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望遠カメラが光学ズームに!動画も強化された「Xperia 1 IV」を写真家がレビュー

すべてのカメラでリアルタイムトラッキングや120fps動画が可能に

Xperia 1 IV
外径寸法/重さ:165×71×8.2mm/187g
ディスプレイ:6.5インチ 4K 120Hz HDR OLED
チップセット:Snapdragon 8 Gen 1 Mobile Platform
ネットワーク: 5G Sub6+mmW
メモリー:12GB RAM/256GB ROM
リアカメラ:16mm相当(12MP 1/2.5インチ), 24mm相当(12MP 1/1.7インチ), 85-125mm相当(12MP 1/3.5インチ)
フロントカメラ:12MB 1/2.9インチ

本気で写真撮影や動画撮影をするならレンズ交換式のミラーレスカメラが良いと誰もが思うものだろう。ただ、ミラーレスカメラは大きくて重たく、手軽さという点では圧倒的にスマートフォンに軍配が上がるというのもまた事実だ。本格ミラーレスカメラに匹敵する操作性と画質を持ち、しかも手軽に持ち歩いて撮影を楽しめるカメラというのが一つの理想型といえるだろう。

その欲求を満たしてくれるのが、ソニーのXperia 1 IVだ。スマートフォンでありながら、同社のレンズ交換式カメラαシリーズ譲りの撮影機能を有し、16mm相当と24mm相当の光学単焦点レンズ、さらに今回のモデルチェンジでは、85-125mm相当の光学望遠ズームレンズを搭載してきた。まるでレンズ交換式カメラのような焦点距離を3レンズでカバーしているのである。

しかも3レンズすべてにおいてリアルタイムトラッキングが可能となり、被写体の動きにとらわれることなく、しっかりとピントの合った写真、動画の撮影ができる。

今回はその実力を試すべく、モデルさんを連れて海辺の撮影に行ってきた。では、早速その全容をチェックしてみよう。

撮影で使いやすい「カメラキー」

まず本体のサイズだが、165×71×8.2mmと他のスマートフォンと比べるとやや細長の印象となる。この細長ボディによって、カメラアプリなどを起動したときに各種操作画面などが表示されるスペースの場所がしっかりと確保されつつも、撮影映像が大きく表示されるということに繋がっているのだ。

ミラーレスカメラのようにダイヤルや物理的な操作ボタンが少ないため、液晶モニターの一部分を操作のためのスペースとすることは撮影を快適に行なう上で重要なことだと感じる。

Xperia 1 IVをカメラとして使用する際は、基本的に横位置の状態で構えることになるが、このときに右手人差し指の位置にシャッターボタンとなるカメラボタンがある。

普通のカメラと同じように、シャッターボタンは半押しと全押しの2段階となっており、半押しでピントを合わせて、ピントが合ったのを確認した上で全押しで撮影するということが可能だ。このあたりは、日頃はミラーレスカメラを使っている人でも違和感なく撮影できるだろう。

さらに、その隣にあるボリュームボタンでズーム操作も可能だ。85-125mm相当の光学ズームはもちろんだが、16mm相当や24mm相当の単焦点レンズでも、中間の画角でデジタルズームが可能となっている。

ズーム操作で画角を調整し、シャッターボタン半押しでピント確認、そして全押しで撮影という、まさにカメラそのものの撮影スタイルを実現しているのだ。ボディの大きさこそスマートフォンだが、撮っていると「あ〜これは超小型軽量のαなんだな〜」と思ってしまうほどだ。

αのUIを再現した「Photography Pro」

写真撮影の基本アプリはPhotography Pro(アイコン名:Photo Pro)になる。アプリアイコンから起動しても良いのだが、画面が消えている状態からでもカメラボタンを長押しすることで起動してくれる。撮影したいときにいつでも撮影スタンバイとなるのはとてもありがたい。

Photography Proの操作画面例

画面の右部分には露出補正バーやドライブ、フォーカスモード、ISO感度、ホワイトバランスなどさまざま設定アイコンが並んでいる。また、画面下部にはその時々のシャッタースピードや絞り値、ISO感度などが表示されている。αユーザーはもちろんだが、他社のミラーレスカメラを使っている人でも操作に迷うことはないはずだ。それほどカメラに近い操作系ということなのである。

望遠カメラが光学ズームに

カメラユニットは16mm相当、24mm相当、85-125mm相当の光学ズームの3種類。レンズ交換式カメラであれば交換レンズを持ち歩いて、その都度付け替えなければならないところだが、それが縦一列に並んでいるというのだからありがたい。

撮像素子は16mm相当が1/2.5型、24mm相当が1/1.7型、85-125mm相当が1/3.5型。3種とも高速読み出しタイプのExmor RSイメージセンサーが搭載されている。

上から16mm相当、24mm相当、85-125mm相当のカメラユニット。ZEISS T*のロゴも見える
レンズおよび撮像素子の構成

もっとも注目のカメラユニットといえば、光学ズームレンズを搭載した85-125mm相当だろう。

従来機Xperia 1 IIIの望遠カメラユニットは70-105mm相当だったが、画角の中間はデジタルズームによるものだった。85mmと125mmはワンタッチで切り替えられる。もちろん、その間の焦点距離も好きなところをチョイスできる。

センサーサイズこそ小さくなっているが、これは光学ズームの実現に加え、読み出し速度を優先した結果でもある。リアルタイム瞳AFや120fpsなど、広角カメラで可能になっている機能が使えるようになったほか、Xperia 1 IIIからノイズリダクションを強化するなど画質でもカバーしているという。

85-125mm相当カメラユニットのレンズ模式図

ここからは各カメラユニットの役割や画質について見ていこう。

16mm相当

超広角レンズといえる16mm相当。開放F値はF2.2と明るいため狭い室内を広く撮ったりするにも向く。また遠近感が強調されるため、被写体にぐっと近寄りつつ背景を広く写すことが可能だ。

AFによるピント合わせではカメラの10cm以内でもしっかりと合焦してくれ、超広角マクロ撮影のような撮り方もできる。

画質的にはとてもシャープでキレがある印象。広い風景などを写すときにも重宝するだろう。

Xperia 1 IV/2.67mm(16mm相当)/プログラムオート(1/800秒・F2.2・±0.0EV)/ISO 64

24mm相当

16mm相当に比べれば極端ではないが、一般的なカメラのレンズとしてみれば十分に広角レンズといえる画角。搭載される3カメラユニットの中では標準レンズ的なポジションといえる。レンズの開放F値はF1.7ととても明るい。

最短撮影距離は10cmほどで、被写体に近づけば歪みを気にすることなくマクロ的な撮影が楽しめる。

Xperia 1 IV/5.11mm(24mm相当)/プログラムオート(1/2,000秒・F1.7・±0.0EV)/ISO 64

85-125mm相当

望遠ズームのメリットは、遠くのものを大きく写せるというのはもちろんだが、ボケを生かした撮影も特徴。今回搭載されたズームレンズはデジタルズームではなく光学的に画角が変わる光学式ズーム。それだけにどの焦点距離域でも画質に妥協がないのが魅力といえる。

開放F値も85mm端でF2.3、125mm端でF2.8と明るい。遠く離れたモデルさんを撮るときでもしっかりと顔認識、瞳AFが効いてくれ、望遠ポートレートを楽しむことができた。手ブレ補正も有効に働いている印象だ。

スマートフォンでこのような望遠レンズを搭載している機種は少なく、望遠レンズらしい背景の圧縮感を感じさせるポートレートを撮りたいという人には是非とも使って欲しいレンズといえる。

Xperia 1 IV/10.22mm(85mm相当)/プログラムオート(1/500秒・F2.3・±0.0EV)/ISO 32
Xperia 1 IV/14.5mm(125mm相当)/プログラムオート(1/100秒・F2.8・±0.0EV)/ISO 32

16/24/85-125mm相当の動画作例

焦点距離のまったく異なる3カメラユニットは、動画撮影でも重宝する。どのレンズも写真撮影時よりは画角が狭くなる(望遠ぎみになる)が、それでも16mm相当ではかなりワイド感を強調した動画が撮れるし、24mm相当は少し広めの標準レンズという感じ。85-125mmは望遠レンズによる思い切った絵作りが可能で、被写体の前後のボケを生かした印象的な動画に仕上げることができる。

どのレンズ使用時もAFはしっかりと追従してくれるし、顔認識によるピント合わせも快適に動作してくれる。人物を配した動画撮影も何の苦労もなく撮りきることができた。

なお、Xperia 1 IVにインストールされている動画撮影アプリのひとつ「Videography Pro」(アイコン名:Video Pro)には、3カメラユニットの切り替えを意識することなくズーミングできるシームレスズーム機能が搭載されている。

ボリュームボタンの上下キーを押し続ければ、ワイド端の16mm相当からテレ端の125mm相当までを連続的にズーミングできるもので、レンズの切り替え時に色味の差を抑えるために3つのカメラのホワイトバランスを工場で1台ずつ調整しているそうだ。ここまでカメラの色にこだわったスマートフォンも珍しい。

全カメラユニットで強力な動体捕捉

α譲りのリアルタイムトラッキング、顔認識AF、瞳AFなどは、前モデルXperia 1 IIIと異なり、すべてのカメラユニットで動作する。

動き回る人物へのAF追従も、瞳AFから外れると顔認識AFへ、それも外れると身体全体を捉えるようなオブジェクトトラッキングへと切り替わる。また、顔や瞳を認識できるようになるとすぐさま、顔認識、瞳AFに戻ってくれる。とにかくカメラで人物を追い続ければ、最適なAFエリア選択をしてくれるので安心という感じだ。まさにαを思わせる性能といえる。あとは約20コマ/秒の連写を活用すれば、簡単に決定的瞬間を残せるだろう。


モデルさんに自由に走り回ってもらい、それを24mm相当で追い続けた。モデルさんがクルクル回ったりすると一瞬、顔認識、瞳AFが外れることがあったが、またカメラの方に顔が向くとすぐに顔や瞳を捉えてくれる。約20コマ/秒の高速連写モードと相まって、動きのある良い表情の一瞬を捉えることができた。

【撮影時の画面】

4K 120fpsでシネマティックな動画を残す

動画撮影に関しては、3種類のアプリが利用できる。基本のカメラアプリとなるPhotography Proでもベーシックモードで動画が撮れるほか、ビデオ撮影に特化したアプリとしてVideography ProとCinematography Pro(アイコン名:Cinema Pro)の2種類が用意されている。

Cinematography Proでは、21:9の映画アスペクトでの記録やカラーコレクションの設定などもできるようになっている。手軽さという意味ではVideography Proが使いやすいかもしれないが、より高度な撮影をしたい人に向けたアプリが用意されているのは評価したい。

特に4K 120fpsによるスロー撮影は、シネマチックな動画を撮るには最適な機能。日常の記録も美しく感動的な映像に生まれ変わる。後から自由に編集することもでき、音声も記録できるのは使い勝手が良い。また、スローモーションONで撮影すれば、編集不要でシネマチックなスローモーションを撮影できる。

いつも持ち歩き手軽に撮れるスマートフォンで、ここまでのクオリティの動画が撮れるのは驚きだ。

【4K 120fpsスローモーションの作例】

なお新たに追加されたVideography Proだが、プロジェクトを作る必要がないなど、Cinematography Proよりもシンプルな操作で、かつPhotography ProのBASICモードより高度な動画が撮れるのが特徴。オートにしておけばシームレスズームで画角を決め、RECボタンで録画するだけ。オートを外してマニュアルにすれば、シャッター速度など主要な設定を自分で行なえるようになる。

Videography Proの操作画面例

動画記録でのダイナミックレンジが拡大

動画撮影中、複数のコマを合成することでより広いダイナミックレンジを持つ映像を記録することが可能となっている。逆光の人物や空などでメリハリのありながらも白飛び、黒つぶれを起こしにくい映像を記録してくれるのだ。

実際にスタンダードとワイドの2種類で撮り比べてみたが、やはりワイドの方がシャドーからハイライトまでのレンジが広く、よりパンチの効いた映像となっていると感じた。

ワイド←→スタンダード
(Videography Proで撮影した動画から切り出した静止画)

【ダイナミックレンジ拡大】

フロントカメラの画素数がアップ

Xperia 1 IVには、従来から大型化した約1,220万画素のイメージセンサーが搭載されている。画質が格段に良くなり、暗所でのノイズが減少した印象だ。4K HDR動画の記録も行なえる。(編集部)

手軽に屋外でライブ配信

Videography Proを使えば、YouTubeなどのライブ配信も簡単に行なえるようになる。動画カメラとしての高画質、高性能とスマートフォンならではの通信環境がマッチしたXperia 1 IVならではの快適性といえるだろう。

Xperia 1 IV単体でもライブ配信は可能なのだが、自撮りでの持ちやすさを実現するグリップGP-VPT2BTを使えば、安定したホールディングが可能となる。

さらに、本体とVlog monitor XQZ-IV01をケーブル接続することで3種類のレンズが選べるアウトカメラを使いながらも撮影中の映像をモニタリングすることもできる。

GP-VPT2BT、Vlog monitor XQZ-IV01を組み合わせた配信イメージ

まとめ:カメラユーザーだからこそわかる高度な撮影性能

実際に使ってみての感想だが、まずはとにかく「αみたいなスマホ」ということ。AF機能を駆使した撮影の感覚も、操作系のアイコンも含めて、同社のミラーレスカメラαシリーズを継承している印象を受けた。αシリーズを使っている人ならその性能は想像できるだろう。

あとはディスプレイの輝度が高く、色も良い。日中の撮影でもディプレイが見えにくいと感じることがなかったというのが驚きだった。

ミラーレスカメラのサブ機、超小型軽量のαシリーズと思って、このモデルを選ぶというのは大いにアリという気がする。Xperia 1 IVはスマートフォンの形をしたミラーレスカメラといっても良いのかもしれない。


よくできた“弟分”「Xperia 5 III」も好評発売中!

このページで紹介した「Xperia 1 IV」と同じように、動く被写体や動画に強いスマホが「Xperia 5 III」だ。軽量・コンパクトなボディに強力なカメラ機能を搭載。αを思わせるキビキビしたAF動作はもちろん、「Cinematography Pro」で記録する動画もプロクオリティの出来栄えが期待できる。(編集部)

期間限定キャンペーンが実施中!

「Xperia 1 IV」の発売を記念して、数々のキャンペーンが行われている。「Xperia 1 IV」を対象としたキャンペーンはもちろん、他のXperiaについても様々なキャンペーンが展開中だ。詳しくはこちらのページで。(編集部)

Xperia(エクスペリア)公式サイト

モデル:ユーモ・アス
ヘアメイク:吉川るな
制作協力:ソニーマーケティング株式会社