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ストックフォトサービス「Adobe Stock」が本格始動

Lightroomからの直接アップロードが可能に

アドビシステムズが運営するストックフォトサービス「Adobe Stock」に、クリエイターが写真など作品をアップロードして販売できる「Adobe Stockコントリビューターサイト」が公開された。

もともとアドビは、Fotoliaと呼ばれるロイヤリティフリー素材の販売サイトを運営していた。Adobe StockはこのFotoliaとは別に提供されており、2015年6月にスタート。現在ではCreative Cloudユーザーの利用率が高いという。

コントリビューターサイトは、このAdobe Stockに対して、写真、イラスト、動画といった素材を投稿して販売できるようになるサービスだ。

素材の購入者は、登録された素材をキーワードで検索するなどして探す。購入後は商用利用を含めて活用できる。

プロ・アマ問わず誰でも投稿できるが、基本的に購入者としてはクリエーターや企業などが想定されている。投稿者にとっては、自分の作品が世界中で販売され、購入してもらえるチャンスが増えることになる。

同様のストックフォトサービスはほかにもいくつもあるが、Adobe StockはCreative Cloudとの連携が重視されている点が特徴。同社のBridge CCやLightroom CCといった製品の直近のアップデートで連携機能が搭載され、各アプリ内から簡単に投稿できる点がポイントだ。

PhotoshopやIllustratorから検索・ダウンロードが可能

Adobe Stockを利用するためには、まず会員登録が必要になる。Creative Cloud利用者であれば、Adobe IDの情報を使って登録できる。

原稿執筆時点だと、LightroomなどからアクセスできるAdobe Stockのページは英語版になっている。Webブラウザから日本語ページに直接アクセスすれば、日本語での登録が可能だ。

素材を購入する場合は、このAdobe Stockのページから検索を行うこともできる。検索時の言語は、日本語・英語のどちらも使える。

ここからがアドビらしいところだが、Photoshop CCでは「ライブラリ」パネルからAdobe Stockの素材を検索できる。

購入前でも低解像度・透かしありの素材がダウンロードでき、レイアウトに組み込むことで仕上がりを見ることが可能だ。

作品のアップロードもCreative Cloudから

作品のアップロードは、コントリビュートサイトから行う方法の他に、Lightroom CCやBridge CCからも行える。最新のアップデートを経たLightroom CCの場合、Facebookなどに画像をアップロードする「公開サービス」のひとつとして、Adobe Stockが追加される。

使い方は、他の公開サービスと変わらない。ライブラリにある画像を、ドラッグ&ドロップし、最後に「公開」ボタンを押せばいい。

アップロードできるのはJPEGは最小4MP、最大100MPの解像度の画像で、ファイルサイズは45MBまで。ベクター形式のAI/EPSファイルもアップロード可能なので、パス付きのイラストデータなども素材として販売できる。

動画は720P以上だが、推奨サイズはフルHDまたは4K。MOV/MP4/MPG/AVI形式に対応し、H.264/ProRes/PNGコーデックをサポートする。ファイルサイズは3.9GB以下。なお、縦長や正方形の動画のアップロードは「避けてください」とのことだ。

アップロードされた素材には、検索のため「タイトル」と「キーワード」が必要だ。Lightroom CCではカタログ内の画像に「タイトル」や「キーワード」を設定できるが、それがそのまま認識される。ただし、キーワードは最低5つ必要。

自動的にキーワード候補を設定してくれる機能も搭載。素材を解析し、その内容に沿ったタグが自動的に登録されるので、手間がない。同社の画像解析による成果だという。ただし1つでも手動でキーワードを設定してあると、自動キーワード機能は動作しないようだ。

Lightroomはキーワードによる管理が基本だが、Adobe Stockに関しては自動キーワードを利用して、必要に応じて修正や追加を行う方が効率的にも感じた。例えば、「キーワードを提案する」といった機能があっても良さそうだ。

キーワードに設定する言語は、日本語でも英語でも構わない。自動キーワードの場合、サイトを英語表示にしていると英語のキーワードが自動設定されるし、日本語サイトなら日本語(たまに英語も混じる)が自動設定される。

またキーワードは、自動で日英翻訳されるそうで、例えば「青空」をキーワードに設定しておけば、海外の人が「Blue Sky」と検索してもヒットする。

素材のタイトル、キーワードの設定が終わると、アドビ側の審査が行われる。モデル許諾が取得されているかどうか、商標などの侵害がないかといったチェックに加え、例えば明らかにピントが外れた写真なども除外されるという。

審査には少々時間が必要なようだ。今回は金曜日の夜に投稿したため、土日を挟んでいることもあって、どのくらいの時間が必要かどうかは分からない。この審査が通ると、実際の販売にいたる、ということになるはずだ。金額に関しては、料金の33%(写真の場合)が支払われる。

なお、サイトの説明では、支払いは7,500円以上になった場合に行われる、とされている。米国ベースのサービスのため、米国政府に最大30%の源泉徴収がされる可能性があるが、タックスフォームを登録することで免除される、ということが書かれている。米国と租税条約を締結している日本在住の日本人であれば、所定の手続きで米国の租税が免除される。

タックスフォームは「W-8 BEN」と呼ばれる書類で、Adobe Signサービス上で提示されるので、入力自体は(すべて英語で難解だが)すぐに終わる。

アドビではAdobe Stockのメリットとして、世界中のCreative Cloudユーザーに対して販売できる点と、33%という「業界最高水準のロイヤリティ」を大きなメリットとしてあげている。

継続的に売上が上がれば、利用者が求めている写真が分かってくるはず、と同社。「単に写真を撮って販売する」のではなく、「作品を自身のブランドとして販売する」ことを想定しているようだ。

一見すると敷居が高いのは確かだし、一定の販売をこなすには、継続的な作品の提供も必要になるので労力もかかるが、手続き自体の敷居は意外に低く、Creative Cloudユーザーを中心とした世界中に広がる販売網は魅力的といえる。