個性を出せるイルミネーション撮影にチャンレンジ

イルミネーションの撮り方はひとつじゃない!

今回は、イルミネーションの撮影についてお話しましょう。街中や行楽地のイルミネーションと言えばクリスマスをテーマにしたものが多くありますが、最近では年末や長い所では2月のバレンタインデーの頃まで行なっている所もあり、もはや冬の風物詩となっています。ここでは、そのイルミネーションの撮影の仕方を数点のポイントを踏まえて見て行きたいと思います。

ピントはどこに?

まず、ピント位置について。

下の写真は、ピントを一番手前のトンネルの枠に合わせました。奥に行くほどボケが強くなっています。一番近い所にピントを合わせているので画としても出来上がりやすく、光のトンネルが主役として主張する写真になりました。

次は、ピントを奥の丸いドームに合わせました。トンネル内の前後とも、ボケの大きさに差はありません。光のトンネルの光源は全てボケて前ボケとなりました。

構図の中の占める割合が多いトンネルも目立ちますが、奥の丸いドームが脇役ではなくなりましたね。

今度はどこにもピントを合わせていません。マニュアルフォーカスで自分の思うままに、ボケがキレイになるところを探してシャッターを切りました。

さて、どれが正解かというと……好みでいいです! 定説通りですと、一番手前にピントを置くのが間違いはありませんし、前ボケを期待して奥の目立つ対象物にピントを合わせるのも良くある撮り方です。ですが、どこにもピントを合わせないボケを重視した撮り方はイルミネーションだからこそやりやすい撮影法です。「間違っているかも」なんて思わずに、自分がキレイだと思う表現方法を選んでシャッターを切りましょう。

逆に、いつも同じ位置にピントを合わせてしまう方は、イルミネーション撮影だからこそできる冒険として、マニュアルフォーカスでいつもとは違うピント位置に挑戦してみてください!

いつ撮る?

イルミネーションによっては、一定間隔で点滅をしたり、最近では音楽に合わせて光が華やかに変わるショーが行なわれたりします。そんなとき、ショーが終わるのを待っていてはもったいない! さまざまな色合いの写真が撮れるチャンスなのでカメラは構えたままにしましょう。

トンネルがブルーになりました。イルミネーションらしい寒色の光源は冬らしいムードを盛り上げてくれます
イルミネーションの色合いが変わるので上から消えてきました。その分奥の闇がはっきりして、しっとりとしたムードになりました
暖色系の明るいイルミネーションが一気に点灯しました。画面全体が明るくなり、華やかなイメージになりました
光源は減りましたがピンクの枠が見えるようになり、華やかからかわいらしいムードに変化しました

どこから撮る?

会場にもよりますが、イルミネーションのオブジェは360度どこからでも撮れるようになっていることが多いです。自由度が高いのは嬉しいけど、どこから撮るか迷ってしまう……そんな時は、撮りたいオブジェのイルミネーションの色に注目してみましょう。

クリスマスツリーのオブジェは、ツリー部分の緑で主に構成されています。このオブジェを引き立てるためには、背景の色は緑以外を選んだ方がいいでしょう。

そのように見てみると、背景が緑と同系色の青いものよりも、黒い背景で撮影したものの方がツリーがはっきりと描かれているのがわかります。ひとつのオブジェを目立たせたい時には有効なテクニックですので、ぜひ覚えておいてくださいね。

黒いビルを背景にすると、緑のツリーと所々ある青い球体の飾りが引き立ちました
全体にブルー色調でムードはあるのですが、ツリーは目立たなくなってしまいました

どうやって撮る?

次に、この写真を見てください。床上のイルミネーションで、鞠のようなオブジェがかわいらしいですね。ですが、中央の配線がばっちり写ってしまいました。

この配線を消すには……暗く写しましょう。

少し暗めに写してみましょう。配線も消えてムードもアップしました!

露出補正を使ってもいいですし、絞りやシャッタースピードを変えてもいいです。とにかく撮影した画面上で配線がわからなくなるくらいまで暗く写すことがポイントです。

何を撮る?

イルミネーション撮影があまり好きじゃないという方は、全体の引きの画ばかり撮っていませんか? もっと近付いて、オブジェの中から自分好みの被写体をひとつだけ見つけ出してみてください。そこにピントを合わせてシャッターを切れば、前後にある大小のイルミネーションが自然にボケて、そのひとつの被写体を際立たせてくれます!

ツリーから下がっていたオブジェのひとつ。ツリーの真下だとさまざまな角度からレンズに光が入るので、ボケは真ん丸になるとは限りません
同じ被写体を少し角度を変えてマニュアルフォーカスで撮影。記録写真ではないので撮ったものが何かは必ずしもわからなくてもいいのです

いかがでしたか? イルミネーション撮影もいろいろな撮り方を知っておくとオブジェを新しい目で見ることができるので、更に楽しく撮影することができます。後は、撮影に夢中になって風邪をひかないように防寒対策はしっかりとしてくださいね!

撮影機材:ニコンD600

(2013/12/21)
(みさき なな)東京都出身。知り合いの写真家の作品撮りにモデルとして関わったことがきっかけで写真に興味が沸き独学で写真の勉強をし、作品を持ち込んだ出版社に編集として入社。2010年独立。現在はカメラ雑誌の編集やWebでのカメラレビュー、写真講座の講師として活動中。「Pentax+」でも記事を連載。 Twitter:@cosaruruブログ:http://misakinana.com