写真ビジネス向けイベント「PHOTONEXT 2011」レポート
撮影、流通、出力などの写真ビジネスをターゲットにしたイベント「PHOTONEXT 2011」が東京ビッグサイトの西4ホールで21日に開幕した。会期は6月22日まで。
会場入り口の様子 | 各ブースのセミナーも盛況だった |
主催はプロメディア。主催団体は写真感光材料工業会、日本カラーラボ協会、日本写真映像用品工業会。特別協賛は日本営業写真機材協会。
■ケンコー・トキナー/KPI
ブースではトキナーの交換レンズ「AT-X 17-35 F4 PRO FX」や、2月のCP+2011でも展示のあった可変NDフィルターの効果を試すことができた。
AT-X 17-35 F4 PRO FX(10万2,900円) | キヤノン用(7月下旬発売)、ニコン用(9月上旬発売)をそれぞれ用意 |
可変NDフィルター「バリアブルNDX」は、より効果を確かめやすいという形で展示。77mmと82mmを今夏発売予定で、価格は5万円程度を見込むとの表示があった。
可変NDフィルターを展示。レンズの前にかざして効果を確認することもできる | 展示の様子。サーキュラーPLフィルターは従来製品との明るさ比較も可能 |
そのほかにもKPI取り扱い製品などを展示していた。
SMDVのリモートレリーズ。写真のニコン用はボディからの電源供給を前提とし、レシーバーを小型軽量化。秋に2万円ほどで発売予定という | Godox社のポータブル電源「LP-750」(15万3,300円)。屋外撮影での機材運用に向けた製品だが、計画停電の実施時にはパソコンや冷蔵庫の非常電源として多くの注文があったそうだ |
■ベルボン
参考出品として、業務用のビデオ雲台をベースとした超望遠レンズ向け三脚「スーパーカルマーニュ8400セット」を展示。36mm径のカーボン4段パイプと100mm径のボール台座からなる三脚に、専用ビデオ雲台を組み合わせた。発売時期や価格は未定。
スーパーカルマーニュ8400セット | ボール台座で水平を出せる |
そのほか、エレベーターを傾けられる三脚「VS-443Q」といった新製品を展示。手に取って試すことができた。
「VS-443Q」7月1日発売、3万5,490円 | 小型三脚「CUBE」は発売済みのブラックに3色を追加し、8月半ば頃にリリース予定という |
■バンガード
8月発表予定というカメラバッグを先行展示。ショルダータイプのレポーターバッグ「The Heralder」は、プロや報道の分野に向ける新シリーズ。機材保護パッドの多さよりバッグ本体の軽さを重視したという。サイズは3種類を用意。
The Heralder 38(左下)、The Heralder 33(上)、The Heralder 28(右下) | ハンモック型の三脚ホルダーを装備 |
フラップのジッパーから機材を出し入れできるクイックアクセス機構、三脚ホルダー、レインカバー、PCコンパートメントなどが共通装備。最大サイズの「The Heralder 38」は15型程度のノートパソコンを収納可能。中間の「The Heralder 33」は13型程度、最小サイズの「THe Heralder 28」はタブレットやネットブックを収納できるという。
最大モデルThe Heralder 38の内部 | 最小モデルThe Heralder 28の内部 |
■パラゴンジャパン
フォトキナ2010で展示していた、CPtechのカメラ保持システム「b-grip」が国内発売。クイックシューのような固定機構でカメラを腰に固定すると、腰と太腿にカメラの重量を分散し、負担を軽減するという。会場での価格は7,480円。
腰につけた本体にカメラを固定する | カメラを装着したところ。ロック機構を備える |
クイックリリースプレートに簡易的な脚を装備 | 別売のトラベルキットを併用すればバックパックのストラップにも装着可能 |
■ペンタックス
有効4,000万画素のCCDセンサーを搭載する中判デジタル一眼レフカメラ「645D」を用いたアーカイブシステムのデモを実施。35mm判センサー搭載カメラが満たさなかったという国の基準をクリアし、国会図書館で採用されているという。
645Dを使ったアーカイブシステムをデモ |
ペンタックスでは、本など紙資料の保存のほか、アルバムをページごと撮影してアーカイブするという方法も提案している。スキャナーに対し、ワンショットで撮影できるカメラを用いるのは作業効率面でのメリットも大きいという。
また、導入に1,000万円以上かかるというスキャナーに対し、645Dを使えばシステム全体でも250〜300万円で収まるとのこと。複数台の導入で更に効率を上げることも可能としていた。
本のスキャンを行なうところ。奥の液晶ディスプレイには645Dの液晶モニターの表示を出力。同システム用に改修を施したファームウェアとレンズを使用しているという | 645Dを上部に設置。貴重な本では45度以上開くことが許されない場合もあり、その際はV字に開いた本の左右ページを左右から2台の645Dで撮影するという |
撮影画像はA3・400dpi相当という |
コンシューマ向けに発売した645Dだが、プロユースのカメラとしてもランニングコストやハンドリングの点で注目されているという。
■DNPフォトルシオ
iPhone/iPadからの画像プリントに対応するセルフプリント機を展示。専用アプリをインストールしたiOS端末とアドホック接続することで、画像転送を行なう。転送後は既存のメディアを利用した場合と同様の使い勝手だった。
iPhone/iPad対応のセルフプリント機。赤外線やBluetooth接続にも対応 | 1度に最大20枚まで転送可能という |
■富士フイルム
iPhone接続に対応したセルフプリント機を展示。端末に繋がっているDockケーブルにiPhoneを接続することで、カメラロール内の画像を読み込む仕組み。読み込み後の操作は対応済みのメディアと同じく、画面上でプリントしたい画像を選択する。
iPhone対応のソフトウェアアップデートを行なったセルフプリント機 | 端末に繋がったDockケーブルにiPhoneを接続する |
端末にパスコードを設定している場合は、ロックを解除した状態で接続する |
説明員によると、スマートフォンからのプリント需要は多く、まずはシェアの高いiPhoneに対応したとのこと。今後はAndroid端末への対応に加え、iPhoneからの画像読み込みもより使い勝手を向上していきたいとしていた。
また、同社は3D関連の展示とデモも実施。3Dデジカメ「FinePix REAL 3D W3」は、サードパーティーのCyclopital3D社製レンズアダプターを装着した状態で展示していた。
Cyclopital3D製のレンズアダプターを装着したFinePix REAL 3D W3 | 37mm径のコンバージョンレンズを装着できるフィルターネジを搭載。ホットシューや水準器も備える |
Cyclopital3D社では、ほかにもステレオベースを25mmに変換するマクロアダプターや、225mmに変換するベースエクステンダーをラインナップ。いずれも国内では3万円台で購入できる。
3Dプリンター |
ブースには同社の3Dプリンター「DPR-1」(約160万円)も用意。2D3D画像ソフトウェア「ヒューマンアイズ3D」をDPR-1専用としたLite版(約50万円)との組み合わせで、店舗サービスの幅を広げる提案も行なっていた。
3Dプリントには複写防止の観点でもメリットがあるといい、観光地のフォトサービスや会員証などのコピー対策としても訴求する。
■フォトネット
iPad/iPhone向けの電子ウェディングアルバム「愛メモリー」のデモを実施。カメラマンや式場向けのサービスで、パソコン上で編集から発注までを行なえるという。同社では撮影サービスと一緒になったプランも用意しており、料金は通常のブライダルフォト撮影と同じぐらいになるという。
アルバム編集画面。動画を入れられる点が特徴という | ビューワーアプリで閲覧しているところ。データはDVDなどで提供され、iTunes経由でiPad/iPhoneに転送する |
■テイク
同社が写真マーケット向けに取次を行なうエリーパワー社のリチウムイオン蓄電池「パワーイレ」は、屋外ロケのサブ電源や、発電機を使えない屋内での撮影に向けるという製品。法人向けのリースを行なう。
パワーイレ。AC接続したMacBook Proを駆動しているところ | 停電が発生するとアラームで警告し、蓄電池からの給電に切り替える。通信モジュールを内蔵しており遠隔監視も行なえる |
電池容量は2kWh。パソコン1台とモノブロックストロボ2灯程度の運用が可能という。ACのほか、別売の太陽光パネルからの充電も可能。
2011/6/22 16:43