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最新の“ズームヨンニッパ”で飛行機撮影に挑む

OM SYSTEM M.ZUIKO DIGITAL ED 50-200mm F2.8 IS PRO

晴天の出雲空港。日の光を受け、まるで宝石のようにきらめく湖面を、開放F2.8の描写力を生かして繊細なボケとして取り込む。柔らかなボケ味と精緻な描写が見事に調和し、理想的な結果を生み出した
OM SYSTEM OM-1 Mark II/73mm(146mm相当)/マニュアル露出(F2.8、1/2,500秒)/ISO 80/WB:オート/出雲空港

35mm判換算で100-400mm相当をズーム全域F2.8でカバーする革新の超望遠レンズが登場。PROシリーズならではの高い解像力を誇り、このスペックでありながら、質量は1kgほどと驚きの軽さを実現しています。まさに飛行機撮影にぴったりと言える本レンズの実力を、航空写真家の三島健太郎さんにレポートしてもらいました。

三島健太郎

1999年4月25日島根県生まれ。物心付いてから乗った飛行機に魂の震えを覚え、そこから観賞、記録、そして表現の世界へと歩みを進める。現在は「JETSPIRITS」を創作テーマに、ファインアートとしての航空写真を追求する。

※本企画は『デジタルカメラマガジン2025年11月号』より転載・加筆したものです。

飛行機を美しく描く革新の超望遠ズーム

飛行機撮影では望遠域を使うことが多く、100~400mm相当を1本でカバーできるので相性は抜群。さらに全域を開放F2.8でカバーできるので、シャッター速度にも余裕ができる。気になる描写力は、開放絞りから隅々までしっかりと描いてくれるので、解像力を上げるために無理に絞り込む必要がない。

テレコン装着時でも画質やAF性能の低下はほとんどなく、未使用時と同じ感覚で撮影できる。今回もさまざまな画作りに挑戦したが、その軽さと相まって1本でこれだけの表現ができるレンズはほかに類を見ない。ぜひ多くのユーザーに使ってほしい。

M.ZUIKO DIGITAL ED 50-200mm F2.8 IS PRO
発売日:2025年9月27日
実勢価格:46万円前後(税込)

●SPECIFICATION
レンズ構成:13群21枚
絞り羽根枚数:9枚
最小絞り:F22
最短撮影距離:0.78m
最大撮影倍率:0.25倍(200mm時)
フィルター径:φ77mm
外形寸法(最大径×全長):約91.4×225.8mm
質量:約1,075g(三脚座別)

POINT 01|美しいボケ味で画面に奥行きを与える【出雲空港】

午後の出雲空港に現れた、緑のFDA機。このレンズの真骨頂は、開放F2.8で手前の芝を美しい前ボケとし、画面に奥行きを与えつつ被写体を際立たせられること。開放ながらも機体の細かなパーツまで精緻に描き出す解像力は特筆すべき点だ。

さらに、F2.8の明るさは、撮影の大敵であるフェンス越しの撮影も可能にする。実際、この1枚もフェンス越しだが、身軽にアングルのバリエーションを増やせることも大きなアドバンテージだ。

OM SYSTEM OM-1 Mark II/171mm(342mm相当)/マニュアル露出(F2.8、1/2,500秒)/ISO 100/WB:オート

POINT 02|テレコンによる超望遠で大迫力の一瞬を狙う【伊丹空港】

夕暮れの伊丹空港。雨雲の奥で、幻想的な雲が夕焼け色に染まる光景を背に、力強く駆け上がるE170。その交差するわずかな一瞬を、テレコンバーターMC-20を装着し、656mm相当という超望遠で狙った。

シビアな動体追従が求められるシーンだが、テレコンバーターを装着していてもAF性能の低下はほとんど感じられず、被写体を逃すことなく鮮明に切り取ってくれた。この超望遠域での信頼性が、新たな撮影の可能性を示してくれる。

OM SYSTEM OM-1 Mark II/328mm(656mm相当)/マニュアル露出(F8、1/500秒)/ISO 800/WB:オート
M.ZUIKO DIGITAL 2x Teleconverter MC-20
実勢価格:4万4,000円前後(税込)

1.4倍のテレコンバーターを装着すれば560mm F4.0相当(MC-14装着時)、2倍で800mm F5.6相当(MC-20装着時)となり、より幅広い画作りが楽しめる

POINT 03|広大な風景を隅々まで精緻に描写する【伊丹空港】

南の空に湧き立つ巨大な入道雲を背に、伊丹空港からE190が離陸する。このドラマチックな情景をワイド側の152mm相当で捉えたが、開放時と絞り込み時の解像感のギャップは少なかった。

F2.8の開放描写の美しさはもちろんだが、絞り込んで写す広大な風景シーンにおいても、機体や風景の隅々までが精緻に描写される。遠くを飛ぶ機体でもカメラのAI被写体認識AF(飛行機)との相性が良く、一瞬たりとも逃さず確実に捉えられた。

OM SYSTEM OM-1 Mark II/76mm(152mm相当)/マニュアル露出(F8、1/1,250秒)/ISO 400/WB:オート

POINT 04|強力な手ブレ補正で夜間でも手持ちで挑む【出雲空港】

雨の出雲空港。直前の土砂降りが残した雨粒で、美しく輝くB767を、2倍のテレコンを付けて684mm相当の超望遠で狙った。その上、シャッター速度1/13秒という低速で手持ち撮影に挑んだが、機体はぶれることなく、驚くほど精細に描写されていた。

これは、400mm相当で最大7.0段という圧倒的な補正効果を発揮する、レンズとカメラの5軸シンクロ手ぶれ補正のたまものであり、夜間の超望遠手持ち撮影という新境地を切り開く革新である。

OM SYSTEM OM-1 Mark II/342mm(684mm相当)/マニュアル露出(F5.6、1/13秒)/ISO 6400/WB:オート
三島健太郎