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【CP+2026】未発売のツァイス/フォクトレンダー新レンズを試せるコシナブース。参考出品のレンズもハンズオン

コシナブースでは、CP+2026の直前に発売発表されたカールツァイス最高峰レンズ「ZEISS Otus ML 1.4/35」、フォクトレンダーの高性能パンケーキレンズ「SEPTON 40mm F2 Aspherical」の実機をはじめ、複数の参考出品レンズが用意されていた。参考出品のレンズも含め、全てブース内のタッチ&トライコーナーや説明カウンターで実物を試せる。

コシナブース

ZEISS Otus ML 1.4/35(2026年4月発売)

2025年に11年ぶりに復活した「Otus」(オータス)シリーズ。ZEISSレンズの最高峰として君臨するOtusが、ミラーレスカメラ用の「Otus ML」に進化したことは既に有名だ。

今回の35mm F1.4は、既存の50mm F1.4と85mm F1.4に加わる3本目。一眼レフのOtusには35mmがなく、ユーザーから「なぜ35mmがないのか?」という声が多かったのだという。ただ当時は同じMFレンズの「Milvus」(ミルバス)シリーズに35mm F1.4が存在し、すでに大柄だったことから、あえてOtusには35mmを用意しなかったとのこと。

しかし、10年間で硝材が進化したため構成枚数を抑えられるようになったことや、性能向上のハードルとなっていた一眼レフのミラーボックスが排除されたことにより事情が変わった。解像性能や色再現性、コーティングによるフレアの抑制度合いなど、従来通りの“Otus規格”を満たしながらコンパクト化を実現し、販売価格も抑えられている。小型化して価格も抑えられていることから“Otusの廉価版”と見る向きもあるが、実際は上記の通り、最高峰のOtusであることに変わりはないという。

3本が揃い、気になるのは更なるラインナップ拡充。聞けば「短いペースでラインナップを増やせるレンズではないが、引き続き拡充していきたいと考えている」とのことだ。まずはOtus MLの真価を確かめつつ、今後の展開にも期待したい。

SEPTON 40mm F2 Aspherical E-mount / SEPTON 40mm F2 Aspherical Z-mount(2026年3月〜4月発売)

SEPTON 40mm F2 Aspherical E-mount

ソニーEマウント用で全長が30mmというコンパクトさが魅力のパンケーキレンズ。フォクトレンダーが1960年代に送り出したレンズの名前から「SEPTON」(セプトン)と名付けられた。コシナ製のフォクトレンダーでセプトンの名を冠するのは本レンズが初。

SEPTON 40mm F2 Aspherical E-mount

セプトンはラテン語で“7”を意味する言葉が由来になっており、レンズが7枚構成であることを表現している。1960年代に6枚構成のウルトロンタイプに1枚を追加し、より高性能なレンズとしたことを示すべく、7枚構成の“7”を感じさせるセプトンと命名された。

1960年代当時は少ない枚数で性能を高めることがセオリーだったため、枚数を増やして高性能を目指すのは逆転の発想だったという。現在のように高速なコンピューターベースの光学設計が行われていないため、レンズの面数(枚数)を増やすことは光線追跡の計算量が増え、設計の負担を大きく増やした。ただ、現在ではアポランターなど10枚以上の構成枚数を持つレンズも少なくないため、同じ“7枚構成”に異なる美学を宿したのが令和のセプトンだ。

具体的には対称形のオルソメタータイプをベースにレンズを1枚を加え、明るさの維持と収差補正を図った。オルソメタータイプに期待される特性は、歪曲が少ないことと、全長を抑えられること。ただ、弱点がレンズを明るくしづらいことだった。追加の1枚により、「明るくコンパクト」なパンケーキレンズに仕上がった。描写傾向は忠実再現に向き、特に前ボケが綺麗なため、それを生かすような撮影を試してほしいという。40mmという焦点距離はスナップにも好適だ。セプトン銘のレンズが今後も拡充されるかどうかは反響次第だとしている。

鏡筒デザインはフォーカスリングの操作性に重きを置き、薄いレンズの中に幅広のピントリングを配置。絞りリングには切り欠きを設ける工夫で使いやすさを担保した。レンズフードはレンズ本体と同サイズのフィルターやレンズキャップが付けられる構造とした。複雑な形状だが、金属の削り出しで成形し、内側には塗装で反射防止加工を施した。

付属のレンズフード。フジツボフードの前側にフィルターネジを備えたイメージ
SEPTON 40mm F2 Aspherical E-mount。フードを装着

なお、ニコンZマウント用はマウント径に合わせて鏡筒のサイズも太い。デモ機として用意されていたニコンZfに組み合わせると、見た目のサイズバランスが良好な印象を得た。

SEPTON 40mm F2 Aspherical Z-mount
ニコンZfに装着
内容としては同じレンズだが、手前のEマウント用とは全く別のレンズに見えるほどデザインを変えている

APO-SKOPAR 75mm F2.8 VM-mount(参考出品)

ライカMマウント互換のVMマウントを採用する距離計連動レンズ。軸上色収差を限りなくゼロに近づけるアポクロマート設計を採用し、かつ全長44mmに抑えているのが特徴だ。

全長を抑えているのは、レンジファインダーカメラでの使用を意識しているため。鏡筒サイズと描写性能のバランスを意識しつつ、75mmの枠がケラレないサイズ感にまとめた。実物を手にした印象は、ライカ用の50mm F2レンズを連想するサイズ感だった。フィルター径は43mm、最短撮影距離は0.7m。重量は191g。

特にレンジファインダーカメラにおける望遠系レンズは、人気の広角〜標準系に比べて全長が長めのため、目的がなければ持ち出しづらいイメージがあるとして小型化に注力した。

アポスコパーという名前の由来は、開放F値の違いだけではなく、性能面でも「アポランター」とは異なるという点を明示している。アポランターはフォクトレンダー最高性能を標榜するレンズの名前で、コシナ社内の“アポランター基準”を満たすことが条件とされている。本レンズは全体繰り出しを採用しているため、撮影距離によってはアポランターと呼べる性能が出るものの、距離によっては収差変動でアポランター基準に満たない部分もあるとのことで、アポスコパーという名称に抑えたとのこと。

レンズフードを装着

APO-LANTHAR 90mm F4 Close focus VM-mount(参考出品)

アポランターの基準を満たした中望遠レンズ。90mmでありながら全長55mmとコンパクトで、こちらもファインダーのケラレに配慮している。最短撮影距離は0.5mで、距離計連動範囲との分岐点である0.7mにはクリックを設けた。フィルター径は43mm。重量は235g。

本レンズは、解像力や収差補正が距離全域で高いレベルにあるため、コシナの定義するアポランター基準を満たしている。もうひとつの見どころはレンズフードの形状だ。全長を抑えつつ、効果的に余分な光をカットする形状を考案。かつ、レンズ本体に溶け込むようなデザインとした。

マウントアダプター経由でニコンZfに装着

NOKTON classic 35mm F1.4 Z-mount / NOKTON classic 35mm F1.4 RF-mount(参考出品)

左がZマウント用、右がRFマウント用

光学設計はVMマウントやEマウントで発売済みの「NOKTON classic 35mm F1.4」をベースに、ニコンZマウントおよびキヤノンRFマウントに最適化。NOKTON classic 35mm F1.4はクラシックレンズの味わいを最新の光学技術で磨き上げ、現代に蘇らせたという出自のあるレンズだ。VMマウントのNOKTON classic 35mm F1.4(現行モデルはII型)に安定した人気があるため、マウント追加を検討している。

VMマウント版をマウントアダプターで各種ミラーレスカメラに取り付ける手段もあるが、やはりネイティブマウントならではの使い勝手(カメラとの情報通信を活用した各種機能)を提供したいとの考え。

NOKTON classic 35mm F1.4 Z-mount

見どころは、Zマウント用とRFマウント用ではレンズのデザインだけでなく大きさも異なるところ。これは「ボディとレンズがデザイン的に馴染むことが大事」との考えから、ニコンZとキヤノンEOS Rシリーズ、それぞれのボディのスタイリングを参考にデザイン的なマッチングを検討した。

Zマウント用は当初、古いニッコールレンズの雰囲気を意識したクラシック風の鏡筒デザインだったが、市場の反響などを踏まえてテイストを変更。ピントリングのローレット形状は往年のMFニッコールの雰囲気を残しつつ、トータルバランスで現行Zボディに馴染むことを目指した新デザインに移行している。

NOKTON classic 35mm F1.4 Z-mountをニコンZfに装着

いっぽうキヤノンRFマウント用は、EOS Rシリーズの丸みを帯びたボディにマッチするように検討。当初は曲線的なスタイリングも候補だったが、主張を抑えた鏡筒デザインのほうがカメラが映えるとの判断から、要素を減らしたシンプルなものとした。それでも、精緻な金属加工による綾目ローレットをピントリングに施すことで、コシナレンズらしい“モノ”としての魅力を主張している。

NOKTON classic 35mm F1.4 RF-mount

UV Filter(参考出品)

UV吸収ガラスを使用し、410nm以下の波長を吸収するカットフィルター。サイズとカラーは、34mm、39mm、43mm、46mm、49mm、52mm、55mm、58mm(ここまでシルバーとブラックの2種類)、62mm、67mm、72mm、77mm、82mm(62mm以上はブラックのみ)。

本フィルターは、コシナレンズに最適なフィルターとして企画。注目は、枠の部分をフォクトレンダーの交換レンズにマッチした仕上げとしている点。ブースにあったシルバー、ブラックのレンズに組み合わせてみると、ローレットの形状が同じだったこともあり、レンズの一部のように馴染んでいた。レンズと同じ材質に同じ加工を施しているため、ここまで質感が近いのだという。そもそもシルバーのフィルター枠は選択肢が少ないため、スタイリング的にも嬉しい存在となりそうだ。撥水・撥油コーティングを施し、片面反射率も0.2%と抑えられている。

シルバーのレンズに、シルバー枠のUVフィルターを装着
ブラックのレンズに、ブラック枠のUVフィルターを装着

コシナ曰く、紫外側の波長をどこまで取り入れるかはカメラ(のイメージセンサー部に備わるUVカットフィルターの特性)によって異なり、紫外域に感度を持つ場合は色被りとなって写真に現れるのだという。特に山や景色を撮影したときに目立つそうだ。その色被りが、このUVフィルターの装着により除去できるという仕組み。

日本では保護フィルターがポピュラーだが、海外ではUVフィルターが保護フィルターのように馴染みのある存在と言われており、本フィルターも保護フィルターとして使用可能。光学ガラスを使っていることと、波長のカットがシャープであることが理由だ。

双眼鏡「MOD. VIENNA Binoculars」(クラウドファンディング)

MOD. VIENNA 8×25 APO

フォクトレンダー270周年記念として企画された双眼鏡。製造はコシナではないが、ヨーロッパでフォクトレンダーブランドを展開するドイツのリングフォトが企画した。8×25、10×25、8×32、10×32、8×42、10×42の6モデルがあり、価格帯は有効径によって6万9,000円〜15万4,000円の幅がある。

ミドルエンドのフィールド双眼鏡で、長いアイポイントと広い見かけ視野を特徴としている。製品名のMOD.はモデルの意味、VIENNAはフォクトレンダーの創業地ウィーンを示している。本体はマグネシウム製。

アイピースを回転させると、段階的なクリックとともに繰り出す

本体には“APO”の文字が入る、これまで25年にわたりコシナがフォクトレンダーブランドのレンズを手がけており、その品質のイメージに合ったものとして、アポクロマート補正の光学系を採用したという。見かけ視界が60度付近となっていることから「広視界」と呼ばれるスペックで、双眼鏡市場では“ミドルエンドのクラス内で高性能”という位置付けになるそうだ。

フォクトレンダーブランドにおいて双眼鏡の発売は初めて。フォクトレンダーの歴史において「オペラグラスを世に広めた」と言われていたこと、ヨーロッパではバードウォッチングなどで双眼鏡の需要が高いことなどから双眼鏡を企画。高品質と普遍的な美しさを兼ね備えた製品とした。ヨーロッパでは通常販売される製品だが、日本では販路の都合から2月26日よりクラウドファンディングの「GREEN FUNDING」で支援を募っている。

双眼鏡はカタログスペックより実際に覗いたほうが違いがわかりやすいとのことで、全モデルが揃っているCP+2026のコシナブースは実機を試すチャンスだ。

実機体験はカウンターでも

コシナブースでは、参考出品も含めたレンズを実際に手に取って試すことができる。持参したカメラに取り付けて持ち心地をチェックすることも可能だ。タッチアンドトライコーナーに並んでいないレンズも、説明カウンターに揃っている。せっかくのCP+、ぜひスタッフに声を掛けてみてほしい。

カウンターにデモ用のレンズを多数用意している
発売前のレンズもじっくりチェックできる
収差コントロールリングの効果を試したい「PORTRAIT HELIAR 75mm F1.8」は、タッチアンドトライコーナーに常設
タッチアンドトライコーナーの竹のオブジェは、何層もの奥行きが生まれるデザイン。一見、和の雰囲気を醸し出すだけのようだが、実はレンズの特性を確かめやすいように考えられた造形だ

ライター。本誌編集記者として14年勤務し独立。趣味はドラム/ギターの演奏とドライブ。日本カメラ財団「日本の歴史的カメラ」審査委員。YouTubeチャンネル「鈴木誠のカメラ自由研究