ニコン、ISO102400対応のフルサイズ機「D3S」
ニコンは、ISO102400相当での撮影を実現したデジタル一眼レフカメラ「D3S」を11月27日に発売する。価格はオープンプライス。店頭予想価格は60万円前後。
プロ向けのデジタル一眼レフカメラ「D3」(2007年11月)の後継機種。高感度耐性をより高めた上で、イメージセンサークリーニング機構や動画機能などを新たに搭載。加えて操作系などをほかの現行モデルに合わせるなど、細かい改修を行なった。
引き続き35mm判相当のイメージセンサーを搭載する「ニコンFXフォーマット」を踏襲。D3Sの発売によりFXフォーマットのラインナップは、「D3X」(2008年12月発売)、「D3S」、「D700」(2008年7月発売)の3製品となる。
■ISO102400相当での撮影が可能
撮像素子はFXフォーマット(36×23.9mm)のCMOSセンサーで、総画素数1,287万、有効画素数は1,210万。D3と同じスペックだが、ニコンでは新開発のセンサーとしている。引き続き12ビットに加え、14ビットでのAD変換にも対応。
その主な強化点は高感度。D3でISO200〜6400だった常用感度を、D3SではISO200〜12800に高感度側を引き上げた。拡張感度はD3が最大ISO25600相当、D3SはISO102400相当。ニコンでは報道写真や動物写真の撮影フィールドを拡げるものとしている。
またD3Sでは撮像範囲の種別に、焦点距離約1.2倍の「1.2x」モードを追加。そのため、撮像範囲は「FXフォーマット」、「1.2×」、「DXフォーマット」、「5:4」の4種類から選べるようになった。サイズLの記録画素数は、FXフォーマットが4,256×2,832ピクセル、1.2×が3,552×2,368ピクセル、DXフォーマットが2,784×1,848ピクセル、5:4が3,552×2,832ピクセル。
■Dムービーには「高感度動画撮影モード」が
ライブビューはD3と同じく、コントラストAFの「三脚モード」と位相差AFの「手持ち撮影モード」を選べる。また、新たに「フリッカー低減」が可能になった。ライブビュー時の表示のちらつきを抑えることが可能で、50Hzと60Hzを選択できる。
動画記録機能の「Dムービー」は、D300S、D90、D5000などと同様、1,270×720ピクセル/24fps、640×424ピクセル/24fps、320×216ピクセル/24fpsでのMoiton JPEG記録が可能。連続記録時間は、1,280×720ピクセルが5分、そのほかの解像度で20分。
ただしD3Sならではの「高感度動画撮影モード」に設定すると、感度範囲が通常のISO200〜12800からISO6400〜Hi3(ISO102400相当)になる。
内蔵マイクはモノラル。外部マイク入力として、ステレオミニジャックも備えている。D300Sに引き続き、動画編集機能も備える。
■FXフォーマット初のイメージセンサークリーニング
イメージセンサークリーニングは、ローパスフィルターを4種類の周波数で振動させ、撮像素子表面のゴミを落とす仕組みだ。DXフォーマットではすべての現行機種に搭載が行き渡っており、FXフォーマットでもファインダー倍率が少ないD700で搭載済み。今回、視野率100%のファインダーを搭載したFX フォーマット機として初めて搭載された。
本体背面にLVボタンを搭載するなど、D700以来の操作系に近づいたのも特徴。撮影情報表示もD700などと同じ表示になり、撮影情報表示の状態でinfoボタンを押すことで、アクティブD-ライティングやカスタム設定切替など、特定の機能をメニューに入ること無く呼び出せる。
そのほか、ほかのニコン現行モデルに近い改修を行なっている。静音モード、アクティブD-ライティングへの「オート」の追加など。アクティブD-ライティングは最大5コマのブラケットに対応する。また、本体前面右側の10ピンターミナルは、新たにGPSユニット「GP-1」の接続に対応した。
引き続きCFダブルスロットを装備 | ステレオマイク端子も搭載 |
撮像素子ユニット | 画像処理基板 |
シャッター機構部 | マルチCAM3500FXオートフォーカスセンサーモジュール |
測光センサー | ペンタプリズム |
外装はマグネシウム合金。防塵防滴のため各部にシーリングを施している |
液晶モニター右下にLVボタンを装備 | バッテリーと充電器はD3、D3Xと共通 |
付属のストラップには機種名「D3S」のロゴが入る | シューカバー |
そのほかの主な機能はD3を継承。ファインダーは視野率約100%、倍率約0.7倍、アイポイント18mm。AFエリアフレーム付きのB型クリアマットスクリーンVIは、別売のE型方眼マットスクリーンVIと交換できる。AFは51点、うち15点がクロスセンサー。3D-トラッキングにも対応する。
最高シャッター速度は1/8,000秒。連続撮影速度はDXフォーマット時が約11コマ/秒、DXフォーマット以外で約9コマ/秒で変わりはない。
液晶モニターは3型92万ドット。本体側面にUDMA対応のCFスロットを2つ搭載する。バッテリーはEN-EL4aが付属。充電器はMH-22でD3から変わりはない。
本体は防塵防滴仕様。本体サイズは約159.5×87.5×157mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約1,240g(本体のみ)。
レンズ装着例。AF-S NIKKOR 14-24mm F2.8 G ED |
AF-S NIKKOR 24-70mm F2.8 G ED |
AF-S NIKKOR 50mm F1.4 G | Ai AF Nikkor 85mm F1.4 D(IF) |
AF-S NIKKOR 70-200mm F2.8 G ED VR II | AF-S NIKKOR 400mm F2.8 G ED VR |
AF-S NIKKOR 500mm F4 G ED VR | AF-S NIKKOR 600mm F4 G ED VR |
D3S | D3X | D3 | D700 | |||
発売時期 | 2009年11月 | 2008年12月 | 2007年11月 | 2008年7月 | ||
店頭価格 (発売時、ボディのみ) | 60万円前後 | 90万円前後 | 58万円前後 | 33万円前後 | ||
撮像素子 | フォーマット | FXフォーマット | ||||
サイズ | 36.0×23.9mm | 35.9×24mm | 36.0×23.9mm | |||
タイプ | CMOS | |||||
有効画素数 | 1,210万画素 | 2,450万画素 | 1,210万画素 | |||
最大記録画素数 (ピクセル) | FX | 4,256×2,832 | 6,048×4,032 | 4,256×2,832 | ||
DX | 2,784×1,848 | 3,968×2,640 | 2,784×1,848 | |||
ISO感度 | 常用 | ISO200〜12800 | ISO100〜1600 | ISO200〜6400 | ||
拡張 | ISO100〜102400 | ISO50〜6400 | ISO100〜25600 | |||
イメーセンサークリーニング | ○ | – | ○ | |||
ファインダー | 視野率 | 約100% | 約95% | |||
倍率 | 約0.7倍 | 約0.72倍 | ||||
アイポイント | 18mm | |||||
アイピースシャッター | 内蔵 | |||||
測距点 | 51点(クロス15点) | |||||
最大シャッター速度 | 1/8,000秒 | |||||
ストロボ同調速度 | 1/250秒以下 | |||||
シャッターユニット耐用回数 | 30万回 | 15万回 | ||||
連写速度 | FX | 約9コマ/秒 | 約5コマ/秒 | 約9コマ/秒 | 約5コマ/秒 (MB-D10併用で8コマ/秒) | |
DX | 約11コマ/秒 | 約7コマ/秒 | 約11コマ/秒 | |||
起動時間 | 約0.12秒 | |||||
レリーズタイムラグ | 約0.04秒 | |||||
液晶モニター | 3型約92万画素 | |||||
ライブビュー機能 | ○ | |||||
Dムービー | ○ | ― | ||||
内蔵ストロボ | ― | ○ | ||||
記録メディアスロット | CF×2(UDMA対応) | CF×1(UDMA対応) | ||||
インターフェース | USB 2.0、ビデオ出力、HDMI、ステレオマイク | USB 2.0、ビデオ出力、HDMI | ||||
バッテリー | EN-EL4a/EN-EL4 | EN-EL4a | EN-EL4a/EN-EL4 | EN-EL3e | ||
サイズ(幅×奥行き×高さ、mm) | 約159.5×87.5×157mm | 約147×77×123mm | ||||
重量(本体のみ) | 約1,240g | 約1,220g | 約1,240g | 約995g |
2009/10/14 12:41