アドビ、Photoshopの“将来のテクノロジー”をデモ
アドビは3日、東京都中央区のベルサール汐留で4日まで開催する「クリエーターズサミット2009」のプレスセッションを開催した。
会場の様子 | クリエーターズサミット2009の様子 |
クリエーターズサミットは、情報発信におけるコミュニケーションの変容や、デザイン創造の可能性などに関する様々なセッションを行なうイベント。対象はPhotoshop、InDesign、FlashといったWeb関連ソフトウェアを扱うクリエーター、写真家、編集者など。参加登録の受付は終了している。
ラッセル・ブラウン氏 |
開催に合わせ、シニアクリエイティブディレクターのラッセル・ブラウン氏が来日。プレスセッションにてPhotoshop CS4および、現在開発中の新機能について解説とデモを行なった。
前半には、ブラウン氏が「スーパーヒント」というAdobe BridgeおよびPhotoshop CS4の使いこなしを紹介。パノラマ画像の合成を行なう際、Adobe Bridgeから画像をPhotoshopのレイヤーとして読み込むことにより、微調整が行ないやすくなるというものだった。
また、対応する魚眼レンズで撮影した画像は、パノラマ合成する際にソフト側が独自に持つレンズ情報を基に自動で調整を行なう。対応レンズは、キヤノン「EF 15mm F2.8 Fisheye」、シグマ「4.5mm F2.8 EX DC CIRCULAR FISHEYE HSM」、「8mm F3.5 EX DG CIRCULAR FISHEYE」、「15mm F2.8 EX DG DIAGONAL FISHEYE」、ニコン「AF DX Fisheye-Nikkor ED 10.5mm F2.8 G」、「Ai AF Fisheye-Nikkor 16mm F2.8 D」。
対応レンズの場合は「Auto」と「Geometric Distortion」を選択するのみ | レイヤーとして読み込んで合成すると、微調整がしやすいという |
後半は「Adobe Photoshop将来のテクノロジーについて」と題し、同社の開発テストサイト「Adobe Labs」で開発中の機能について解説とデモを行なった。ブラウン氏いわくAdobe Labsは「なんでもあり」の場だという。今回紹介する機能はいずれも開発中であり「市場に出ない可能性もある」という旨を強調していた。
「Puppet Warp」(パペットワープ)という機能は、コントロールポイントを設定することで人形(パペット)のように変形ができる。そこからパペットワープとネーミングしたという。
パペットワープのデモ。コントロールポイントを指定しドラッグすることで、人形のように変形する。写真のように手を交差させると、服の部分も追従していた |
関連機能の「スナップ」は、パノラマ画像の水平線をパペットワープの要領で整えることができる。水平のガイドに沿ってコントロールポイントを動かすことで、レンズによる画像の歪みを整えることができる。
スナップのデモ。合成で作成したパノラマ画像にコントロールポイントを配置し、水平に整える |
また、画像中の要素を判別して余計なものを消すという「パッチマッチ」のデモも行なった。ワシントン大学とのAdobe Labsのコラボレーションで生まれた機能。選択範囲の要素をインテリジェントに判断し、複雑な背景でも要素が混ざることなく削除できるとしている。ブラウン氏はパッチマッチに関し、「あまりにも危険な機能だからまだ出ない。ラボにとどめておきたい」とコメントし、会場の笑いを誘った。
パッチマッチ機能。要素判別を利用することで、レンガとセメントの部分が混ざることなくドアが消えた |
ペインティングに関する“改善のアイデア”という機能では、ワコムのペンタブレットを使用。ペンタブレットで筆やブラシを利用する際、入力ペンの傾きなどを描画に反映する。ブラウン氏は、これにより実際の筆やブラシを使うジェスチャーがPhotoshop上でも使えるようになる“かもしれない”と語った。
新しいペインティング機能の画面 | ペン先の状態が表示されている |
ペンタブレットの入力ペンを傾けると、画面上の筆および筆先のグラフィックが追従する。デモで使用したのはワコムの製品 |
写真の上にペイントを書き加えることもでき、油絵や水彩のような表現も可能としている。また、パレットの上で色を混ぜるデモも実演。会場からは驚きの声が上がった。
ほかの色に触れると絵の具のように混ざる | 実際にペイント機能で描かれたイラストの例 |
2009/12/3 19:48