカメラへの変化点に立っている」(高橋氏)との認識も示した。
また同氏は、デジタルカメラ事業について「黒字を計上できるところに来た」とアピール。今後はAPS-Cセンサーを搭載したXシリーズとその交換レンズの拡充に注力すると話した。
同日発表の新レンズ2本を含めて富士フイルム製のXマウントレンズは15本がそろった。加えて、すでにロードマップにある4本が来年度に登場する予定。「放送用のフジノンレンズの設計・生産技術をフルに活用することで、2年半で15本揃えることができた」(高橋氏)とのこと。なお、レンズの販売数や今後の見込み数は非公開だが、「大変な勢いで伸びているのは事実」(同氏)と答えた。
カメラ1台に対する交換レンズの所持数について、同社は1.8本程度という。「業界平均が1.3本程度と聞いている。業界平均を大きく上まわっており、それだけ我々のユーザーはハイエンドに寄っているということ」(高橋氏)。
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レンズ一体型の高級コンパクトである「FUJIFILM X100T」は、MF撮影時に光学像の一部をNDフィルターで遮蔽し、その部分にフォーカスエリアのライブビュー映像を拡大表示可能になったのが大きな進化点。
NDフィルターは拡大表示のON/OFFに合わせてファインダーに出現/格納する仕組み。NDフィルター機構の厚みは1mmで、そこに0.9mmのNDフィルターを組み込んだ。耐久性を持たせるため、フィルムでは無く成形品のフィルターを使用した。同社では、このシステムを「電子式レンジファインダー」と銘打って訴求する。
ブライトフレーム視野率は従来の90%から92%に拡大し、MF時のリアルタイムパララックス補正に対応した。従来MF時は、ブライトフレームがリアルタイムには動かなかった。
なお、今回グリップ部分の盛り上がりを1mm増やし、ホールド性を高めている。そのためオプションのグリップは新規アイテムとなっている。
「FUJIFILM X-T1グラファイトシルバー エディション」は、 「FUJIFILM X-T1」をベースに、特別な塗装をほどこしたモデル。デジタルカメラでは珍しいカラーとなっている。
一般的なシルバー色とは異なり、塗装にブラックの塗料を混ぜた。「単なるシルバーではなく、プレミアムなモデルとして高級感のある色を採用した」(説明員)。質感の関係でブラック(通常品)よりも高精度な塗装が必要なため、コストは増えているという。
「XF 50-140mm F2.8 R LM OIS WR」は、35mmフルサイズのカメラでは70-200mm F2.8の感覚になる大口径望遠ズームレンズ。クラス最高というシャッター速度換算5段分の手ブレ補正機構を搭載した。新たにブレを検出するジャイロセンサーが発するドリフトノイズと呼ばれる成分を取り除くアルゴリズムを開発することで、5段分の補正を達成した。
「XF 56mm F1.2 R APD」は、より豊かなボケが得られるというアポダイゼーションフィルターを搭載した大口径中望遠レンズ。アウトフォーカス部の光量を落とすことで豊かなボケになるという。なお、従来の「XF 56mm F1.2 R」(アポダイゼーションフィルター非搭載)も併売する。
8月27日に発表済みのコンパクトデジタルカメラ「FUJIFILM X30」の展示もあった。比較的明るいズームレンズ、2/3型X-Trans CMOS IIセンサー、EVFなどを備えるモデル。