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トキナー新レンズシリーズ「FíRIN」のロードマップが明らかに
新機構採用のプロテクトフィルター「ZX」の詳細もあり
2016年9月30日 07:00
AFレンズもラインナップ むしろAFがメインか
フォトキナ2016の会期前、トキナー交換レンズの新シリーズとして、9月13日に発表されたFíRIN(フィリン)。第1弾はソニーEマウント(フルサイズ対応)を採用するMFレンズの「FíRIN 20mm F2 FE MF」だ。発売時期、価格ともに未定。
ロードマップによると、その20mm F2 FE MFを2017年の初めに発売。その後は大口径ワイドAFレンズ、標準ズームAFレンズなどを用意するという。
FíRINはあくまでミラーレスカメラ用の高品位な交換レンズシリーズという位置付けであり、AF/MFは問わないとのこと。参入のきっかけは高解像度ミラーレスカメラの台頭をキャッチアップすることにあり、MFによる操作性やクラシカルなスタイリングは、FíRINの主眼ではないようだ。
第1弾の20mm F2 FE MFは、トキナー初のソニーEマウントレンズでもある。
電子接点を備えており、設定距離や絞り値といった情報をカメラに伝達可能。そのため、5軸手ブレ補正やMFアシストなど、ソニー純正レンズと同じ恩恵を得られる(サードパーティ製のレンズは、基本的に3軸手ブレ補正になる)。
フォーカスリング、絞りリング、被写界深度指標を装備。フォーカスリングのなめらかな操作性にこだわったという。絞りリングにはデクリック機能もあり、動画用途にも配慮しているのがうかがえる。
レンズフードは花弁型ではなく、トキナーレンズでは珍しい角形。クラシカルな外見にあわせたものだ。
世界初の構造を採用 ZXフィルター
フォトキナ2016では、ケンコーのフィルター新製品も発表されている。
ZX(ゼクロス)という新ラインがそれ。いまのところプロテクトフィルターのみだが、いずれはNDやPLも追加される見込みだ。
このZX、特徴は独自技術「フローティングフレームシステム」を採用した初の製品であること。
基本的なフィルターの構造は、ガラスをフレームで挟み、バネやワッシャーでで留めたものになる。
一方ZXは、弾力性のある緩衝材をフレームに薄く施し、そこにガラスを置く構造。金属部品がガラス面に触れておらず、直接カシメないことから、高い面精度を確保できるとする。
そうして得られた精度が、一般的なプロテクトフィルターでありがちな、周辺部での解像低下を防いでくれるそうだ。
その他のケンコーフィルター製品の特徴でもある、ZRコート、撥水発油加工、ドライループ処理なども施されている。
ラインナップは49mm〜82mmまで。将来的には、49mmより小さい小口径タイプや、86mm、95mmといった大口径タイプもラインナップに追加するという。
価格帯は、同社の最上位ライン「Zéta Quint」と「Zéta」の中間。特に67mmから上の価格を抑えた。その理由は、フィルターの買い替えを促進するため。
というのもフィルター製品の多くは、店頭でレンズとともに購入されており、いわばレンズの新製品の需要に頼った売り方だったのだ。つまりレンズ販売の不調に引きずられると、フィルターの売上もあわせて落ちる。
そんな関係を払拭するための策として、ケンコー・トキナーでは、すでに所有しているプロテクトフィルターを買い替えてもらう戦略を打ち出す。その例として、ZXでは価格が高くなりがちな、比較的大口径のフィルターの価格を見直した。
パッケージに「4K 8K対応」を謳うのも、フィルター製品としてはいままでにない試み。
静止画を撮影するユーザーにとって、静止画より解像度が低い4Kや8Kをパッケージで保証されてもほとんど意味はない。が、購入したカメラが4K動画記録に対応している例が増えている昨今、誰もが安心して選んでもらえるよう配慮したという。
ちなみに、ケンコー・トキナーのフィルター製品のうち、プロテクトフィルターが占める割合は約8割とのこと。
プロテクトフィルターによる画質低下は、これまであまり業界で直視されていなかった。高価なレンズを守るためにも、あるいはユーザーの精神安定のためにも、ある意味見て見ぬ振りをしてきたところがある。そこにZXがどう切り込むのか注目したい。