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シンクロ IS+300~1,200mmレンズで撮る手持ち野鳥…OM SYSTEM「OM-1 Mark II」

OM-1 Mark IIにM.ZUIKO DIGITAL ED 150-600mm F5.0-6.3 ISを装着

初代OM-1からバッファメモリーを増強し、AF性能と手ブレ補正も8.5段まで強化されたOM SYSTEM OM-1 Mark II。M.ZUIKO DIGITAL ED 150-600mm F5.0-6.3 ISを組み合わせることで、1,200mm相当でも手持ちでぶれずに撮れる。

前回の自然風景編に続き、シリーズ第2弾は菅原貴徳が野鳥撮影でその実力を検証した。

菅原貴徳

1990年、東京都生まれ。幼い頃から生き物に興味を持ち、11歳で野鳥観察をはじめる。東京海洋大学、ノルウェー留学で海洋学を、名古屋大学大学院で海鳥の生態を学んだ後、写真家に。鳥たちの暮らしを追って、旅することをライフワークとする。野鳥観察・撮影に関するセミナーも多数開催。著書に写真集『木々と見る夢』(青菁社)、『図解でわかる野鳥撮影入門』(玄光社)などがある。日本自然科学写真協会(SSP)会員。

※本企画は『デジタルカメラマガジン2024年4月号』より転載・加筆したものです。

OM-1 Mark II+M.ZUIKO DIGITAL ED 150-600mm F5.0-6.3 ISなら、手ブレ補正6~7段+300~1,200mm相当

オジロワシまでの距離は50mほど。広角端の300mm相当では、周囲の景色と同時に写し込める。1,200mm相当まで一気にズームすると、画面の中でのオジロワシの存在感がグッと高まる。

300mm相当(全長約32cm)
1,200mm相当(全長約42cm)
300mm相当
600mm相当
1,200mm相当

さらに2倍のテレコンバーターを使用すれば、なんと2,400mm相当に。ワシも画面からはみ出しそうだ。未知の領域だったが、手ブレ補正の効きが予想以上で、超望遠でも安定したファインダー像で撮影できる。

2,400mm相当(+2x Teleconverter MC-20)

素早く動く鳥の瞳に超望遠でも確実にピントが合う

1,200mm相当となるとピントがとてもシビアだ。そこで活躍するのがAI被写体認識AF(鳥)だ。遠距離では鳥の体を、近距離では鳥の目を認識してフォーカスし続ける機能で、OM-1との比較では、枝葉越しの撮影でもピントが合いやすくなった印象。150-600mmとの組み合わせでは5軸手ブレ補正に対応し、広角側で最大7段分の補正効果を得られる。ぶれない撮影だけでなく、構図決め、AFの動作の安定化にも寄与し、随所にその効果を感じた。

OM-1 Mark II/M.ZUIKO DIGITAL ED 150-600mm F5.0-6.3 IS/600mm(1,200mm相当)/マニュアル露出(F6.3、1/200秒)/ISO 1600/WB:晴天
細かく動き回る小鳥の目にも途切れることなく追尾する
近距離で被写界深度も浅く、鳥が顔を振るだけでもピント位置が変わる状況なのだが、目にフォーカスし続けてくれたので問題なく撮影できた

一瞬の細かな変化も撮り逃さない

AE/AF追従で最大約50コマ/秒、AE/AF固定で最大約120コマ/秒の速さで撮影が可能。OM-1よりもバッファメモリーが2倍以上増えたことで、200コマを越える連続撮影が可能になった。

写真のダイサギは、150-600mm使用時の最大連写速度約25コマ/秒で撮影したもの。この速度でも十分、翼の動きを細かく記録できたので、翼の形がよく見える1枚をセレクト。10秒近くに渡り高速連写を続けられることは驚異的で、撮影中に書き込み待ちになった経験はここまで皆無。ちゅうちょなく高速連写で挑める。

OM-1 Mark II/M.ZUIKO DIGITAL ED 150-600mm F5.0-6.3 IS/600mm(1,200mm相当)/マニュアル露出(F6.3、1/32,000秒)/ISO 800/WB:晴天

プロキャプチャーが99コマまでさかのぼれる

小鳥の飛び立ちのように、通常の撮影方法では反応できない瞬間を、時間をさかのぼることで撮影可能にするのがプロキャプチャーモード。プリ連写枚数が99コマまで増加したことで、より長くさかのぼることができ、撮り逃しがさらに減った。

過酷な環境でも確実に野鳥が狙える

朝日を浴び、ねぐらから飛び立つマナヅル。AI被写体認識AF(鳥)が正確に目にフォーカスしてくれた。バッファメモリーに余裕があるので、ちゅうちょなく連写した中の1コマ
OM-1 Mark II/M.ZUIKO DIGITAL ED 150-600mm F5.0-6.3 IS/523mm(1,046mm相当)/マニュアル露出(F6.3、1/2,500秒)/ISO 800/WB:晴天

OM-1 Mark IIと150-600mmの組み合わせは、300~1,200mm相当という超望遠域を持ちながら、それを手持ち撮影できるという画期的なシステム。OM-1から進化した鳥向けの被写体認識AFや手ブレ補正、連写機能は野鳥撮影の現場でも活躍するだろう。

OM SYSTEM OM-1 Mark II
主な仕様
・撮像センサー:4/3型裏面照射積層型Live MOSセンサー
・有効画素数:約2,037万画素
・メモリーカード:SD、SDHC/SDXC(UHS-Ⅰ/II)
・ISO感度:200~102400(拡張 約80/100相当)
・EVF:約576万ドット、倍率1.48~1.65倍
・背面液晶モニター:約162万ドット
・シャッター速度:1/32,000~60秒
・連写:約50コマ/秒(AF追従)、約120コマ/秒(AF固定)
・被写体認識:人物/車、オートバイ/飛行機、ヘリコプター/電車、汽車/鳥/動物(犬、猫)
・手ブレ補正:8.5段
・外形寸法:約134.8×91.6×72.7mm
・質量:約511g(本体のみ)

実勢価格
・30万円前後
発売日
・2024年2月23日(金・祝)
菅原貴徳