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「ファイブスターカメラ」西新宿店で聞く、いまどきの中古カメラ動向

人気はCCD時代のコンパクトデジカメ

店舗の地下1階がコンパクトカメラのフロア

スマートフォンの普及に伴い、あえてスマホではなく「カメラ」で撮りたい人が増えたと言われる昨今。“平成レトロ”のカルチャーや、高性能化で高価になっていく高級カメラといった世相を受け、街のカメラトレンドはどのような状況にあるのか。そして、中古カメラの売り買いについて知っておくと得なことは?

今回は富山県発祥のカメラ店「ファイブスターカメラ」の西新宿店を訪れ、代表の村山弘和氏、店舗統括部長の早川椋也氏に話を聞いた。

「ファイブスターカメラ」西新宿店

中古カメラ店に聞く、中古デジカメ最新動向

——直近の中古カメラ市場のトレンドを教えてください。

早川 :2000年頃に販売されたコンパクトデジカメの人気が圧倒的です。インフルエンサーやK-POPアイドルなどの影響もあり、注目されています。

このお店には海外から訪れるお客様が多いのですが、キヤノンのIXYシリーズは、海外ではIXUSやPowerShot ELPHという名前です。そこで、日本でしか買えない“IXY”というモデル名に特別さがあり、求める方が多いです。

コンパクトデジカメの中でも、500~700万画素ぐらいのCCDセンサーを搭載している機種が特に人気です。ザラッとした感じの写り方が、iPhoneでは撮れないレトロな写真だとして好まれています。とはいえ、いわゆる“Y2Kスタイル”で、スペックよりルックス重視な傾向があります。

購入機種は、SNSを見て決め打ちで買いに来られる方が多いです。うちは西新宿でCCDのコンパクトデジカメを一番多く揃えている自負がありますが、それでも人気が集中しすぎると在庫が足りなくなるほどです。

——海外からのお客さんが多いのですね。

早川 :はい。9割ぐらいは海外からというイメージです。新宿という立地もありますし、ECではeBayでの販売にも力を入れています。カメラ部門のカテゴリーグロースアワードにノミネートしていただいたこともあります。

海外向けにSNS施策も頑張っていたり、様々なプラットフォームやチャネルを通じたアプローチができていますので、海外のお客さんに選んでいただけているのは自然なことかなと思います。YouTubeを見てお越しいただく方もいらっしゃいます。

「Five Star Camera」の公式YouTubeチャンネルより

——オールドコンデジのブームによって、客層の変化もありましたか?

村山 :インバウンドは、時期によってどこの国からいらっしゃるかが変わります。国ごとのカレンダーの都合や為替の状況があるからでしょう。以前より20代の女性が増えたなと感じており、それはオールドコンデジの影響です。国内外のお客様を問わず、「わざわざカメラを買う」という方が増えました。

早川 :USBカードリーダーがあればスマートフォンにすぐ写真を転送できるので、小さなバッグに収まります。荷物にならないところも、ファッションとして受け入れられている理由の1つだと思います。

そして、スマートフォンで完結させたいニーズが幅広い世代に増えて来ているので、RAWを編集することもできますけど、やはり扱いやすい“JPEG撮って出し”で雰囲気ある写真が撮れる機種が人気になります。

代表の村山弘和氏

——新品カメラの価格上昇も、中古相場に影響を与えていますか?

村山 :間違いなくあります。新品の価格が上がるたびに、中古相場も連動して上がっていくという関係性があります。

早川 :1カ月単位で、中古価格は上がっていく一方です。当時の新品価格を超える機種も少なくありません。デジタルのリコーGRシリーズはコンパクトデジカメのカテゴリーにおいて、フィルムカメラにおけるライカのようなポジションになってくるのではないでしょうか。

——GRといえば、APS-Cセンサーを採用するより前のGR DIGITALシリーズも人気だと聞きます。

早川 :はい。CCDセンサーを搭載している旧モデルも人気です。また、充電式のバッテリー以外に単4電池で動くのもポイントですね。初代のGR DIGITALで4万円ぐらいの価格になっています。

村山 :以前は8,000~9,000円で買えていましたが、今では4倍というイメージです。売却を検討されている方には非常に良いタイミングだと思います。

店舗統括部長の早川椋也氏

——ミラーレスカメラはどうでしょう。メーカーごとに動きに違いはありますか?

村山 :価格帯でいうと、レンズ付きで5万円台後半から20万円を切るぐらいが一番よく動きます。

早川 :最新モデルが出ても「すごい性能だけど、きっと高いんでしょう」という感覚を持たれていますね。ソニーでいえばフルサイズはα7 IIIあたり、APS-Cならα6000以降であれば、どれを選んでも十分だとお勧めできます。AFも速いですし。

村山 :キヤノンは人気なので、需要と供給のバランスを最も読みにくいブランドでもあります。需要が高ければ皆さんも手放さないので市場に出回らない。しかし需要が下がってくると手放す方が増えて、供給が多くなりすぎてしまう。ユーザーが多いだけに、その振れ幅が大きいです。

早川 :初めてカメラを買う方で、コンパクトカメラではなくレンズ交換式を求める場合には、キヤノンEOS Kissシリーズのダブルズームキットをお勧めします。ミラーレスであればEOS R50ですとか、ああいった機種には安定感がありますね。

村山 :一眼レフカメラの時代からずっとそうでしたが、キヤノンのエントリー機のレンズキットが1番売れるという状況が、今も続いています。ハイエンド機はソニーα7シリーズの1強ですが、EOS R5/R6系が進化を続ければ、いずれ逆転するのではないでしょうか。

ニコンを好きな方はこだわりが強いので、そのこだわりに響く製品が出れば、他社からの総取っ替えも辞さないと思います。1番よく問い合わせがあるのはZfで、ZR、Z8も人気です。APS-C機というより、しっかりスペックの充実したフルサイズ機をお求めになる方が多いですね。その代わり、ライト層がいない印象です。メーカーのこだわりを感じる製品がフルサイズに多く見えるのも、その理由かもしれません。

早川 :富士フイルムのミラーレスは、生産完了になると中古価格が上がる、という現象が例外なく起きています。

村山 :例えばX-Trans CMOSセンサーではないX-A1も、4~5万円ぐらいの価格です。富士フイルムのカメラには「フィルムっぽく撮りたいから富士フイルムを買う」という流れができており、各種SNSを通じたメーカーの販売戦略も功を奏しているかなと感じます。

やはり人気といえばレンズ一体型のX100シリーズで、初代でも8~9万円ぐらいします。あのスタイリングやファッション性はとても好まれています。

早川 :フィルムシミュレーションが多彩で、カスタムした内容を多く保存できるというのも、X100 VIの人気が理解できるポイントです。

村山 :富士フイルムなら、防水モデルのFinePix Z33WPも人気です。水に潜れますし、普通に使っても少しフワッとした写りが得られます。防水カメラの中ではオリンパスのTGシリーズが根強い人気です。

——では、デジタル一眼レフカメラはどうでしょう? プロ御用達のキヤノンEOS 5Dシリーズが驚くほど安くなっている印象です。

村山 :デジタル一眼レフカメラは逆風です。昔からカメラを触っている方には、買い時は「今」だと言えます。EOS 5DのMark III以降とか、ニコンであればD800系は、現場でガシガシ使われることが多かったモデルなので、綺麗な個体は希少です。それだけ、販売価格に幅が出ています。

D800でいえば、販売価格は5万円を切るぐらいから8万5,000円ぐらいまで幅広いです。こうした個体は「綺麗なものをキープしておきたい人」に好まれます。

プロのサブ機としても人気があったAPS-CのD300Sは、私の知る範囲でも新品を予備として数台ストックしている人がいます。ですから、売却を検討されている方は、もし状態が良いものをお持ちでしたら値段がつきやすいと思います。キヤノンであればEOS 5D系、ニコンならD800系やD7000系です。

お店での「体験」を重んじる接客スタイル

——店頭での接客では、どんなことを大事にしていますか?

早川 :カメラを売ること自体よりも「体験」にフォーカスしている部分が、他店にない接客だと1番自信を持っているところです。

購入されるカメラの価格が2万円でも100万円でも、分け隔てることはありません。ちょっと試すだけ、ちょっと見るだけで全然構いません。安心、安全、満足を届けるべく、すべてカメラを試していただけます。

フィルムカメラであれば動作確認用のテストフィルムで36枚シャッターが切れることを確かめてもらえますし、デジタルカメラであればスタッフが付き添って店外で試し撮りしてもらって、スマートフォンに転送して写りを確認してもらうところまでサービスしています。古い機種だと液晶パネルが黄変して、見えている色と撮れている色に乖離がありますから、その不安を解消するサポートです。

早川 :外国人の方であれば、まず日本に来てもらった上で、さらにここを目指して立ち寄っていただくのですから、店に来られたらまずは「ウェルカム!」と声を掛けることも欠かしません。挨拶は今すぐにできることでありながら、されて嫌な人はいないと思います。

店頭にはプロカメラマンがいたり、スタッフも日本人だけではありません。セールススタッフは最低限として英語、それ以外の外国語に対応できる者も在籍しています。

村山 :新宿店のスタッフは平均年齢20代中盤~後半ぐらいです。これだけ若い人が多くて活気がある店舗は珍しいです。

これは私の経験も含むのですが、初心者で何も知らないけれど「カメラを始めたい」と思った時に、こと中古品に関しては、お店で丁寧に教えてもらった経験がなかったのです。

昨今の日本人のマインドとしては「コスパ良く、タイパ良く、失敗しない」が大きいですから、「お客さんが自分で勉強するもの」といった一昔前の感覚のままでは今後難しいだろうなと感じています。それでカメラ市場が縮小していってしまうのは寂しいので、業界を盛り上げる一助になればと、こうして営業活動を頑張っています。

あとフィルム時代は「失敗してナンボ」な部分がありましたよね。失敗してもいい、ということもカメラを通じてもっと広めていきたいです。

2階にはフィルムカメラやデジタルカメラなど、幅広い機種が並ぶ

早川 :これからのカメラ界隈のトレンドとしては、2000年頃のコンパクトデジタルカメラやオールドレンズ、ビンテージと呼ばれるような古いものと、令和の新しさが融合してさらに盛り上がってくると思います。

カメラの選択肢はたくさんあるので、無理して高いカメラを買う必要もありません。古いフィルムカメラでもちゃんと撮れます。それで撮った写真をInstagramのような今どきなSNSにアップして、人々から反応をもらったりするのは、まさにオールドなものと新しいものの融合ですよね。

もちろん最終的に(自身の愛機でもある)ライカM6とか高級なカメラに辿り着くのは良いと思うんです。でも、最初から50万円も60万円もするカメラを買う必要はなくて。2~3万円ぐらいのコンパクトカメラから始めて、楽しければ徐々にグレードを上げていくとか。カメラは何を使っても、全ての経験が思い出や写真として残るので、良い部分がたくさんあると思います。

——常連さんにステップアップというか「次のカメラ選び」をアドバイスすることもありますか?

早川 :はい、積極的にしています。1台目としてコンパクトデジカメを買ってくださった方に「そろそろグレードを上げたい」と相談されたら、少し踏み込んでセンサーサイズの説明をしたり、露出設定やフラッシュの使い方を伝えます。一気に学ぶのは難しいので、初めての方が1台目を買われるときにはそこまで詳しい話はしません。

そして少しずつ自分で使いこなせるようになると、(オールドコンデジを扱う)地下1階のフロアから(高級カメラも並ぶ)2階に上がってきてもらえます。そんな流れを作っていけるといいなと思っています。

——それは、お店のファンを増やすことにも繋がりますね。

早川 ファイブスターカメラの公式Instagramを見ていただくとわかりますが、カメラを買ってくださったお客様の写真を撮って、それをお客様にプレゼントしているんです。プロカメラマンが撮影しますが、もちろん無料です。そしてお客様がよろしければ、Instagramに投稿させてもらっています。

カメラ店で扱う商品というのは、単価だけ見れば高級ブランドの店舗にあるものと変わらないんですよね。50万円、100万円クラスのものがあり、時には300万円以上のものもある。となれば、それなりの接客をしなければいけないと思います。

かといって10万円のものだからと、ポンと渡して「ありがとうございました」では物足りないと思います。価格の問題ではないので、ちゃんとスタッフみんなで挨拶して送り出すとか、そういった体験に繋がる接客については本当に力を入れています。

——そういった着想はどこから来ているのですか?

早川 :もともとうちは飲食業からスタートしているので、飲食店での接客経験があるんです。僕自身、今も同時進行でカレー屋さんに携わっています。その感覚をカメラ店に落とし込むことで、他にはないエッセンスが入っていると思います。

そうすると、お客様が入店されたときに「いらっしゃいませ!」と元気よく声を掛けるのは、当たり前の感覚なんです。こうした挨拶をするデメリットが思い当たらないので続けています。最初にお伝えしたように、“体験を売る”というのがお店の軸ですから、するとお客さんに笑顔になっていただくことが第一条件ですよね。そのためには、こうした思考になってきます。

カメラ売り買いのコツは? とにかくお店に頼ってみよう

——カメラの買い方について、専門店ならではのアドバイスはありますか?

早川 :僕は個人売買はお勧めしません。なるべく店舗で実機を触っていただくほうが良いです。うちでは各商品にコンディションを細かく記載していて、例えばレンズのクモリが気になれば、ライトを当ててチェックしてもらえます。

ネットの個人売買では文字でしかわからず、書いてあるかどうかも人に寄ります。店舗に来ていただいた方がわかりやすいですね。ここでいろいろ見ていただければ、それ自体が今後、商品のコンディションを見る知見になります。

商品の状態が細かく記載されている

——「個人売買で痛い目を見た」というお客さんも来ますか?

早川 :たくさんいらっしゃいます。結局、個人売買だと商品のコンディションに関する記載が足りないんですよね。外観だけピカピカにして「電源入ります。動作確認済みです」と書いてあったら、仮に返品できないとわかっていても、安ければポチッとしてしまう気持ちは理解できます。

でも、カメラ本体が安く手に入ったところで、バッテリーや充電器がなければ自分で探さなければいけない。そうなると、タイパ、コスパを考えたら最初からお店で買うほうが良いと思います。うちでは、そのカメラで使える充電器、バッテリー、ストラップが全て付属しますし、3万円以上の購入なら保証も付きます。

基本的に純正バッテリーがあればそれをお付けしますし、なければ社外品を調達してセットしています。乾電池で動作するカメラでは電池が別売になりますが。記録メディアも、オールドコンデジ向けに小さな容量のものを揃えています。CF、SD、xD、各種メモリーカードの変換アダプターなどもあります。

とにかく、何も考えずにお越しいただければ、全てご説明させていただきます。お客様の反応を見て「ここまでの説明にとどめたほうが良いな」と思えば、必要以上に説明することもありません。この感覚は全スタッフと共有しています。ライトユーザーからマニアまで、どんな方にもご対応できるようにというのを心掛けています。

お店のGoogleレビューが現在4.7点なのですが、それを見ていただいても雰囲気が伝わるかと思います。レビュー以外にも口コミが強くて、それを参考にパリからお越しくださった外国人の方もいます。

——今持っているカメラを、少しでも高く買い取ってもらうためのコツはありますか?

早川 :まずはお持ちいただければ査定できますので、カメラを売ることにハードルを高く感じないでほしいです。大事なのは、箱や純正ストラップなど、付属品が揃っていることですね。

村山 :予備のバッテリーがあればそれもプラス要素になります。なるべく付属品と一緒にお持ちいただく方が買い取り金額は上がります。

店内にも製品箱が並んでいる

カメラを綺麗にしていただいてからお持ちいただくのもプラス要素になります。次のお客様に届けるまでに万全の状態にしたいので、うちでもクリーニングはしますが、先に綺麗にしてからお持ちいただければその手間を省けます。あとは、一度にたくさん持ってきてもらったほうがオマケしやすいですね。

早川 :お客さんが30分なり1時間を掛けて、セルフでクリーニングしていただいた時間というのは、こちらが買い取り金額として還元できます。

——「LINE査定」を大きく打ち出されていますが、簡単な流れと、利用者の反響を教えてください。

村山 :機材の写真を撮って、売りたいという旨を書き添えてLINEで送っていただくだけです。最短なら2~3分で概算が出ることもあります。よほどのことがなければ、そこから減額はありません。その後、こちらから発送用の段ボールなど一式をお送りしますので、機材を入れてご返送ください。

LINE査定の案内をデジカメ Watchのトップページに掲載中

早川 :やはり「LINEだからラク」というハードルの低さが大きいです。皆さん日頃から使っているツールですから、その延長線上でお店を身近に感じてもらえます。

村山 :このお店の近くにお住まいなのにLINEしちゃう、という方もおられます。それでもうちとしては嬉しいので、どんどんLINE宛にご連絡いただきたいです。もちろん査定だけでも構いません。

あと喜びの声としてよく聞くのは、「古い機材を高く買ってもらえた」ということですね。フィルムカメラなど、お店によっては査定金額が相場とあまりにもかけ離れているなと感じることもあります。フィルムカメラ全般の高価買い取りには自信があります。

早川 :他で値段がつかなかったものや、査定価格が低かったものなど、うちにご相談いただければ相場を考慮して金額をご提案させていただきます。とにかくうちに来ていただければ……それに尽きます。

LINEに関しては「カメラの使い方がわからない」「どうやったら上手く撮れますか?」とか、そんなメッセージでも結構です。とにかくうちはハードルが高くないので、何も気にせず連絡ください!

ライター。本誌編集記者として14年勤務し独立。趣味はドラム/ギターの演奏とドライブ。日本カメラ財団「日本の歴史的カメラ」審査委員。YouTubeチャンネル「鈴木誠のカメラ自由研究