【女性向け講座】富士フイルム LOVEPHOTO
山本彩乃先生に教わる!「風景にとけこむポートレート」編
富士フイルムイメージングシステムズが運営するXセミナーズ【LOVEPHOTO】は、同社のデジタル一眼カメラのユーザーや購入を検討している人向けの女性限定の写真講座です。
今回は、横浜・赤レンガ倉庫周辺で行われた山本彩乃先生の「風景にとけこむポートレート」セミナーをレポートします。
いろいろな視点で撮影の引き出しを増やす
山本彩乃先生の「風景にとけこむポートレート」セミナーは、風景写真の中に人物を風景に溶け込むように入れることで、ストーリーが感じられるスナップにするというもの。
今までに、大桟橋、銀座、代官山、原宿、荒川遊園、浅草で行われ、今回は赤レンガ倉庫周辺で行われました。
最初に赤レンガ倉庫内のカフェで、「風景にとけこむポートレート」を撮るコツとXシリーズのカメラの使い方について学びました。
「風景にとけこむポートレート」を撮るコツ
1)いろいろな視点で撮ってみる
「いいな!」と思う素敵な場所を見つけたら、「どこからどう撮ろうか?」と、アングル、構図、光、レンズ、カメラの設定などを考えましょう。自分が動くことで邪魔なものを画面から外したり、光の向きを順光から逆光に変えたりできます。アングルを変えることで背景が空から地面に変わったり、人物を配置する大きさで写真の主題なのか副題なのかが変わったりします。
2)ベストな1枚を撮るために粘る
ポートレート撮影と違い、風景に溶け込むような人物は思い撮りに動いてくれるとは限りません。ベストな位置やタイミングで人が来るのを待ちましょう。スナップ撮影というと、決定的瞬間のような瞬発的な写真を想像する人も多いと思いますが、待つことで生まれる決定的瞬間もあります。
3)自分の気配を消す
風景に溶け込む自然な人物を撮るには、自分の気配を消すことが大切です。バリアングル液晶を使って被写体を見ないようにして撮ったり、望遠レンズで遠くから切り取ったりするのがオススメです。
4)人物の動きを予測する
周囲の人の動きを観察して、「向こうから赤い服の人が歩いてきているから、赤を差し色に画面構成しよう」とか「ハイヒールの人が歩いてきているから、足をぶらして撮るためにシャッター速度を遅めに設定しよう」とか、人の動きを予測しながらシャッターを切りましょう。ファインダー撮影は両目を開き、利き目でファインダーを覗き構図を、もう片方の目で周囲の状況を確認すると、予測の精度が上がります。
5 ピントの合う範囲を広めに設定する
絞りを開けるとピントの合う範囲が狭くなるので、ピントが外れやすくなります。スナップ撮影では、F5.6〜F8程度まで絞った方が人物全体にピントが合いやすくなります。
6)四隅まで意識する
人の動きに集中すると、画面の四隅への意識がおろそかになりがちです。余計なものが入っていたり、中途半端な切れ方をしていたりすると、人のタイミングがベストでも残念な印象に。構図を決めるとき、シャッターを切るときは四隅を確認しましょう。
赤レンガ倉庫周辺は、冬限定の特設スケートリンクや海の見える景色、象の鼻パークなどが撮影できます。撮影エリアが広いので集合時間を決めて、それぞれで被写体を探しながら撮影することになりました。
バラバラに分かれる前に彩乃先生から参加者の方へアドバイスがありました。
「スナップ撮影の面白さは、切り取り方で見え方がガラッと変わること。壁や窓枠越しから撮ると、被写体をストレートに撮ったときよりワンクッション挟むので世界観が変わって見えます」
「今日のような曇りの日では難しいのですが、影を主役にしたり、逆光状態で人物をシルエットにしたりすると雰囲気ある写真にまとまります」
「スナップ撮影では画面に入ってくる人は選べません。頭をフル回転させ状況判断をして、最適な選択をしましょう。しかし、どんなに粘っても撮れないときは、その場所ではないんです。諦めて次の場所を探しましょう。失敗してもいいんです。挑戦することが大切です」
「スナップ撮影というとレンズの広角側というイメージがあるかもしれませんが、広角側は広い範囲が写るので余計なものが入りやすくなり画面構成が難しくなります。望遠側で遠くからそっと切り取ると画面が整理しやすいですよ」
Xセミナーの講評会は、セミナー近くのパレットプラザ55ステーションで2Lにプリントしたものを見ながら行います。
撮影した人が感想や撮影意図を発表し、別の参加者がその作品についての感想を述べ、最後に彩乃先生が講評するというスタイルで行われました。
自分の作品の感想を言うだけでなく、人の作品を見て「どう感じたか」を言葉にするのも勉強になったようです。
最後に彩乃先生にお話を伺いました。
「初めて参加していただいた方も、最初のレクチャーでお伝えした“いろいろな視点を持つこと”を実践してくれて、“視点を変えると見える世界が変わる”ことが実感できたと思います。“どう撮れば、いちばんよく見えるか”を意識するだけで、写真はどんどん上達しますよ」
「自分の撮影スタイルが決まってくると、いつも同じ撮り方ばかりになりがちです。自分のスタイルを持つことはいいことですが、今回のように別の撮り方にも挑戦してみてください。普段と違う撮り方をすることで経験値が増えて、撮影の引き出しが増えます。そして撮影の引き出しが増えれば、自分がイメージした写真に近づきやすくなるので写真がもっと楽しくなりますよ」
次回の「風景にとけこむポートレート」セミナーは、3月21日の葛西臨海水族館です。興味のある方は参加してはいかがでしょうか。