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雪の奥日光で「大三元」三昧!大口径ズームレンズの切れ味をニコンZ8で堪能する2日間
ニコン Z8+大三元レンズ【風景・星景編】セミナー&撮影会レポート
- 提供:
- 株式会社ニコンイメージングジャパン
2025年4月10日 16:32
弊社インプレス運営の写真SNS「GANREF」が企画する「注目製品レビュー ニコン Z8+大三元レンズ【風景・星景編】」の撮影セミナーが、3月29日(土)と翌3月30日(日)に開催された。
2024年末の「注目製品レビュー ニコン Z8&超望遠レンズ【野鳥編】」に続く企画。選ばれたGANREFメンバー8名に「ニコン Z8」や「NIKKOR Z大三元レンズ」を徹底的に使ってもらい、優れた点を引き出した作品を制作してもらおうという趣旨になっている。メンバーのレポートはすでにGANREFで続々発信されている。
今回の講師は、星空写真家・タイムラプスクリエイター・YouTuberの成澤広幸さん。星空写真全般とタイムラプス撮影を専門としており、各種セミナーの講師も数多く務めている。
撮影地は栃木県日光市。華厳の滝や戦場ヶ原といった大自然の中で風景撮影をするとともに、光害の少ない場所ならではの星景写真にチャレンジするという内容だ。
各メンバーにはZ8と開放F2.8のいわゆる大三元レンズ(NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 S、 NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S、 NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR S)に加えて、希望のレンズ1本を1カ月間貸し出しており、セミナーでもそれらの機材を使って撮影を行った。
Z8はフラッグシップモデルの「Z9」に近い性能を持ちながら、大幅に小型軽量化したモデル。4,571万と超高画素なため、精細な風景や星空の撮影に向く。またトリミング耐性も高いのが特徴だ。発売は2023年5月。ニコンダイレクトでの販売価格は税込59万9,500円となっている。
星空撮影に適した機能が満載
初日はmekke日光郷土センターに集合し、そこでメンバーや関係者の自己紹介に続いて1時間30分のセミナーが行われた。
Z8を気に入っているという成澤さん。いまだに新しい機能の使い方を発見するなど「とても奥深いカメラ」という認識とのこと。「自分が新しいことをやりたいと思ったとき、Z8であればすぐに実現できる。自分の1歩、2歩先を行っているカメラ」と紹介していた。
かつてタイムラプスは撮影後のPCでの編集が面倒だった。しかしニコンのカメラにはインターバルタイマー撮影時に自動でタイムラプス動画を生成するオプションが選択でき、作業の負担が減ったとのこと。他社のカメラがメインだとしても、タイムラプス用にニコン機を使うのもおすすめだという。
Z6IIIなどの一般的な画素数のモデルと比べると、高画素機のZ8はどうしても高感度ノイズが多くなる。ただしダイナミックレンジは広く、暗部もシャープに写るという。感度はISO 6400、できればISO 8000までに抑えれば、後から相応の補正が効くそうだ。「後からなんとかなる」というのは、成澤さんにとっても安心できる点だという。
星景写真はいろいろな切り取り方があり、どの焦点距離のレンズでも合う被写体があるところが1番面白いところだと成澤さん。それゆえ、どの焦点距離でどの被写体がどれくらいの大きさで撮れるのかという知識が大切になってくるとのこと。この辺りも、今回の撮影会で試せることになる。
シャッタースピードについては、広角では20秒程度までは許容できるという。それ以上だと星が流れているのが気になるそうだ。なお状況によりISO 12800以上などの超高感度になる場合は、ソフトで合成してノイズを低減する手法があるそうだ。
そして重要なのが、適正露出となるヒストグラムの形。左1/3程度に山が来るようにすると良いという。液晶モニターだと確認しにくいので、必ずヒストグラムを確認するようにとのこと。
暗いシーンで被写体を明るくして確認できるスターライトビューも、便利な機能として紹介された。従来は1度撮ってみないと構図がわからず、構図を決めるまでに撮影と確認を繰り返す必要があったため時間がかかっていたが、その不便がなくなる。
そのほか「ボタンが光るイルミネーターをONにする」「液晶モニターを最低の明るさまで暗くする」「露出ディレーモードでシャッターを押したときのブレを軽減する」といったテクニックも伝えられた。
レンズについては、NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 Sが「自分が使った中で最も良いレンズ」とのこと。写真を合成する場合もレンズ性能が良くないといけないというが、NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 Sはその点でも星をきちんと点に写せるレンズだそう。
高性能な明るい単焦点レンズもあるが、暗い場所で構図を調節する時に自分が動くのは難しいため、ズームできることを重視していると成澤さん。余分な枝などが画面に入らないように調整するのに便利とのことだ。
星景写真の撮影で欠かせないのが天気のチェックということで、天気予報の見方の説明も。天気予報は1つのサイトだけでは判断せず、複数を総合的に見るようにしているという。また零時を過ぎる夜間撮影の天気は、当日ではなく翌日午前の天気予報の方が信用できるとのことだ。
華厳の滝の雄大な風景を収める
今回は貸切バスで各撮影地を回るツアーとなっている。まずは有名な観光スポットである華厳の滝に向かった。当日の天候は雪で、華厳の滝周辺は見事な雪景色となり、メンバーも歓声を上げていた。
ここでは滝を見渡す展望台から滝や山の木々などを自由に撮影。広角レンズで広く撮るメンバーや望遠レンズで一部を切り取るメンバーなど各自構図を作っていた。成澤さんは多重露光でスローシャッターのような水の流れを表現する撮影方法をメンバーにも伝授していた。
ニコン Z8/NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR S/70mm/プログラムAE(1/640秒、F6.3)/ISO 800
雪に覆われた戦場ヶ原
続いては戦場ヶ原に移動。移動中の山の木々も雪をまとい、バスの中からも3月下旬とは思えない景色が広がる。
ニコン Z8/NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S/36mm/マニュアル露出(1/2,500秒、F8.0)/ISO 400
戦場ヶ原は、山々をバックに湿原が広がる有名な撮影地だ。こちらも雪景色ということで、冬ならではの情景を収められたのではないだろうか。
雪景色の撮影のときは、少し露出オーバー目に撮ることでより白さを表現できるとのこと。
三本松園地まで撮影しつつ歩き、展望スペースでも戦場ヶ原を眼前にした撮影が続いた。
ニコン Z8/NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR S/185mm/シャッター優先AE(1/320秒、F3.2)/ISO 320
夜の撮影は事前の設定が重要
戦場ヶ原での撮影を終えた一行は「奥日光小西ホテル」にチェックイン。夕食の後、夜の撮影に挑む。ホテルを出る際に改めて成澤さんから夜間撮影の設定などについてレクチャーがあった。
ほかの撮影者に影響しないようAF補助光をOFFにしておくことや、ヘッドライトを常時点灯をしないことなどの注意があった。ライトは手元を見たいときのみ点けるようにする。なお以前定番とされていた赤いライトは、写真に写りやすいので現在は使わないそうだ。カメラのストラップも風の影響があるので、できれば外した方が良いとのこと。
そのほか、今回のタイムラプスの細かい設定の確認も行われた。ちなみに、夜明けのタイムラプスは理想的には日の出前2時間と日の出後2時間の計4時間撮れると良いそうだ。
夜の戦場ヶ原は真っ暗で、星空撮影には向いている場所。ただし、天気は雪で期待した星景写真は難しい状況だった。そのため、メンバーは雲が流れるタイムラプス撮影などをすることになった。
残念ながら星景写真を撮ることができない天候ではあったが、成澤さんから「もし晴れて星が出ていたら」という仮定で星景写真での構図の作り方を1人1人に伝授していただいた。構図の手前に入れる看板などは正面から捉えず斜めにすると絵になることや、スターライトビューモードを活用して柵など余計なものが入っていないかをチェックすることを説明した。
この場所では成澤さんのすすめもあり、NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 Sを使ったメンバーが多かった。メンバーからは「写りがすごい。明るいので感度を下げて撮れるのも良い」との感想が聞かれた。
ニコン Z8/NIKKOR Z 20mm f/1.8 S/20mm/マニュアル露出(15秒、F1.8)/ISO 6400
日光東照宮で“弩級レンズ”にトライ
2日目の朝は、ホテルから歩いて数分の湯ノ湖畔での撮影からスタート。雪は止んで薄曇りの穏やかな天候となった。前日の雪で周辺は一面の雪景色となっており、写真映えが期待できる風景だった。
ニコン Z8/NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 S/14mm相当/マニュアル露出(1/200秒、F8.0)/ISO 64
ニコン Z8/NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 S/14mm相当/絞り優先AE(1/200秒、F11、+0.7EV)/ISO 64
続いてはバスに乗ってホテルを出発し、観光名所の日光東照宮へ。ここで日中でのタイムラプス撮影に挑んだ。
日光東照宮のうち、今回は比較的観光客の少ないエリアでの撮影を実施。雲が流れる様子や通行人が動く様子をタイムラプス動画に収めることができた。
ここでも成澤さんが1人1人の構図や設定を指導して回っており、メンバーも疑問点などを熱心に聞いていた。第一線のプロから直接学べるのはこのセミナーの大きな特徴だろう。
タイムラプス撮影が一通り終わると境内を散策しながらの撮影となった。
今回の機材テーマは大三元レンズだが、ここでは2月に発売されたばかりのNIKKOR Z 35mm f/1.2 Sも貸し出された。40万円を超える開放F1.2の弩級レンズの写りに驚きの声が上がる一幕も。また、「思ったよりも寄って撮れる」といった感想もあった。
A3ノビでのプリント&講評会
日光東照宮での撮影を終えた一行はmekke日光郷土センターに戻り、プリント及び講評会が行われた。
プリントは各自がセレクトした2枚をA3ノビで出力。それを見せながら作品の意図などをプレゼンし、成澤さんが講評した。
レビュワー8名の作品はこちらから鑑賞できる。
残念ながら星空は撮れなかったものの、雪の日光ならではの大自然の魅力が伝わる写真も多く力作が並んだ。また、早朝のホテルで見ることができた野生の鹿も、メンバーにとっては幸運だったことと思う。
ニコン Z8/NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR S/145mm/マニュアル露出(1/800秒、F2.8)/ISO 80
ニコン Z8/NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR S/200mm/絞り優先AE(1/200秒、F2.8、−1.0EV)/ISO 80
メンバーのうち、3名に作品についての話を聞いた。
Hiroto.Mさん
ニコン Z8/NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S/39mm/絞り優先AE(1/50秒、F9.0、−0.7EV)/ISO 100
NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 Sで撮影しました。もともと水の流れが好きなので、その面白いところを盛り込みました。「広い世界と黒い岩の中を流れる水」というイメージです。スローシャッター寄りの撮影ができるくらい手ブレ補正も効いていました。
Z8はスターライトビューモードなど夜間撮影がしやすい機能がたくさん入っているのを知ることができ、便利だと思いました。またNIKKOR Z 14-24mm f/2.8 Sは、今まで夜にシルエットでしか写せなかったものをちゃんと前景や星空とのバランスを取って撮影できるレンズだと実感しました。
新谷 輝雄さん
ニコン Z8/NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR S/130mm/マニュアル露出(1/200秒、F8.0)/ISO 400
華厳の滝の滝壺を覗いているときに出会ったシーンで、NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR Sで撮りました。水流で折れたと思われるこの木を主題にしました。冬の厳しさの中にある力強さが印象に残ってシャッターを切りました。
普段はD850を使っていますが、先生が仰るようにNIKKOR Z 14-24mm f/2.8 Sのクリアさに感動しました。それからボディもレンズも軽いのがいいですね。これは頑張って手にしたい、と思うくらい性能の高さにも驚いています。
legacy7010さん
ニコン Z8/NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S/88mm相当(DXクロップ)/絞り優先AE(1/100秒、F5.6、±0.0EV)/ISO 100
スマートフォンで撮影している様子から、「感動した」という雰囲気がすごく伝わってきたんですね。フレーミング前は画面にいろいろ入っていたのですが、NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 Sをズームすることで、ある程度スッキリした構図にできたのが良かったと思っています。
今回使って気に入ったのはNIKKOR Z 14-24mm f/2.8 Sですね。日光東照宮でも使いましたが、結構キレイな玉ボケが作れるんですね。玉ボケというと中望遠レンズのイメージがありましたが、これなら14mmから使えるなという発見がありました。