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CFexpress4.0対応カードに“普及価格帯”のType B GOLDシリーズ登場…対応カードリーダーと合わせた実力は?

今年9月に世界初のCFexpress4.0対応カード(CFexpress 4.0 Type B COBALT 1.3TB)を発売したProGrade Digital。今度は普及価格帯のGOLDカードを新たに発売した。

そのスペックは書込速度3,400MB/秒、持続書込速度2,800MB/秒と驚異的で、価格が旧モデルからほぼ据え置きである点も見逃せない。今後のCFexpress Type Bカードのスタンダードになるようなハイパフォーマンスカードである。

今回はCFexpress 4.0 Type B GOLDカードシリーズの特徴を実際のベンチマークなども盛り込みながら3つのポイントに分けて紹介する。

ポイント1:普及価格帯CFexpress4.0対応カードであること

CFexpress4.0は今年8月に制定された最新規格であり、従来のCFexpress2.0の後継に当たる規格だ(3.0を飛ばして4.0となった)。現在市場に出ている多くのカードはCFexpress2.0に対応するカードで、規格上の最大転送速度は2,000MB/秒だが、CFexpress4.0では転送速度が一気に倍となり、最大4,000MB/秒という驚異的な速度を実現する。

これは対応するインターフェイスがPCI Express3.0×2レーンからPCI Express4.0×2レーンに変更された結果であり、パソコン用のSSDと同じ進化を遂げていると考えると分かりやすい。CFexpress4.0対応カードは下位互換性も持ち、これまでのCFexpress2.0対応カメラやリーダーにもなんの不自由なく使えるのもポイントだ。

規格制定の翌月に登場した世界初の「CFexpress 4.0 Type B COBALT 1.3TB」はpSLCメモリーを採用し、非常に高いスペックを持つものの、価格も22万円と高額で、一般ユーザーにはなかなか手の届かないカードであった。今回はそのCFexpress4.0対応カードが普及価格帯のGOLDシリーズで登場したというのがポイントだ(詳しい価格は次のポイントで紹介する)。

普及価格帯なら性能もCOBALT 1.3TBよりグッと落ちてしまうのでは? と感じる読者もいると思うが、公称スペックは書込速度3,400MB/秒、持続書込速度2,800MB/秒であり、22万円のCOBALT 1.3TBと同じに設定されているのが驚きだ(ポイント3で実際のベンチマーク結果も紹介する)。

今回ラインナップされるのは512GB/1TB/2TBの3種類で、静止画メインのユーザーから高ビットレート動画をガンガン撮るようなユーザーまで幅広くサポートする。

ポイント2:価格がほぼ据え置きであること

速度が一気に2倍に進化した「CFexpress 4.0 Type B GOLDシリーズ」の最も驚くべきポイントはその価格だ。なんと、CFexpress2.0対応の旧シリーズに対して価格がほぼ据え置きなのだ(米国では価格据え置きとなっているが、国内では為替の関係で数%の値上げ)。

例えば、512GBのカードであれば、旧シリーズが2万7,000円なのに対して、CFexpress4.0対応シリーズは2万7,800円である。性能が2倍になっているのに、価格は800円(+3%)しか変わらないのが驚きだ。1TBや2TBも僅かな値上げ幅に留まっている。

512GB1TB2TB
CFexpress2.027,000円58,158円116,317円
CFexpress4.027,800円60,800円121,800円
価格差+3.0%+4.5%+4.7%

「性能が2倍になり、価格はほぼ据え置き、下位互換性があるため従来の機器もそのまま使える」となれば、もうこれ以外のカードを選ぶ理由を探す方が難しいといっても過言ではない。CFexpress4.0時代のデファクトスタンダードになり得るカードなのではないだろうか。

ポイント3:唯一のCFexpress4.0対応の高速リーダーでワークフローを短縮

ProGrade Digitalは今年9月に世界初のCFexpress4.0カードだけでなく、世界初のCFexpress4.0対応のUSB4カードリーダー「PG05.6」を発売していることにも注目したい。

カードがどんなに高速になっても、それを活かせるホストがなければ意味がないわけで、スペックだけを追求するのではなく、カメラマンのワークフローに寄り添う姿勢を感じられるのが、私がProGrade Digital製品を愛用する理由の1つだ。

ちなみに、12月現在の執筆時点でもCFexpress4.0に対応する高速リーダーはProGrade DigitalのPG05.6が唯一である。

リーダーの詳細は過去の記事を参考にして欲しいが、最大転送速度40Gbps(5,000MB/秒)のUSB4に対応したことで、PCへのデータ取り込みが劇的に高速化されるのだ。Thunderbolt4対応のPCでもUSB4と同じスピードを体感できる。

実際に今回のCFexpress 4.0 Type B GOLDシリーズを新型リーダーPG05.6でベンチマークした結果は以下の通りだ。

MacBook Pro 16インチ、M3 Max、AJA System Test Lite 16.2.3を使用
1TB
2TB

最も安価な512GBでもライト2,818MB/秒、リード3,488MB/秒とカメラ用のメモリーカードとは思えない異次元のスピードが出ている。1TB、2TBの高容量タイプではご覧の通りライト2,900MB/秒、リード3,400MB/秒を超えるスピードだ。

USB4対応リーダーPG05.6を利用するもう一つのポイントは、従来のCFexpress2.0カードのスピードも100%引き出せるところだ。従来のUSB 3.2 Gen 2対応リーダーでは最大転送速度が10Gbps(1,250MB/秒)であり、実効速度は1,000MB/秒程度だったため、最大転送速度が1,000MB/秒を大幅に超えるCFexpress2.0対応カードの実力を引き出しきれなかったのだ。

PG05.6でCFexpress2.0の旧GOLD 512GBのベンチマーク結果は下表の通りだ(測定条件は上と同じ)。

リード、ライト共にUSB 3.2 Gen 2の最大転送速度を大きく超えて、カードの公称スペック通りの実力が発揮されている。リーダーを変えるだけでこれまで使ってきたCFexpress2.0カードからの読み出しも2倍近く高速化される結果となった。

この高速性能を享受するにはパソコン側もUSB4またはThunderbolt4に対応している必要があり、データ保存ストレージも高速なものが必要になってくるが、最近のMacであればMacBook AirでもUSB4に対応しているため条件が整っているユーザーも多いだろう。

Windows機でも最新のものはUSB4/Thunderbolt4対応のものが増えているほか、最高速度は得られないもののUSB 3.2 Gen 2×2(最大20Gbps)対応のPCでも速度アップが可能だ。WindowsでのUSB 3.2 Gen 2×2で新しいGOLD 512GBのベンチマーク結果は以下のようになった。

現在のところ、カメラ側でCFexpress4.0に対応している製品は存在しないが、リーダーを変えるだけでこれだけの速度を享受できるのであればリーダーも高速タイプに変更するメリットは大きいだろう。

まとめ

以上がProGrade Digitalから新たに登場した「CFexpress4.0 TypeB GOLDシリーズ」の主な特徴だ。

発売に先立って筆者所有のEOS R5でしばらくの間使わせてもらったのだが、全く問題なく使う事ができた。EOS R5はCFexpress2.0対応のカメラだが、下位互換性のあるCFexpress4.0のカードはいつもと同じように撮影が可能だった。

途中でも述べたとおり「性能が2倍になり、価格はほぼ据え置き、下位互換性があるため従来の機器もそのまま使える」ため理想的なカードであるが、唯一デメリットを上げるとすればカードの発熱だ。

先代のCFexpress2.0 TypeB GOLDシリーズは非常に発熱の少ないカードとして定評があったため、それと比べると今回のCFexpress4.0 TypeB GOLDシリーズはやや発熱が大きいと感じる。

ただし、定量的な評価はしていないものの、他社の発熱が大きめと言われるカードと比べれば同じか、それよりは低いという感覚であり、よほど熱に厳しい環境でない限りは問題になることは少ないのではないかと思う。

今後のカメラの対応状況はまだ不明だが、CFexpress4.0が下位互換性を持っていることを考えれば、カメラメーカー側もCFexpress4.0に順次対応していく可能性は十分高いだろう。

これだけ多くのメリットがあるカードなので、今のところ新たなCFexpressカードを導入する場合は新型GOLD一択といって良い状況と言えるだろう。

中原一雄

1982年北海道生まれ。化学メーカー勤務を経て写真の道へ。バンタンデザイン研究所フォトグラフィ専攻卒業。広告写真撮影の傍ら写真ワークショップやセミナー講師として活動。写真情報サイトstudio9を主宰。ライフワークは写真をより楽しむための情報を発信すること。2021年より北海道に移住して活動中。