トピック
クリエイターへの新提案/「SanDisk Desk Drive」はどこまで使えるのか?
写真家 木村琢磨さんに聞いた、シンプルかつ確実な「管理・バックアップ術」
2024年5月17日 07:00
デジタルカメラやスマートフォンなどで写真や動画の撮影が日常生活の一部となり、その撮影データも日々増えていく今日この頃。PCの中にたくさんの写真や動画のデータが溜まっていくけれど、それをどのように整理・管理すれば良いのだろうか。バックアップも重要というけれど、具体的には何をすればよいのだろうか。
その考え方やヒントを、新製品「SanDisk Desk Drive」の印象を含めて、写真家の木村琢磨さんに伺ってみた。
SanDisk Desk Driveとは?
PCに接続して使用する大容量の外部ストレージといえば、今まではHDD一択という状況だったが、それをより高速なSSDで実現した製品が「SanDisk Desk Drive」だ。
8TBという大容量に加えて、読み出し速度も最大1,000MB/秒と高速なので、動画などサイズの大きなデータを扱うのにも向いている。フォーマット形式はexFATで、Windows・macOSの両方に対応する。
PCとの接続はUSB Type-C(USB3.2 Gen 2)だが、電源はUSBからの給電ではなくACアダプターを使用する。この部分は、モバイル用途ではなくデスクトップでの使用を意識した仕様だ。
手のひらに収まるコンパクトなサイズだが適度な重さも感じられ、机の上での安定感も十分。化粧品のパッケージのような丸みを帯びたデザインも魅力的だ。
製品保証は3年間で、バックアップソフト「Acronis True Image for Western Digital(5年間のライセンス)」も付属。このソフトは、PC全体のバックアップのほか、パーテーションやフォルダなど指定してのバックアップ、月単位や週単位などスケジュールを設定してのバックアップも可能なほか、ディスクのクローン作製も可能な本格的なソフトだ。
SanDisk Desk Drive 主な仕様
- フォームファクター:デスクトップSSD
- 容量:4TB/8TB
- インターフェース:USB 3.2 Gen 2
- 転送速度:最大1,000MB/秒(読み出し)
- 外径寸法:99.2×99.2×40.2 mm
- 重量:268g
- 互換性:WindowsとmacOSに対応
- システム条件:Windows 10以降、macOS 11以降
- セキュリティ:Kensingtonセキュリティスロット
- ソフトウェア機能:自動バックアップ(Acronis True Image for Western Digitalに対応)
- 製品保証:3年間
失われたデータは2度と戻らない。だからバックアップは大切
というわけで、いち早くSanDisk Desk Driveを試用した木村琢磨さんに製品の印象を聞くと同時に、撮影データのワークフローとその考え方についても伺った。木村さんは広告撮影や風景作品を中心に、写真だけでなく動画の撮影でも活躍中だ。
木村さんのストレージ環境としては、10TBの外付けHDDに加えて、「SanDisk Extreme Pro ポータブルSSD」の4TBを使用。さらにオンラインストレージのFlickrも活用したワークフローに落ち着いているという。
STEP1 :撮影したSDメモリーカード上のデータを、ポータブルSSDへ書き出し(SDメモリーカード上のデータは消さない)
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STEP2 :ポータブルSSD上のデータを使って現像などの処理(まだSDメモリーカード上のデータは消さない)
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STEP3 :現像処理後の作品データをFlickrへアップロード(まだSDメモリーカード、ポータブルSSD上のデータは消さない)
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STEP4 :ポータブルSSD上のデータをHDDへ書き出し(SDメモリーカード上のデータは消去。ポータブルSSDのデータは、1か月後などしばらく後に消去)
このワークフローを見ると、常に2か所以上にデータのある状態をキープしていることがわかる。加えて撮影時もカメラのデュアルスロットを活用し、同じデータを2枚のSDメモリーカードに同時記録。撮影の瞬間からバックアップするという徹底ぶりだ。実は、この慎重さには理由がある。
木村さんが業務を始めて、まだSDメモリーカードを十分に用意する余裕の無かった頃。HDD(まだSSDが普及していない時代だ)へデータを転送した後、止むを得ずSDメモリーカードをフォーマットして撮影している状況で、まさかのHDDのトラブルが発生。唯一存在していたHDD内のデータは……。この苦い経験が、今のワークフローに繋がっているという。
ところで、この木村さんのワークフローにはもう1つ特徴がある。それは「PC本体にデータをなるべく置かない」こと。PCは「処理をするだけのスペース」という考え方だ。
OSやアプリで使用する容量が増え、そこへデータも書き込んでいくと、すぐに容量が埋まってしまうというのも理由の1つだが、1番の理由は「PCが起動しなくなったときデータも取り出せなくなる」というリスクを回避するためだ。
画像データは日付で整理。ファイルネームは撮影時のまま変更しない
多い時には1日に2,000カット近く撮影することもある木村さんだが、その膨大な写真や動画のデータは、どのように整理しているのか。
「基本的には、デジタルカメラが生成したDCIMフォルダをそのままコピーして、そのフォルダのフォルダ名に日付と機種名を入れています。色々試しましたけど、結局はこれが安心して使えていますね」
広告、イベント、作品などの用途別のフォルダを用意し、その下に上記のフォルダを入れていく。画像データ自体はリネームせず、JPEGとRAWデータが元のまま入っている。
「被写体や撮影ジャンルをもとに分けることはありません。振り分ける手間が発生しますし、その際の事故も懸念されますから」
現像済みの作品をFlickrにアップロードする理由は、アップロード時に各種のタグを入れて、検索しやすくできるから。撮影日などの情報もタグとして入れておくことで、元ファイルにもたどり着きやすくなる。
時代とともに増えていく「丁度良い容量」
バックアップ用ストレージの容量についてはどうだろうか。
「ちょっと前までは1TBぐらいが丁度良かったのですが……」
近年はデジタルカメラが高画素化し、さらに仕事上での動画データの扱いも増えた。
「仕事の内容によっては、10TBのHDDでも月に2台ぐらい買わないと回らないです(笑)」
バックアップに必要な容量は人それぞれだが、時代とともに増えていく傾向はプロもアマも同じ。今回のSanDisk Desk Driveの8TBという大容量は、このような時代の要請に叶うものといってよいだろう。
大容量&スピードによる「安心感」
「一度SSDの速さを知ってしまうと、HDDの速度は……となってしまいますね。動画の場合、外付けのHDDにデータを置いておいてデータのやり取りをすると、速度が追い付かなくてプレビューが出ないんです」
コストのことも考えて、データの最終的な保管にはHDDも使っているが、基本的に現在のワークフローは、4TBのSanDisk製ポータブルSSDの使いこなしがポイントとなっているという。
そんな木村さんに、SanDisk Desk Driveはどのように映ったのか。
「今使っているSanDiskのポータブルSSD(Extreme Pro)と、デザインが統一されているのがいいですね。パッとみて同じ系統、ジャンルのものなんだと感じられました」
ポータブルSSDに比べるともちろん大きさも違うが……
「デスクトップPCとの組み合わせで、机に置いて使うことを想定しているのでしょう。丁度良いサイズ感だと思います。滑り止めなども結構しっかりしていて安定感もありますね」
ポータブルSSDは小さいだけに、使っていると結構熱くなる。それに比べてSanDisk Desk Driveの表面で感じられる発熱は控えめで、給電もACアダプターからという安心感があるという。
実際に使用してみての速度はどうだろうか。木村さんが使用している最新のMacBook ProのUSBコネクタに接続して使用した感想をうかがった。
「普段使用しているSanDisk Exptreme PRO ポータブルSSDと同様、快適に使用できます」
出先でのバックアップ用途にも安心して使える
現在のワークフローに、SanDisk Desk Driveを活用するとなると、どんな方法が考えられるだろうか。
「出先ではSanDisk Expreme Pro ポータブルSSDを使い、家へ帰ってきたらSanDisk Desk Driveへ移す。PCにつないでの作業はSanDisk Desk Driveで。こうすることでバックアップが増えますし、ポータブルSSDの容量も空けられます」
「長期で外泊する案件の時にSanDisk Desk Driveを持って行き、ホテルに置いておくのも良さそうです。撮影現場ではポータブルSSDにバックアップを取り、ホテルに帰ってからDesk Drive SSDにもバックアップ。HDDのような持ち運びに対する不安もないし、サイズも小さくて荷物にならないでしょう」
取材を終えて
今回の取材で1番印象に残ったのは、木村さんの「僕らは少しでも早く(撮影の)後処理を終わらせて、新しい撮影の時間に充てたい。そういった時間のロスを減らしたい」という言葉だ。インターネット環境も含めてすっかりデジタルな環境に囲まれていても、写真家としての軸足は常に「撮影」にあるのだ。
また、バックアップの考え方やワークフローも、不安要素を少しでも減らして「安心して次の撮影を行う」ための工夫と言えそうだ。
時間的なロスや不安要素を減らしていく、そのための工夫や投資という考え方は参考になるはずだ。
撮影:森貴彩(株式会社プランニングスタジオモリ)