富士フイルム、F2-2.8のマニュアルズームレンズを搭載した「FUJIFILM X10」

~プリズム採用の光学ファインダーや2/3型センサーを採用

 富士フイルムは、2/3型CMOSセンサーやマニュアルズームレンズなどを搭載したレンズ一体型デジタルカメラ「FUJIFILM X10」を22日に発売する。価格はオープンプライス。店頭予想価格は7万円前後の見込み。

 なお、発表会の模様は「富士フイルム、レンズ交換式ミラーレスカメラへの参入を予告」を参照されたい。

X10

 同社が9月1日に海外で発表していた製品。今回、国内での発売日や価格が決定した。なお、製品名に「FinePix」は付かない。

 クラシックな外観を特徴とするレンズ一体型デジタルカメラ。カラーはブラックのみだが、3月に発売した「FinePix X100」のテイストを随所に取り入れている。富士フイルムでは「プレミアムコンパクトデジタルカメラ」と称している。

 ボディの天面と底面はFinePix X100と同様にマグネシウムダイキャストを採用。モードダイヤルやレンズリングはアルミの削り出しで、質感を高めたという。外装には耐久性に優れるというレザー調仕上げの合成皮革を使用。滑りにくく手に馴染むという。ストラップは両吊りとなっている。

 各ダイヤルやレリーズボタンの操作感にもこだわったという。上面にはシャッターボタン、モードダイヤル、露出補正ダイヤル、Fnボタン、ホットシュー、手動ポップアップストロボを備える。シャッターボタンには、機械式レリーズケーブルを装着可能。シャッター音は、FinePix X100で好評だったという3種類を収録した。背面には「メインコマンドダイヤル」と「サブコマンドダイヤル」を備える。FinePix X100と同じく、背面上部に“MADE IN JAPAN”の表示がある。

 1/2型センサー(FinePix F550EXR)に比べて約2倍の面積になるという2/3型EXR CMOSセンサーを採用した。画素数は1,200万画素。「高感度・低ノイズ優先」、「ダイナミックレンジ優先」、「高解像度優先」を切替えて撮影できる独自のEXR技術を引き続き搭載した。RAW記録にも対応する。また、EXRプロセッサーの高速処理によりフル画素で7コマ/秒の連写を実現。加えて、フルHD(1,920×1,080ピクセル、30fps)撮影機能は2/3型センサー搭載機では初めてとしている。音声は前面のステレオマイクで収録する。

電源OFF時28mmにズームしたところ

 レンズは35mm判換算の焦点距離28-112mm相当、F2-2.8の4倍ズームレンズ。非球面レンズ3枚6面、EDレンズ2枚を含む9群11枚構成。全てのレンズをガラス製とした。レンズシフト式の手ブレ補正機構を採用している。絞りは7枚羽根。FinePix X100と同じく、ボディ上面に“FUJINON LENS SYSTEM”のマークが入る。超解像技術により光学4倍ズームと併用して解像感のある8倍ズームが可能だという「超解像ズーム」も利用できる。

 ズーム操作は、鏡筒のズームリングで行なう「マニュアルズームレンズ」となっている。鏡筒は鏡枠沈胴方式を採用。ただし、電源OFFでも完全に鏡筒がボディに沈胴するわけではない。ズームリングを回すと連動して電源が入り、鏡枠が繰り出す。その後さらにズームリングを回転させると、望遠側にズームできる仕組み。

 ズームリングは電子式ではなく機械連動式。鏡筒には28/35/50/85/112mmの焦点距離位置に表示を設けた。

電源OFF時28mmにズームしたところ
50mmにズームしたところ112mmにズームしたところ

 鏡筒は外観や内部構造にも金属を採用することで、滑らかなズーミングが行なえるという。また電源スイッチをズームリングとの連動式にしたことで、素早い撮影動作を可能にしたとしている。電源立ち上げ時間は約0.8秒(クイック起動時)としている。なお、動画撮影中にもズームは可能。

 コンパクトデジタルカメラでは採用例が少なくなっている光学ファインダーも搭載した。光屈折ガラスプリズムと非球面レンズ3枚を使用することで、明るく見やすいファインダーを実現したという。ファインダーの画角はマニュアルズームに連動する。視度調節ダイヤルも備える。

手動ポップアップ式のストロボを上面に備える。右がポップアップしたところ

 そのほか、電子水準器、99パターンの撮影条件の組み合わせで自動的にカメラを最適に設定するシーン認識機能、Velvia/PROVIA/ASTIAなどの仕上りを楽しめる「フィルムシミュレーションモード」、「ぐるっとパノラマ360」などの機能をを引き続き採用した。

 既存の同社製ストロボ「EF-42」および「EF-20」が利用可能。

 専用オプションとして、金属製レンズフード「LH-X10」と本革仕上げのレザーケース「LC-X10」を用意する。価格はいずれもオープンプライス。レンズフードには、光学ファインダーのためのスリットが入るほか52mm径のフィルターが装着できるアダプターリングが付属する。

同梱のメタルレンズキャップを装着したところ
製品名X10
撮像素子2/3型有効1,200万画素EXR CMOSセンサー
レンズ28-112mm相当(35mm判換算)、F2-2.8
最短撮影距離1cm(スーパーマクロモード広角端)
50cm(マクロモード望遠端)
手ブレ補正レンズシフト式
感度ISO100-3200
ISO4000-12800(画素混合)
露出プログラムプログラムAE、絞り優先AE、シャッター優先AE、マニュアル露出
測光方式分割、マルチ、スポット、平均
シャッター速度30-1/4,000秒(全モードあわせて、最小絞り時)
30-1/1,000秒(絞り解放時)
液晶モニター2.8型約46万ドット
記録メディアSDXC/SDHC/SDメモリーカード
連写速度約7枚/秒
動画記録H.264(1,920×1,080・30fps)など
バッテリーリチウムイオン充電池「NP-50」
撮影可能枚数約270枚
外形寸法117×69.6×56.8mm
質量約330g(本体)
約350g(バッテリー、メモリーカード含む)



(本誌:武石修)

2011/10/5 16:04