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【COSINA Otus ML WORLD】山本春花×ZEISS Otus ML 1.4/85
モデルに“存在感”をもたらす圧倒的な描写力
- 提供:
- 株式会社コシナ
2025年9月25日 07:00
11年の時を経て“復活”したZEISSブランドの「Otus ML 1.4/85」。このページでは、月刊誌「デジタルカメラマガジン」で同レンズのインプレッションを担当した山本春花さんに、レンズを使用した感想をインタビューしました。(編集部)

東京都生まれ。フリーランスフォトグラファーとして雑誌、CDジャケット、広告の撮影などで幅広く活動中。2014年よりブログで女性モデルを被写体としたポートレートシリーズ「乙女グラフィー」の連載を開始。若い女性に対するコンプレックスの解消や自らの「老い」に向き合うことをテーマとしており、同年開催されたアートフェア「台湾フォト」に出展。2018年8月に『乙女グラフィー』(スタンダーズ)、2023年4月に『乙女グラフィー2』(メタ・ブレーン)、2025年4月に『MY LOVE is COOL 』を上梓
※このページは『デジタルカメラマガジン2025年10月号』との連動企画です。
“ミラーレス版”で何が変わった?
——山本さんは、Otus ML 1.4/85のいわゆる一眼レフカメラ版となる「Otus 1.4/85」の使用歴もあると伺いました。その時の印象で覚えていることはありますか?
やはり圧倒的に描写力が優れていて、奥行き感や、被写体の存在感が際立つレンズだなと思っていました。例えばポートレートを撮影しても、本当にそこにモデルがいるかのような立体感であったり、オーラが感じられるくらいの存在感まで描写できたような気がして、感動したことを覚えています。
——その時の感覚が残っている中で、ミラーレスカメラ版として登場した「Otus ML 1.4/85」について、変わった点や変わらない点をどう感じましたか?
やはり描写力の高さというのは、まず第一に変わらず感じた部分です。
そのなかで、“発色の良さ”というのは前のモデルより向上していると感じました。それは派手に写るということではなく、リアルな発色で被写体の色味を忠実に再現しているという意味です。
今回の撮影ではモデルに赤い服を着てもらったのですが、その赤色の発色であったり、肌の色であったりと、自分の目で見た印象と非常に近しい描写が得られました。“リアルに近い発色”だなというのが感想です。
優れた重量バランス
——「Otus ML 1.4/85」を手に持ってみた時、第一印象はいかがでしたか?
やはりどうしても重さは感じますね。しかし鏡筒の金属感がダイレクトに伝わってくることで、このレンズの特別感であったり高級感というものも感じることができるなと思いました。手で触った感触から「これはいいレンズだな」というのが伝わってきます。
——実際に撮影しているときは、その重さが撮影に影響を与えることはありましたか?
実際に撮影しているときには、重さはあまり気にならなかったです。
MFレンズなのでフォーカスリングを操作するわけですが、レンズの重量のおかげで動作が安定しているという感覚がありました。重いから撮影しづらいということはなく、リングの操作とレンズの重量のバランスが非常に良いのだろうなと思います。
——「Otus ML 1.4/85」はMFレンズですが、ポートレートを撮影するうえでその操作感などいかがでしたか?
ピントについては、カメラのピーキング機能と拡大表示機能を使って合わせました。それらの機能が優秀ということもありますが、ピントの山が非常につかみやすくて、AFレンズを使っているときと同じように普段通りの写真が撮れました。それは自分にとって驚いた点でもあります。
MFレンズの考え方
——今回の撮影で1番意識したポイントは何ですか?
例えば動きがあるようなシーンに関しては、置きピンで撮影しています。モデルがそこに来たらシャッターを切る、みたいなイメージですね。またモデルのちょっとした動きに対しては、自分もその動きに反応して距離感をキープする、というのが重要なポイントです。
そのような意味でAFレンズを使う時とはまったく意識が異なるということが言えるのですが、先ほども触れたように、ピントの山が非常につかみやすいということもあり撮影に苦労した印象はありませんでした。
AFレンズを使うときは、ある程度ピント合わせをカメラに任せてしまう分、結果的に撮影枚数が増えてしまうことがあります。そしてたくさん撮った中から良い写真を選ぶという……。
それに対してMFレンズでの撮影は、AFレンズの時ほど撮影枚数が増えないという傾向があります。それは1枚に対してより集中力を研ぎ澄ましているから。結果としてミスが少なく、撮影枚数が少なくとも納得のいく写真がAFレンズと同じくらい撮れていたりするんです。どちらが良いということではありませんが、MFレンズとAFレンズとでは、撮影体験として異なるものが得られるということだと思います。
——1枚に対する集中力という観点は興味深いです。
「Otus ML 1.4/85」はとくに集中しやすいレンズだと思いました。フォーカスリングのトルク、絞りリングのクリック感、そして手触りの良さというのが、撮影に集中できるような作りになっているなと感じます。
あとはやはりこの“重さ”ですね。重いということだけ聞くとネガティブな要素にも感じられるかもしれません。しかしそのバランスの良さもあり、この重量感が撮影によい影響をもたらしていると思います。
“絞り開放”の描写は?
——今回の撮影では、開放F値となるF1.4で多く撮影されていましたが、描写はいかがでしたか?
ボケに無理がないというか、非常にバランスの良いボケ味だなと感じました。それはつまり被写体と背景のバランスが良い、という感覚です。大口径なのでもちろんよくボケるのですが、目で見た感覚に近く、ボケが自然な感じがして、リアルな描写が得られていると思います。
大口径レンズを使っていると、ときにボケ過ぎてモデルの方もかすんでしまうというか、ぼんやりしすぎてしまうこともあるのですが、「Otus ML 1.4/85」に関してはそういうことはありませんでした。ピントを合わせたモデルの方は、きちんとシャープにその存在感を浮かび上がらせてくれる。その描写力は非常に面白いなとさえ感じるものでした。
——今後またこのレンズを使う機会があったら、どんな被写体、もしくはどんな作品を撮ってみたいですか?
今回は強めの逆光のシーンがなかったので、それには挑戦してみたいですね。
あとは夜のシーン。夜は暗いと思いつつ、街に出てみると意外に光のコントラストが昼よりも楽しめたりします。暗い場所は暗く撮れるけど、街頭やお店の明かりとか、街にはいろんな光がちりばめられています。85mm F1.4のスペックで“夜の街スナップ”をしてみたいです。
モデル:雪見みと(ina)
ヘアメイク:三浦香菜子